概要紹介

このサイトを公開している会社は、四肢障害者用の小型キーボードを開発・販売している。上肢障害者のキーボード・アクセスを改善するのに有用な機器で、アメリカとカナダで非常によく用いられている。

特記事項

1.翻訳にあたって
項目A.はこのサイトのトップページを、項目F.と重複する部分を省略するなど、多少の変更を加えて訳したものである。またF.は、「注文」フォーム・ページと「無料貸し出し」プログラムについてのページを合わせ、訳者が再構成したものである。また、翻訳はしなかったが、実際に製品を試せるアメリカとカナダの施設の一覧、ちょっとしたリンク集が掲載されている。なお、詳細な製品ラインナップや価格については、元サイトを参照してほしい。

2.感想
この会社は、この小型キーボードだけを開発・販売している。日本でも上肢障害者のキーボード・アクセスについては、個々人の状況に合わせて既存のキーボードを改造したり、タッチスイッチなどを自作したり、いろいろな試みがなされている。このサイトで紹介されているキーボードは、日本では直接使えないかもしれないが、そうした試みの1つとして、参考になるのではないかと思って紹介する。なお、当社に問い合わせたところでは、日本からの注文を受けたこともあるそうである。

A. Magic Wand Keyboard(魔法の杖キーボード)

障害者用小型コンピュータ・キーボードとマウス
ほんの僅かな手や頭の動きだけで
インターネットに完全アクセス

手に力を入れる必要も、手を伸ばす必要も、素早く動かす必要もない
ほんの僅かな手や頭の動きでいい

Magic Wand Keyboard(魔法の杖キーボード)は、手の不自由な、または手を全く動かせない障害者が手や頭を少し動かすだけで、IBMやApple Macintoshのコンピュータにアクセスできるようにします。力も素早い動きもいらないコンピュータ・キーボードとマウスは、このキーボードとマウスだけです。

障害があるからといって、コンピュータやインターネットを使うのをあきらめなければならないということにはなりません。Magic Wand Keyboardはキーボードやマウスを十分に使えるようにしますから、障害のあるだれでもが、コンピュータやインターネットを楽に使えます。

このキーボードは、手に持った棒(マウススティック)に軽く触れるだけで操作します。全く力は必要ありません。このマウスでは、すべての機能を完全に通常のマウスのように操作できますが、手を素早く動かす必要がありません。

このマウス機能は、キーボード上のキーで動作し、左右のクリック・ドラッグ・ダブルクリックのスピードを11段階に設定できます。MicrosoftとAppleに、100パーセント互換です。

このキーボードは、電子工学的に標準のコンピュータ・キーボードと同じです。Windows 98/95/3.1、DOS、UNIX、OS/2、Mac OSのように、どんなOS上でも触れるだけで、どんなソフトウェアとでも動作します。

Magic Wand Keyboardは脊椎損傷、筋ジストロフィー、多発性硬化症、関節炎、重度の反復性筋肉損傷の方のために設計されています。

このキーボードは7" x 6" x 0.5"、入力キー部分はたった5.4" x 3"と小型です(Advanced Magic Wand Keyboardは1"大きくなっています)。すぐに使えます。訓練もインストールも、全く必要ありません。

B. Advanced Magic Wand Keyboard

コンピュータ・アクセスの問題を解決しよう 魔法の杖を振って!

Advanced Magic Wand Keyboardは、8.5" x 6.5" x 0.5"(実際のキー入力部分は6.5" x 3")の大きさです。

このキーボードは小型なので、非常に小さな動きで力を入れずにキー入力ができます。しかも、標準のコンピュータ・キーボードとマウスのすべてのキーと機能に対応しています。101個のキーすべてとマウスをエミュレートする専用のキー(そしてスティックと特殊な用途に使うベル・キー)は、棒に触れるだけで動作します。

この写真は、800 x 600解像度の17インチ・モニターで見れば、Advanced Magic Wand Keyboardの実際の大きさで見られます。

C. 特徴

マウス機能が組み込まれたAdvanced Magic Wand Keyboardは、力と動作に制限のある人がどんなコンピュータでも思い通り、かつ簡単に扱えるように設計されています。

この製品は小型ですが、IBMやMacintoshの標準キーボードと全く同じで、それに加えて次のような特徴があります:

  • キーを押すのに、全く力がいらない
  • 簡単にインターネットやEメールにアクセスできる
  • クリックやドラッグ、ダブルクリックといったマウスの動作を、11段階のスピードで完璧にコントロールできる
  • 訓練やインストールをしなくても、すぐに動作する
  • 手や頭の動きが、ほんの僅か必要である
  • マウスとキーボードの動作がすべて、同時に反映される
  • メモリも画面上の領域も、全く使わない
  • サイズが小さい
  • Windows 95/98を含め、どんなOSでも動作する
  • 同時に2つのキーを押す必要がない

D. In Touch Systemsについて

はじめまして!私たちは、この製品の背後にいる人々について、もう少し知ってほしいと思っています。私はSusan、In Touch Systemsの副社長で四肢障害があります。夫・Jerryは、この会社の社長です。私たちはたった1つの製品、Magic Wand Keyboardだけを製作しています。

Jerryは、私のためにこの製品を開発しました。私は今このキーボードを、In Touch Systemsのマーケティング部門の管理からホームページのデザインまで、甥や姪とゲームしたり、オンライン・オークションで入札したり、世界中からのメールに答えたりするなど、すべてのことに使っています。

Magic Wand Keyboardや無料貸し出しプログラムについて質問がありましたら、800-332-6244までお電話ください。(アメリカやカナダ以外からは、845-354-7431へ電話してください。)

Jerryは、Magic Wand Keyboardの生産を担当しています。また、このキーボードのすばらしいデザインの責任者でもあります。彼は、New York Timesが新聞スタンドに並ぶ前にオンラインで読むのを楽しみにしています。

E. ラブストーリー

私が1979年にコンピュータを手に入れたときには、コンピュータの必要性をほとんど感じませんでした。事実、ほぼ1年間、どうやれば使えるかさえ考えませんでした。私には脊髄性小児麻痺による四肢麻痺があり、力が入らないし、ただキーボードの前に座ってキーを打つこともできません。もし私がこの点をうまくやるとすれば、コンピュータを使えるように助けてくれる仕掛けが必要になるでしょう。コンピュータ上だけで使える新しいゲームのジャンル、「テキスト・アドベンチャー」を知って、私の興味はピークに達しました。私は、熱心なゲーム・プレーヤにならずにはいられませんでした。さて、コンピュータはあるのに、私には全く使えません。

長い編み針を使えば、キーを押し下げる動作は(相当に苦労して)できましたが、キーボード全体には手が届かず、2つのキーを同時に押し下げる方法もありませんでした。私が最初の冒険に出かける前には、何本か電話をして、障害者対応のキーボードをいくつか取り寄せる必要がありました。そのときに分かっていなかったことは、私がした長時間の冒険は、完璧なキーボードを探す冒険、ドラゴンやヒーローが住み、ロマンに満ちた、最後は「魔法の杖」に繋がる本当のアドベンチャーだったということです。

電話をかけて数カ月後に分かったことは、小型のキーボードのようなものすら全く存在しないということでした。シフトロックとコントロールロックができる装置があれば、私でも2つのキーを同時に押すことができるので、私のたどり着いたベストな方法は、釣竿に使うような重りを用いる方法でした。そして、この洗練されてないソリューションは、Apple IIコンピュータについての極めて技術的な本を書いたある人によっています。フックで付けられた小さな卵形の重りが、シフトキーとコントロールキーに置かれ、左に触れると右の重りがキーを押し続け、フックに付いている小さな板に触れるとキーのロックを開放できます。手の届かないキーを押し続けながらの操作は難しいのですが、初めてこれを使ったときに、私は自力でコンピュータを使用できました。

2年後、私はゲームをプレイしたり、プログラミングしたり、その問題についての雑誌や解説書を読み漁ったりして、一人前のコンピュータ狂になっていました。そして疑問符、プラス記号、括弧を入力する必要があるときには、いつも奮闘していました。私は自分のコンピュータが好きでしたが、短時間だけ使うにも力がいりました。ワープロを使うのは論外で、大文字や句読点を打つのも非常に難しかったのです。そうしてパソコン、フック・紐・そして勿論重りを握って、私はのろのろと進んでいきました。

間もなく私は、1台のコンピュータを別のコンピュータと「話ができる」ようにするモデムを知りました。私は突然、新しい知り合い、新しい経験、新しい夢に満ちた刺激的な未知の世界を探検していたのです。私の日常生活は、そうした人々で豊かになりました。一部は友達になってくれ、その中の数人は私とデートをし、1人は結婚しました。彼(Jerry)は今、私の苦難にみちた旅物語の中心となっています。というのは、私たちが結婚を考えるずっと前から、私のためにキーボードをつくる決心をしたからです。

私たちは、コンピュータを通じて「出会いました」。私はニューヨークから、彼はロデ島から、私たちの電話はコンピュータ情報サービス・CompuServeを通じて行われました。(CompuServeのCB-emulatorは初期のチャット・サービスの1つで、国家を超えて「話す」こと、つまりお互いのコンピュータにキー入力することができました。)

最初のデートから4カ月後、ロボット工学を勉強していたコンピュータ・プログラマー・Jerryは、私に手作りの小型キーボードを見せてくれました。これは冒険物語であれば、宝物すべてに魔法がかけられたに違いありません。それでこそ、このキーボードは杖(棒)に触れることで動作したのです。

私たちは、このキーボードをMagic Wand Keyboardと名付けました。

光り輝く鎧をまとった私の騎士は、剣ではなく、電子の板を取って私を救ってくれたのです。彼は私を捉われの身にしていたドラゴンを殺し、私に結婚を申し込み、その後ずっと幸せが続く国へいざなったのです……。しかし私たちは共に、なんとなく冒険を完結する前にやめてしまったような気がしていました。確かに、同じような探究をして、コンピュータにアクセスできないという複雑な迷宮に陥っている人が、まだまだ大勢いました。そこでJerryは1年以上をかけて、、Magic Wand KeyboardがIBM上でも動作するように改良しました(私のコンピュータはAppleでした)。勿論、アイディアの基本は同じで、標準のPCキーボードと全く同じように動作し、指が動かせないユーザでも簡単に使えるように設計しました。

ついに、プロトタイプができました。私は数週間、なにもかも忘れてこのキーボードをテストしました。その間に私は手紙を書き、絵を描き、チェスやピンボールや(勿論)アドベンチャー・ゲームをし、プログラミングをし、(フライト・シミュレータを使って)飛行機がどのように飛ぶのかも知りました。このキーボードは完璧でした。その後何カ月もかけて、プリント基板の設計、青写真の作成、部品の収集、実際の設計と組立、マニュアル書きを行いました。

私たちはビジネスをやろうとは思っていませんでしたが、こうしてIn Touch Systemsをやることになりました。あれは、10年以上も前のことでした。今でも私たちは、幸せの続く平等と好機の世界へのチャンスを与えるため、一所懸命に働いています。私たちの考えでは、すべてのものは努力と信念と、ほんの僅かの「魔法」によってもたらされるのです。

F. 注文と無料貸し出し

無料のパンフレット希望・またはキーボードや無料貸し出しについて質問がおありの方は、Susanに電話(800-332-6244)をくださるか、Eメール(susanb@magicwandkeyboard.com)をください。

ご注文は、アメリカ国内とカナダの方は800-332-6244、その他からの方は845-354-7431へ電話をお願いいたします。

私たちはヴィザ、マスターカード、および公的な購入注文に対応しています。

In Touch Systemsでは、障害のある学生や患者がコンピュータにアクセスできるかどうかを評価する教師、職業セラピスト、理学療法士には、Magic Wand Keyboardの10日間無料貸し出しを準備しています。

キーボードの貸し出しの申し込みに興味のある方は、私たちに電話(800-332-6244)かEメール(sc@magicwandkeyboard.com)で希望をご連絡ください。

無料のパンフレット希望、ご注文、またはキーボードや無料貸し出しについて質問がおありの方は、Susanに電話(800-332-6244)をくださるか、Eメール(sc@magicwandkeyboard.com)をください。

Magic Wand Keyboardはアメリカやカナダの至る所で、教室や職場のアクセス・ソリューションとして好まれるようになりました。現在、100校以上の公立学校や大学で筋ジストロフィー、脊椎損傷、関節炎、MS、腱や神経系の異常など、多様な障害のある学生を援助するために、このキーボードが使われています。

※ 詳しい内容につきましては、原文サイトでご確認・お問合せください。

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