はあとリンク 翻訳館 オックスフォードACEセンター
- 概要紹介
-
オックスフォードACEセンターは、AAC*(拡大・代替コミュニケーション:Augmentative & Alternative Communication)の理念に基づき、イギリスのオックスフォードを拠点として、身体障害、コミュニケーション障害の学齢期の子供たちのために活動している、独立した非営利団体です。障害のある若年者のコミュニケーションを確保するために、活動の中核となっている評価(Assessment)や、両親や教育・医療従事者などを対象とした、コミュニケーション機器を中心とした情報提供、教育訓練などのサービスを実施しています。
また、ソフトウェアやハードウェアをはじめとする支援技術(アシスティブテクノロジ)の研究開発、調査などに取り組み、国内外のさまざまな機関や企業と共同して、数多くの研究プロジェクトに参画しています。コミュニケーション機器、特に、VOCA(音声出力方式による会話補助装置:Voice Output Communication Aid)については、100種類以上の装置が紹介され、商品別、タイプ別、メーカー別に検索することができます。
そのほか、トーキングブックの作成法、スイッチやアシスティブテクノロジに関する情報、関連リンクやリソース集など、多彩な情報が掲載されています。情報量が多いため、サイト全文の翻訳ではなく、カテゴリごとに重要な内容を要約して紹介しています。訳出本文中のPDF・ワードファイルは翻訳していませんので、あらかじめご了承ください。
尚、ACEセンターには、オックスフォードACEセンターと北部ACEセンターとがあり、オックスフォードACEセンターは、英国のイングランド南部とウェールズ地方を担当地域としています。詳しくは、「B. ACEセンターについて」をご覧ください。(翻訳基準日:2004年2月20日現在)翻訳担当:西村 薫
訳者注:“AAC”については、“こころWeb”のサイトに詳細な解説がありますので、ご参照ください。
「AACとは」
A. トップページ
オックスフォードACEセンターは、身体障害、コミュニケーション障害の若年者のために、コミュニケーションや教育に配慮されたテクノロジを活用することを目的として活動しています。個々の障害者の評価(Assessment)、情報提供、さらに両親や専門家を対象としたスペシャリストによる教育など、多彩なサービスを提供しています。
最新情報
障害者に役立つソフトウェアやハードウェアなどのアシスティブテクノロジの最新情報、調査報告、AAC関連の情報、その他障害者関連ニュースのヘッドラインがリンク表示されています。過去の情報のアーカイブもあります。
CAP(The Communication Aids Project)とは?
教育雇用省の資金援助により、コミュニケーション障害の子供たちに支援機器を提供することによって、カリキュラムにアクセスしたり、他の子供たちと交流したり、義務教育後の生活への移行を支援したりすることを目的としたプロジェクト。
大きなカーソルのダウンロード
ACEセンターが、視覚障害者や知覚障害者のためにデザインした、80種類ものマウスポインタおよびカーソルを、一括ダウンロードできる。
VOCA (Voice Output Communication Aid)
100種類以上のVOCAが紹介され、商品別、タイプ別、メーカー別に検索することができる。
パワーポイントで作成するトーキングブック
パワーポイントのマルチメディア機能を使ってトーキングブックを作成する方法が、初心者にもわかりやすく解説されている。出版物として販売されているが、PDFファイルで内容をダウンロードできる。
B. ACEセンターについて
ACEセンターは、話すことや読み書きなどの、コミュニケーションに障害のある学齢期の子供たちと接する家族や専門家の方々に、支援技術の利用方法についての情報、支援、教育を提供することなどを目的として活動する、独立支援機関です。
活動の内容
当センターのスタッフは、中核となる、障害の評価と教育のほかに、多くの活動を展開しています。内外の、数多くの研究プロジェクトに参加し、コミュニケーション障害の人々のためにロビー活動を行ない、AAC(拡大・代替コミュニケーション)に関する情報の普及に努めています。また、ソフトウェアの開発および関連書籍の出版にも取り組んでいます。
組織の独立性
当センターは、センターが開発したソフトウェアや出版物を含め、特定の企業や製品とは何ら利害関係はありません。サービスや製品の評価をする場合は、純粋に専門家としての考えと経験に基づいて実施しています。
担当地域
オックスフォードACEセンターは、原則として、イングランド南部とウェールズ地方で、評価と教育業務を担当しています。姉妹センターの、北部ACEセンター ACE Centre Northは、イングランド北部を担当しています。英国には、このほかにも同種のセンターがありますが、詳しくはリソースのページ(Resources)をご覧ください。
スタッフの構成
スタッフのメンバーは、教師、言語療法士、作業療法士、それに、拡大・代替コミュニケーションへの技術の応用に取り組んでいる、専門の技術者から構成されています。詳しくは、スタッフ紹介のページ(Staff Profiles)をご覧ください。
オックスフォードACEセンターの所在地(省略)
ACEセンターの歴史
ACEセンターは、1984年、オックスフォードのオーメロッド特殊学校(Ormerod Special School)に設立されました。以来、センターの規模は拡大し、1999年4月に、ウドゥン・スプーン・ビルディング(The Wooden Spoon Building)に移転しました。
資金援助
当初、政府の基金でMEP(現在はBecta:英国のICT教育を推進する政府機関)によって設立されました。その後、公認慈善団体として認可され、Bectaを通じて教育雇用省(Department for Education and Employment)からと、ギャツビー財団(Gatsby Charitable Foundation)の資金援助を受けています。
C. リンクおよびリソース集
1. リンク集(翻訳省略)
- 関連組織・団体のリンクページ
- AAC(拡大・代替コミュニケーション:Augmentative & Alternative Communication)関連のアシスティブテクノロジ製品のリンクページ
2. リソース集(リソースのタイトルと概略説明:抜粋)
- AAC実践の手引き
AACの考え方および実践のための手引書。(ダウンロード可:ワード文書) - キーボードを使ったWindows操作法
キーボード操作で、マウスポインタを動かしたり、アプリケーションソフトの起動・終了もできる、ショートカット集。(ダウンロード可:PDFファイル) - ヘッドポインタの製品比較調査
- Inclusive Technologyの資料集:
(NOFへ)
AAC関連の詳細な研究資料が、無料で入手できます。(PDFファイルも有) - コミュニケーションブックの作成と利用法
- パワーポイントでトーキングブックを作成する方法
画像のスキャンからスイッチの取り付けまで、マルチメディアを扱ったことのない初心者でもトーキングブックを作成できるように解説された資料。(ダウンロード可:PDFファイル) - RITE(Realising Independence through Education)プロジェクト
ACEセンターとDARE財団(Disability and Rehabilitation Education)が協力して取り組んでいるプロジェクト。重複障害のある身体障害児が、養護学校などを卒業後、高等教育を受けて自立した生活を送れるように、法制度や、雇用も含めて支援しようというプロジェクト。 - VOCA(Voice Output Communication Aid:音声出力方式による会話補助装置)
100種類以上のVOCAが紹介され、商品名別、メーカー別、タイプ別に検索することができる。
D. 評価(Assessments)
子供たちは、一人ひとり違いがあります。そのため、ACEセンターでは、異分野の専門家たちが先入観を持たずに協力して取り組むことが、それぞれの子供たちにとって最も適切なコミュニケーション方法を提供するための、最良の方法であると考えています。1984年の開設以来、当センターでは、1400件もの評価に関わってきましたので、ご信頼いただけるものと思っています。
ACEセンターの評価方法は次のような段階を経て実施されます。
- 周到な計画と準備(ビデオ分析を含む)
- 子供本人と、両親、教師、セラピストとの面接
- ディスカッションのための会議
- 再度のサポート
- 電話や郵便、電子メールでの、継続したサポート
評価業務の詳しい内容については、FAQs(よくある質問)へのリンクをクリックしてください。
場合によっては、当センターが子供本人と直接接触せずに、コンサルタント的な立場で関わることもあります。
E. 教育訓練
ACEセンターでは、教師やセラピスト、両親、支援者を対象として、子供たちにとってテクノロジが適切に使われるように、教育を実施しています。
講習や訓練の内容は多岐に渡っていますが、スイッチによるソフトウェアの操作法やVOCAを使いこなすための講習、コミュニケーションエイドのメーカーによるデモンストレーションなど、AACの理念に基づいて、アシスティブテクノロジの活用に力を注いでいます。
F. ソフトウェア(抜粋)
障害のある子供たちがコンピュータを使えるように、ACEセンターでは、さまざまなソフトウェアを開発しています。
- AccessMaths 4
身体障害の子供たちが、幾何学を学んだり絵を描いたりできるソフトウェア。 - Hotspots
画面上のボタンをマウスで操作するようにデザインされたソフトウェアを、スイッチで操作できるソフトウェア。 - Large Cursors and Pointers
視覚・知覚障害者のために作成された、大きなサイズのマウスポインタとカーソル。
80種類以上あり、ダウンロードできる。 - Prophet
キーボードから1、2文字打ち込むだけで、入力したい単語を予想して画面上にリスト表示してくれるので、長い単語でも、リストから選択するだけで楽に入力することができる。
G. 出版物
ここで紹介する小冊子では、テクノロジと、障害児の両親や教師、専門家の方々が日々遭遇する問題について、実践的な指針となる情報を提供しています。
- ブリッジ・プロジェクト:アシスティブテクノロジで社会の壁を超える
(BRIDGE:Assistive Technology Against Social Exclusion) BRIDGEプロジェクトとは、支援機器や電子機器の活用を促進することによって、重要な社会活動(コミュニケーション、環境の制御、仕事、教育など)から障害者を締め出している機能的な障害を補い、障害者に対する社会的な疎外を乗り越えることを目的としている。この小冊子は、プロジェクトの概要の図解、調査報告と、主要なケーススタディをまとめたものである。(PDFファイルでダウンロード可:無料)
- パワーポイントでトーキングブックを作成する方法
(How to create Talking Books in PowerPoint) マルチメディア初心者のために書かれた、オリジナルのトーキングブックを作成するための詳細なガイドブック。マイクロソフトのパワーポイントで作成することができる。
画像のスキャン、シンボルの追加、音声の録音などの手順が、わかりやすく解説されている。著作権のガイドラインや、トラブル解決のためのアドバイス、スイッチの接続法に加えて、トーキングブック作成の秘訣も公開されている。説明は画像入りでわかりやすく、子供たちのためにトーキングブックを作成しようという、両親や先生、専門家の方々に役立つガイドブックである。(PDFファイルでダウンロード可:無料)- 拡大・代替コミュニケーションの学校での展開
(Developing Augmentative and Alternative Communication Policies in Schools) 一般校、特殊学校を問わず、AACシステムを利用する子供たちが増えている。障害のある子供たちが環境にうまく溶け込むためには、適切なコミュニケーション・プログラムとスタッフの教育、広い分野の専門家が参加することはもちろん、相当な設備も必要である。学校がこうした取り組みの効果を最大限に上げるためにはどのようにすればよいか?
この50ページの小冊子(2ページの要約も有)には、地元の教育担当者や学校、医療専門家に役立つ情報と指針が掲載されている。AACの分野で活躍する25人の専門家が、AACを推進するにあたっての現状分析をまとめ、将来の展望を提示している。(PDFファイルでダウンロード可:無料)
H. 研究開発
ACEセンターは、コミュニケーション障害の子供たちが必要とする機能についてアドバイスしたり、教育目的や障害に適したソフトウェアを開発したりすることによって、支援機器の製造会社と共同して、多くの研究開発プロジェクトに関わっています。当センターは、最先端の研究開発に取り組み、国際的にも高い評価を得、研究の成果は有用な情報、または製品として認められています。2002−2003年度の研究開発報告書は、マイクロソフトのワード文書でダウンロードすることができます。
2002−2003年度 研究開発プロジェクト
- 国際プロジェクト
- BRIDGE:ブリッジ・プロジェクト
支援機器や電子機器の活用を促進することによって、重要な社会活動(コミュニケーション、環境の制御、仕事、教育など)から障害者を締め出している機能的な障害を補い、障害者に対する社会的な疎外を乗り越えることを目的としているプロジェクト。 - WWAAC (The World-Wide Augmentative and Alternative Communication)プロジェクト
コミュニケーション障害、シンボルを利用している認識障害などの人たちのために、インターネットや電子メールを使いやすくしようという、ヨーロッパ全域のプロジェクト。
- BRIDGE:ブリッジ・プロジェクト
- 国内プロジェクト
- RITE(Realising Independence through Education)
ACEセンターとDARE財団(Disability and Rehabilitation Education)が協力して取り組んでいるプロジェクト。重複障害児が、養護学校などを卒業後、高等教育を受けて自立した生活を送れるように、法制度や、雇用も含めて支援しようというプロジェクト。 - TELENET
CATCHNETの後継プロジェクトとして立ち上げられた、アシスティブテクノロジの技術サポートを目的としたプロジェクト。
- RITE(Realising Independence through Education)
- ソフトウェア・ハードウェア開発
- 製造開発会社へのサポート
SWAP(Switch Accessibility Programming Group)
SWAPグループは、2001年、ロビー活動の意見調整と、ソフトウェアにスイッチ・アクセシビリティを組み込むための情報を、開発会社に提供するために設立された。
完了したプロジェクト
- TLE (Telesupport Loan Equipment)
- コミュニケーション機器を、購入決定する前に、貸与するサービス。
- CATCHNET
- コンピュータ初心者の、障害児の両親や教師などを対象に実施していた、初期の技術サポートプロジェクト。
- MET (Multimedia Environment for Training)
- ACEセンターとオープン・ユニバーシティとの共同プロジェクト。スイッチ操作で、マルチメディアを使えるようにするための技術が開発され、実際に商品化された。
- PCAD TouchSpeak(Portable Communication Aid for Dysphasics)
携帯用のVOCAデバイス、TouchSpeakは商品名
- トーキングブック プロジェクト
スイッチを使ってコンピュータにアクセスしている重度障害の子供たちのために、両親や教師が自作できる、トーキングブックのキット。パワーポイントなどで作成できる。
R&D(研究開発)の目標
- アシスティブテクノロジの新しい分野を研究する
- アクセス問題の有効な解決法を探る
- 応用研究と、臨床/教育的な実践との融合を探求する
- 一般に普及しているテクノロジを、重度重複障害の子供たちに応用する
- スイッチやキーボード、その他の代替アクセスへのユーザの要望に応える
ACEセンターの2002−2003年度研究開発
今年度の報告書も、広範囲にわたる研究開発活動を反映する内容となっています。一方、現在進行中のEUプロジェクト(WWAAC)が終了年度を迎えるとともに、あらたに「グリーンハウス」プロジェクト、DECOが開始します。視線や光学的なヘッドポインタの使用者のために、画期的なアクセス法による、新しいソフトウェアとハードウェアの組み合わせを開発・評価するプロジェクトです。
センター内のソフトウェア開発チームは、取り組んでいるソフトウェアを統合する段階へと進みました。その結果まもなく、他のディベロッパーのために代替アクセス装置を企画することに、活動の焦点を移すことになります。
次年度は、リモートサービスのサポート分野で、有意義な研究開発に着手することになるでしょう。
I. ご支援ください!
ACEセンターは、Becta(British Educational Communications and Technology Agency)を通じて教育雇用省からと、およびギャツビー財団の資金援助を得ている、公認の慈善事業団体です。コミュニケーション障害の子供たちのために活動している当センターへの、多大なご支援に心から感謝するとともに、重ねてのご支援をよろしくお願いいたします。
スティーブン・ホーキング教授のメッセージ
- ACEセンターの後援者・理事長
-
障害のある青少年がコミュニケーション機器を活用することを支援するという、ACEセンターの活動を応援しています。特別な障害に対応した、高度なコミュニケーション機器を開発するための公的な補助は全くありません。そのため、理解ある基金や企業、一般の方々の援助がなければ、こうした事業は成り立ちません。障害のある若者たちが、ACEセンターで開発された機器やソフトウェアを活用して、優れた学習能力を発揮しています。テクノロジが使いやすいように改良できるようになったため、恩恵を受けるすべての人のために実現する必要があります。皆様の援助があれば実現は可能となります。支援者の方々に心から感謝いたします。
※ 詳しい内容につきましては、原文サイトでご確認・お問合せください。