概要と感想

CFIはアメリカ、コロラド州西部で、視覚・聴覚障害者や若年層の障害者を中心に外へ出て積極的に活動する障害者の自立生活を支援している。地域社会で生活していくために外に連れ出し、自立生活ができるように訓練していく。しかしそれは決してつらいものではなく、ボランティアの介助者と障害者が一緒になって楽しく遊びながら、同時に訓練していくところがユニーク。ただ日常生活を送るだけでは存在しているだけであって、楽しく生活しなければ生きているとは言えない。楽しみながら日々の生活を送ることは可能だという。障害者の支援というと今でも暗いイメージの残る日本も、徐々にこういう活動が増えていくだろう。(訳者:池田雅一)

特記事項

サイトのほぼ全文を翻訳。イベントのスケジュールや参加者の写真などは割愛しました。

A. メインページ

Center for Independence(自立生活センター)
1600 Ute Avenue, Suite 100
Grand Junction, Colorado 81501 USA
(970) 241-0315 Voice, (970) 241-8130 TTY
(970) 245-3341 FAX, 1-800-613-2271

自立生活センターは、障害者の平等な権利と機会を目指して活動している障害者によって運営されています。各個人が自立生活に向けて責任を負えるように、訓練、情報、サービスなどの提供を目的としています。

CFIは非営利団体で、コロラド州西部の13郡に在住のあらゆる年齢層の視覚障害者、聴覚障害者、またその他の障害者にサービスを提供しています。点字、手話、職業訓練、自立生活術などの教育を行っています。コロラド州の西側斜面地域では、手話通訳のサービスのみ有料で行っています。また、ADA法やアクセスのガイドラインに関する情報提供で企業や個人に支援しています。カウンセリングのような活動や、個人やシステムを変えるために活動する各種の団体を支援したり、CFIの活動地域内で情報の提供を行っています。

私たちの活動の目的は、直接のサービス、トレーニング、支援、地域の教育などを通じて、積極的に地域内の取り組みや機会に影響を与えることと、すべての健常者がアクセスしやすくなるように促進し、重い障害者を励まして自立生活をできるようにすることです。

CFIのプログラム

  • B.支援技術情報センター
  • C.聴覚障害者のためのサービス
  • D.視覚障害者のためのサービス
  • E.居住地域を積極的に外出する(PACT)(14〜25才)
  • F.積極的に外へ出かける
  • G.職業サービス
  • H.グッドネイバー(良き隣人)ボランティアプログラム

B. 支援技術情報センター

支援技術とは?
障害者の可能性を広げる、維持する、または改善させる機器や製品ならどんなものでも、支援技術と言います。支援技術やいろんなサービスにより、家庭や職場での自立性、生産性、自尊心、協調性などを身につけることができます。
たとえば、
改造コンピュータ
歩行器・電動スクーター・車椅子
意思伝達装置
環境コントロール機器
適応レクリエーション機器
家庭・職場の改造
日常生活補助用具
CFIのサービス
相談
実地体験できる展示会
インターネットでのトレーニング
情報提供
資金調達
障害者相互のコンピュータ・ユーザー・グループ
毎月第2・第4火曜日、午後2〜3時に集会があります。議題は適応機器、e-mail、コンピュータの保守管理とトラブル対策、基本操作などです。各自質問や、便利な使い方を持ち寄って、他のメンバーと共有しましょう。
視覚障害者のコンピュータ・ユーザー・グループ
毎月第2木曜日、午後2〜3時に集会があります。画面拡大ソフト、画面読み上げ装置、音声合成装置などについて、意見交換します。最新情報や最新機能などを手に入れて下さい。

C. 聴覚障害者のためのサービス

自立生活センターは過去8年にわたり、コロラド州西部に住む聴覚障害者に優れたサービスを提供してきました。このプログラムの目標は、まず聴覚障害者の世界、例えば聴覚障害者が熱望していること、不安や必要なことなどについて、いつでも事情を把握していること。そして、文化的な問題から知識を得、それに適応すること。一人の人間として認め、選んだサービスを提供すること。さらに情報やコミュニケーションを絶やさず、すべての経験から積極的に学ぶことです。

手話通訳サービスは、多方面にわたる聴覚障害者用サービスのうちの一つです。プロの手話通訳の事務所が、コロラド州西部では他に例を見ない事が表しているように、高品質の手話通訳サービスの提供が、最優先課題です。これにより現在の通訳者登録(国の制度RID)基準に従い、倫理規定に厳格に準拠しています。

サービス

アメリカ式とイギリス式の手話通訳。

国の聴覚障害者手話通訳士登録制度(RID)の指針に沿って、資格を与える。

RIDの倫理規定を厳格に従う。

現在以下の機関と契約しています。
聖マリア病院、グランドジャンクション市とグランドジャンクション市警、メサ郡保安局、救急隊、メサ州立カレッジ、学校、ロッキーマウンテン保健所、7郡合同裁判所

聴覚障害者を認識すること

「聴覚障害者を認識すること」とは、長い間聴覚障害者の社会で使われていた言葉で、健聴者社会と聴覚障害者の成人として生活関連の情報を共有することを含めた言葉です。たとえば、聴覚障害者の社会あるいは個人を示す場合に、単に活字の“D”(反対に“d”)と表すと、非常に重大な文化的分け隔てを作ることになります。

聴覚障害者たちは、電話を使えるでしょうか? 取り次ぎサービスを通してできます。コロラド州の取り次ぎサービスは、公共設備委員会によって運営されています。このサービスを利用するには、“Sprint”という装置を使って電話をかけます。これは、年中無休24時間利用することができ、通話の長さや回数、通話先の場所に制限はありません。このサービスによって、TTY(音声文字変換表示電話)付きのコンピュータを使用した交換手を通して、聴覚障害者が電話をかけることができます。交換手は聴覚障害者には会話をタイプし、健聴者には会話を声に出して伝えます。このサービスの電話番号は、800-659-2656 (TTY)と800-659-3656 (音声)です。

職業の選択は、用務員から大企業のための国の販売代表まで多岐にわたります。聴覚障害のある雇用者を受け入れるためには、職場でいくつかの調整をする必要があるかもしれません。雇用主が主に準備しなければならないのは、“資格を持つ”手話通訳を時々利用できるようにすることです。

D. 視覚障害者のためのサービス

視力の喪失は、今日のアメリカで最も一般的な障害の一つです。視力が病気や事故で失われたのか、あるいは単に老化によるものなのか、どちらも結果として体を弱らせることになります。CFIの低視力者のためのプログラムは、利用者が直面する壁を乗り越えるための助けとなるように設計されています。

CFIでは、視覚障害者のために以下のようなサービスを行っています。

  • 拡大鏡、遮光用品、台所用補助具などの実演展示
  • 音声つきの書籍、音声で知らせる腕時計、掛け時計、電卓などの適応機器の実演
  • カウンセリング的な活動や、各種団体への支援
  • 点字の読み書きサービス
  • 手先を使う技術指導
  • 外出介助や交通機関の利用訓練
  • 音読ボランティア
  • 自立生活訓練
  • コンピュータ、キーボード操作、履歴書作成、就職準備などの職業訓練

アメリカ障害者法に関する情報収集

交通機関や電話情報サービスのアクセス調査

E. 居住地域を積極的に外出する(PACT)(14〜25才)

PACT (Positive Access to Community Transition)とは?

  • 「飲みに行ったりする友達は、あまりいません」
  • 「将来が不安だ」
  • 「高校卒業後どうするか?」
  • 「自分は、他の人と全然違うでしょうか?」

もしあなたが、14才から25才の若年層の障害者なら、PACT (Positive Access to Community Transition)が、手助けします。PACTとは、CFIの外出介助プログラムで、若年層の障害者にサービスを提供しています。参加者は、高校卒業後の生活設計の指導を受けます。そこでいろんなタイプの障害のある若年層の参加者は、人にはそれぞれ他人とは違うところがあることに気付きます。そして高校から就職、さらに高度な教育、自立生活などへのかけ橋になることが目標です。

PACTの話題の中心には、いかに自尊心を持たせるか、何をゴールに設定するか、どのようにして自立生活を始めるか、などです。

さらにPACTでは、予算の立て方、効果的なコミュニケーションの取り方、グランドジャンクション周辺での外出(たとえば学校のキャンパス、ショッピング・センター、スポーツイベント、その他のイベントなど)方法などの問題にも取り組んでいます。

F. 積極的に外へ出かける

POPSとは簡単に言うと、コーディネーターのジェニファー・フォレストが一団を率いて、みんなで楽しく過ごそうというグループのことです。このグループの活動には、体操、ドライブ、水泳、ダイビング、カヌー、干し草乗り、ボウリング、革細工などがあります。その他にももっと多くの計画があります。実際もっと楽しく過ごす時間をとるために、国中を週8日制にしようと提案しています。

POPSは決して閉鎖的なグループではありませんし、事実だれでも参加できます。毎回でも、希望するイベントだけでも参加できますので、お気軽にスケジュールを問い合わせの上ご予約下さい。

G. 職業教育と就職サービス

プロジェクトWIN

コロラド州は、アメリカ教育省の資金によるプロジェクトWINを実施する、6州のうちの一つに選ばれました。JFKパートナーズを主体とした、州行政機関の共同体が、精神、身体障害者の雇用機会を拡大する事業で、1998年10月に5年間の認可を受けました。JFKパートナーズは、グランドジャンクションのCFIとコロラドスプリングスにあるパイクスピークス雇用推進センターを実験施設として指定しました。

コンシューマ・ナビゲータの、キム・ムエックとローリー・マグノの二人が、就職を希望する障害者のお手伝いをします。この二人は、2000年3月に開設されるメサ郡雇用推進センターで活動する予定です。

コンシューマ・ナビゲータは、仕事を見つけ、その仕事を続けるために必要なサービスや支援をするシステムを利用して、就職を希望する障害者を手助けします。プロジェクトWINのもう一つの役割は、国、州、地方レベルでの現在の政策、方法、実施について書かれた、活動を阻害するものを調査することにより、構築しているシステムの変更に協力をすることです。

職業訓練

CFIが行っている職業訓練講座には、次のようなものがあります。会社でのエチケットや応対の練習、経理の基礎、キーボードの基本操作、Word Perfect 6.1による文書作成、Lotus1-2-3やQuickBooksを使っての予算管理などです。各講座は20時間増やされ、受講者の利便性と希望を取り入れてスケジュールが決められました。20時間ごとに一区切りにして、受講者、自立生活支援の専門家、助成金を受けている場合その出資者などが集まり、習得の程度や、さらに受講する必要があるかなどを審査します。講座や助成金などの情報は、お気軽に問い合わせ下さい。

職業開発と配置

就職相談を希望する場合、受講者と面接し本人の志望や適性を判断します。私たちが話し合う事柄については次のようなものがあります。

  • 良い就職先を見つけるために、さらに職業訓練を続ける
  • 衛生問題と、身だしなみ
  • 礼儀正しい仕事上の服装
  • 履歴書の書き方
  • 正式な応募の仕方
  • 願書には必ず表紙をつける
  • 面接時にうまく話せるように練習しておく(たとえば、給料や会社の儲けを聞いたり、障害を打ち明けるのか否かや、障害についての質問にどう答えるか、あるいはプライベートな質問にどう答えるかなど)
  • 就職活動をする
  • 応募後にも挨拶状を送る
  • 面接の復習をする
    ・あつかましく思われない程度に、相手の様子を探る

通勤介助

もし受講者が家の近くの職場に就職が決まったが、通勤が困難な場合、通勤介助者を依頼します。時間は依頼者と雇用主の都合の良い時間に合わせます。

H. グッドネイバー(良き隣人)ボランティアプログラム

CFIのボランティアプログラムは少し特色があります。ボランティアコーディネーターのボビーは、誠心誠意ひとの世話をするすばらしい隣人です。ボビーやこのプログラムの利用者と知り合うことは、一番の褒美になるでしょう。

CFIのグッドネイバーは、ひとりの視覚障害者にひとりがついて一緒に活動するボランティアです。新聞や手紙の朗読、散歩、買い物、食事などの外出介助、通院送迎や歯科予約、月に一度のレクリエーション参加のための介助などを行います。このボランティアの拘束時間は、週1〜3時間です。研修やサポートは、ボランティアコーディネーターが行います。一人一人のニーズや好みが違うので、利用者とボランティアを生活環境、好み、性格などが似た人同士で組み合わせるように努力していますので、友情が芽生えることもあります。

利用者には、それぞれ衣・食・住の必要最小限の生活がありますが、もし生活のすべてが必要最小限のものなら、それは生きているとは言えず、ただ存在していると言うだけなのです。価値のあることと楽しめることとは、同時にすることができるのです。利用者は、また楽しく遊びたいと言っています。自分の住んでいる地域で、障害者の手助けをして、それと同時に楽しく遊べるなんてこんなにすばらしいことはないでしょう。私たちは、障害者とボランティアが一緒に楽しく過ごして欲しいと思っています。CFIのグッドネイバープログラムは、依存関係を友情に変えて障害者の生活を豊かにします。

※ 詳しい内容につきましては、原文サイトでご確認・お問合せください。

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