追悼
チャレンジド在宅ワークの先駆者、中内幸治さん、逝く

2009年5月15日

5月1日、反骨のロッカーと呼ばれた忌野清志郎さんが闘病の末に亡くなられ、多くのファンを悲しませたその日、私とプロップの仲間も、大切な、大切な人を亡くしました。

進行する筋ジストロフィーで、ご家族の介護を受けながらも、10数年間ICTを駆使して、在宅で仕事のリーダーとして活躍してきた、まさに「日本におけるチャレンジド在宅ワークの先駆者」であった、中内幸治さん(享年51歳)です。

[写真]2004年11月、厚生労働大臣の尾辻秀久さんを迎えて。左より中内幸治さん、ナミねぇ、尾辻さん、矢田神戸市長、チャレンジドのMIKIさん、関大阪市長、齋藤兵庫県副知事(写真クリックで関連ページが開きます)

中内幸治さん逝去の報せは、入院中であるはずの「中内くん自身の携帯電話」からでした。女性の声で「プロップ・ステーションの竹中ナミさんでしょうか?」と聞かれ「はい、そうですが・・・」と言いながら、不安でいっぱいになりました。ここ数年、筋ジスの進行によって入退院を繰り返し、最近では「心臓や呼吸系統も危いんや」と言っていた中内くんの言葉が、頭の中をグルグル回り始めました。

電話の主は、中内くんのお姉さんでした。「少し様子が落ち着いて私の自宅(千葉県)に戻っていたんですが、心臓発作を何度か起こし、救急車で運ばれたものの、力尽きてしまい亡くなりました。弟の携帯電話に竹中さんとの通話記録が残されていたので、ご連絡させて戴きました。」というお姉さんの言葉を聞きながら、中内くんと一緒にプロップの活動を進めてきた様々な場面が胸いっぱいに広がって、私は思わず号泣してしまいました。

入院中のベッドから「いつかまたプロップの仕事に復帰したい!」「母の認知症が進行して、千葉の姉の家に引き取られたので、ボクも退院したら姉のところに行く予定。千葉は東京オフィスに近いので、姉の家に落ち着いたらのぞきに行きますよ」「うん、待ってるからね、必ず来てや!!」と、携帯電話で言い合ったことを、昨日のことのように思い出します。

中内くんの真剣でまじめな仕事ぶりと、真摯な人柄は、私がプロップの活動を続ける上での大きなエネルギー源でした。プロップが「チャレンジドを納税者にできる日本」という、日本の障害者施策を根底から変えるスローガンを掲げて活動を続けることが出来たのも、中内くんが「働く誇り」を何より大切にする人だったからです。そして多くのチャレンジドがそんな彼から学び、励まされ「ICTを駆使した在宅ワーク」という新しい働き方を、自分たちで創出し、育てて行ったのです。

中内くんと私は「認知症になられた彼のお母さんのこと」と「生まれてから36年間ずっとベイビー・タイプの、いわばロングロング認知症ともいえる娘マキのこと」を、よく話しました。そして、いつも私たちの会話の締め言葉は「どんなに重くても、家族って愛しいよね」というものでした。

中内くんに心からの感謝を捧げるとともに、ご冥福をお祈りします。これからもプロップの活動を皆で頑張るから、空から見守っててや〜!!!

by ナミねぇ

 

仲間たちから寄せられた追悼の言葉

◆心臓が凍り付きました。信じられない。。 中内君のまじめな仕事ぶり、優秀で、PROPのプロジェクトにとってかけ がえのない人でしたね。仕事の何かが分かる人でした。生真面目だけど 温かい人。とても残念です。涙が出ます。筋ジストロフィーという障害 を頭で理解しますがあまりにも早い。。心よりご冥福をお祈りします。

◆残念です。 また、元気になられたら一緒に仕事ができることを楽しみにしていまし た。大阪府内の養護学校をまわりインターネット環境を整えたり、CJ F国際会議ではボクが介護役で一緒の部屋に泊まったり・・・ 仕事が終わった後もよく二人で帰りました。飲みに行くこともありまし た。たくさんのプロジェクトを一緒にしました。いろいろなことを、教 わりました。おもいでがありすぎます。とてもまじめで、勉強熱心で、 時々頑固でした。 ご冥福をお祈りします。

◆中内さんが亡くなったことを聞いて衝撃を受けました。いつも私の話を熱心に聞いて下さり、時には厳しく、時には優しく、頼れる兄貴そのものでした。誰よりも一番、プロップで働くことに対して幸せを感じた方でした。
ご冥福を祈ります。

◆突然のことで驚きました。本当にお気の毒でした。喪主がお母さま、とのこと。息子さんに先に逝かれてしまい、お辛いでしょうね。ご冥福を、お祈り致します。

◆えっ、、、、と思って、言葉が出ませんでした。。中内さんは、私がプロップにかかわったときから一番いろいろなことを教えてくれました。私が悩んでいた時などよく相談にも乗ってくれました。またご一緒に仕事ができるのを心待ちにしていたのに、本当に残念です。

◆突然の訃報に呆然としてしまいました。千葉へ転居後しばらく静養されてから、またご一緒にお仕事ができることを心待ちにしていたのに、本当に残念です。インターネットを介して仕事をすることなど想像もつかない私に、パソコンの技術や仕事のことなど根気よく丁寧に教えていただき、プロップのスタッフとしてなんとかお役に立てるようになりました。中内さんがおられたから頑張ってこられたとも思っています。今はただ心からご冥福をお祈りするばかりです。合掌

中内さんの仕事や活動を紹介したリンク

厚生労働省遠隔ITセミナー・スタッフ紹介

厚生労働大臣:尾辻秀久さんが、チャレンジドの就労問題に取り組む
  ため、11月22日(月)プロップ・ステーションを訪問されました。


難病と闘いながらプロップIT化の要に
  車椅子のSEは頭脳と指先が勝負
  SOHOコンピューティング 2002年8月号より


新世紀・みやぎ国体レポート
  編集スタッフ紹介


The challengedとメディアサポート
  NEW MEDIA 2000年5月号より


「チャレンジドの学習と就労に向けた各地の取り組みと展望」
  第6回CJF2000 日米会議 レポート8月31日(2日目)より

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