はあとリンク 翻訳館 アクセス委員会の(508条に基づく)電子情報技術のためのアクセス基準

Access board: Standards for Electronic and Information Technology

概要紹介

1973年制定のリハビリテーション法は、アメリカ障害者のノーマライゼーションのための根幹的な法律の一つだが、1998年にその第508条が改正され、連邦政府の電子及び情報技術(以下、電子情報技術)のアクセシビリティ確保の強化が求められることとなった。
 米アクセス委員会が同法の下で作成し、2000年3月31日、連邦規則となるべき基準として提案したのがこの基準である。今後5月30日まで公開コメントを受け、修正の上、8月7日以降の実施予定である。(2000.04.15現在)

その後、公開コメントの期間を終え、基準の修正中だが、基準の適用は委員会の最終基準が発表されたあとさらに6ヶ月後となる。
サイトでは、URLの変更と当初あった「概要」と「概要チャート(「提案された基準」の表2-1)」の内、「概要チャート」へのリンクがなくなり、提出のあった公開コメントリストが紹介されている。

「提案された基準」そのものは大部のものであり、また、最終基準でもないため、今回の翻訳はメインページと概要紹介に留め、参考として「概要チャート」を訳した。(2000年7月29日現在  翻訳担当: 戸川秀樹)

A. メインページ

連邦の電子情報技術のために提案された基準

2000年3月31日に、Access委員会は、60日の間公開コメントに供された電子情報技術のための提案基準を発表しました。基準は、連邦部内での広範なコンピュータ、ソフトウェア、電子オフィス設備を含む情報手段に適用され、連邦政府の電子情報技術へのアクセスを要求する1998年のリハビリテーション法修正条項の508条の下で作成されてきました。この法は、連邦機関が電子情報技術を開発、取得、維持、使用するとき、そのすべてに適用されます。

連邦機関は、障害のある従業員や関係行政職員に対して"過度の負担"を強いない範囲で、できる限りその技術をアクセシブルにしなければなりません。

  • 提案された基準(HTML) テキスト PDF
  • 規定する評価(HTML) テキスト PDF
  • 公開コメント
  • 提案された基準の概要
  • よく尋ねられる質問
  • プレス・リリース
  • 背景

第508条に関する追加の情報は、www.section508.govで利用できます。

提出されたコメント

100を超える個人や組織から、基準についてのコメントがありました。連邦機関、情報技術産業の代表、障害グループや障害のある人達からのものです。この基準は、コンピュータ、ソフトウェア、電子オフィス設備を含む情報発信のための種々の機器に適用され、さまざまなタイプの機器に固有の技術的基準を提供し、適用を受けるテクノロジーの機能能力に言及します。操作部、キーボード、キーパッドにも及びます。さらに、ソフトウェア・アプリケーションやオペレーティングシステム(非組み込み式)、ウェブ情報やウェブで使用するアプリケーション、電気通信機能;ビデオまたはマルチメディア製品、そして、情報キオスクと処理機械にも及びます。また、身体の不自由な方々が情報とコミュニケーション・アクセスのために一般に使う適応可能な設備との互換性についても規定されます。

コメントは、平時営業時間内に、委員会事務所で閲覧できます。委員会は、コメントの分析に従って基準を完成させ、官報において再発表します。

最終的な基準は、連邦政府獲得規則となります。

議会は、第508条実施猶予を認める。

2000年7月13日、クリントン大統領は、リハビリテーション法508条の修正を含む特別支出金法案に署名しました。この改正によって、アクセス委員会の最終基準の適用実施にさらに猶予期間が与えられることになりました。本来508条は2000年8月7日の実施予定でしたが、この日付は今年2月の最終的な基準から6ヵ月の猶予があったということです。

下記の修正は、アクセス委員会の最終的な基準の発表から、実施までに6ヵ月の猶予を認めます。改正は、国会が先週可決した軍の特別支出議案( 2001会計年度、軍の建設政府支出金法(P.L. 106-246))に含められました。この動きは、新しい基準を適用する関連産業に十分な時間を与えるものですが、そのことは、基準を完成させるアクセス委員会に影響を与えるものではありません。委員会は、できるだけ早く基準を完了する予定です。

2001会計年度、軍の建設政府支出金法から
(HR。4425; P.L. 106-246; 2000年7月13日)

SEC.2405. 1973年のリハビリテーション法(U.S.C.29 794d(f)(1))の508条(f)(1)は、次のように改められる―

(1) サブパラグラフ(A)での『発効』とあとに続く『1998年中の発効』に対して、サブセクション(a) (2)の『アクセス委員会による最終的な基準の公告日以後6ヶ月で発効』という文章を挿入

(2) サブパラグラフ(B)での『2年』とあとに続く全ての『2年』に対して、サブセクション(a) (2)の『アクセス委員会による最終的な基準の公告日以後6ヶ月』という文章を挿入。

  • 2000年7月29日現在:訳者

2000年6月時点での経過記事(参考)

法律発効の議決

上院は5月に委員会の最終基準の適用実施に猶予を与えるため、508条の施行期日延期の改正案を可決しました。本来、508条は2000年8月7日に実施予定でしたが、この日付は今年2月の最終基準に基づき、その後6ヶ月の猶予を定めたものでした。

上院での改正はジェームズ・ジェフォーズ(James Jeffords)上院議員によって提案され、法の趣旨に則って委員会の最終基準の発表から、実施を6ヶ月延期するものです。これは、すでに通過した軍の予算案(会計年度2001,S.2521)に基づいて改正されました。今後、上院議員らによって上下両院協議会に図られ、両院でのくい違いも予想されます。この法律は新しい基準を適用する関連産業に十分な時間を与えるものですが、そのことは、基準を完成させるアクセス委員会に影響を与えるものではありません。委員会は、できるだけ早く基準を完了する予定です。

B. 電子情報技術のために提案されたアクセス基準の概要

改正リハビリテーション法508条の下で、アクセス委員会は、2000年3月31日、電子情報技術のための提案基準を発表しました。この提案は、2000年5月30日まで公開コメントのために利用されますが、当委員会のウェブサイトwww.access-board.gov、もしくは、1-800-USA-ABLE(声)、1-800-993-2822(TTY)で入手できます。

アクセス委員会は、障害者のための電子情報技術へのアクセスを規定する基準作成を受け持つ独立した連邦機関です。委員会は、また、他の規則の下での建造物や輸送乗物、遠隔通信装置などのアクセシビリティ・ガイドラインを開発、維持しながら、連邦諸施設のためのデザイン基準を実施します。

法律:508条

1998年、議会はリハビリテーション法を改め、連邦部門における情報へのアクセスを保証する規定を強化しました。その結果、リハビリテーション法508条は連邦政府に対し、電子情報技術へのアクセシビリティの向上を求めます。この法律の規定は、障害者が利用する支援技術だけに限らず、連邦部門の電子情報技術の全てに及びます。また、そのような技術を開発、入手、維持、使用する全ての連邦機関に適用されます。連邦機関は、「過度の負担」とならない限り、職員及び市民に対してこれらの技術のアクセシビリティを保証しなければなりません。法律は、アクセス委員会にこの技術のためのアクセス基準を作成し、連邦の獲得規則の一部とするよう命じるものです。

508条の範囲は、連邦部門に限られており、その必要条件を個人部門や連邦の資金受給者に強制するものではありません。但し、教育省は「支援技術法州承認プログラム」(AT Act State Grant program)の下で、「支援技術法」(AT法)をアクセス委員会の基準を含む508条に適合させるものと解釈します。教育省は、AT法の執行に責任を有する機関で、AT法の目的達成のために、国がどうすべきかを詳しく説明する指針の発行計画を立てます。従って、連邦機関に限定されているようですが、AT法の下にある連邦資金受給者もまた508条の適用を受けることとなります。

電子情報技術諮問委員会
(Electronic and Information Technology Access Advisory Committee )

法律施行直後、アクセス委員会は勧告すべき基準の作成、進展のための諮問委員会を設置しました。1999年5月、この電子情報技術諮問委員会(EITAAC)はその作業を終え、アクセス委員会にその勧告案を提出しました。諮問委員会は産業、障害者団体、その他この法に関連するグループの代表27人で構成されていました。今回の提案された基準はこの委員会の報告に厳密に基づくものです。

基準の今後

このアクセス委員会の基準は、2000年3月31日に官報で発表され、公開コメントのために60日間利用されます。この間、提案された規定に関する議論や質問にあったさまざまな問題についてのコメントや情報を求めます。このコメント期間以後、委員会は受け取ったコメントを評価し、必要に応じて基準を修正し、官報において最終的な発表を行ないます。その最終基準は、連邦の獲得規則の一部となり、技術製品やシステムがアクセシブルかどうかを判断するのに役立つでしょう。

コメントの提出

コメントがあれば、2000年5月30日までに提案の指導に沿って、電子メール、郵便またはファックスで提出することができます。電子メールのコメントは、section508nprm@access-board.govまで、また、謝礼金を受け取るために送り主の名前と住所を記入してください。これらのコメントは、通常の業務時間内において、アクセス委員会で閲覧できます。

実施

連邦政府が利用する技術へのアクセスを確実にするため、第508条は連邦規則獲得手続きを取ります。また、これは施行2年後の2000年8月7日に発効する行政不平手続きを有します。これは、いかなる障害者も、リハビリテーション法504条(これは連邦資金によるプログラムやサービスに関する規定)での不平手続きと同様、この基準に違反している連邦の省や機関に対して不満を主張することを可能にします。これは主張が正しければ、命令的に救済し、その弁護士費用を提供しますが、補償的あるいは懲罰的な損害は含みません。各個人は機関に対し市民運動を起すことも可能です。

法規によって、第508条の適用実施は、2000年8月7日以降に取得された電子情報技術に限られます。したがって、第508条は委員会の基準に適合させるために、この日以前に取得された技術の改造を求める不平や訴訟を認めません。しかし、実施が8月7日以降であっても、この法は現在開発、使用、維持されている技術へのアクセシビリティの確保は当然要求します。さらに、リハビリテーション法の他の条項、例えば504条は、連邦プログラムへのアクセシビリティを要求し、501条と504条は障害のある連邦職員に対する調整を要求します。したがって、他の条項に適合するかどうかの一つの判断基準として、連邦機関がこの委員会の基準を使用することは可能です。

「過度の負担」

過度の負担を強いるときは、連邦機関は情報技術アクセス基準への適合を強制してはなりません。これはアメリカ障害者法(ADA)や他の市民権法での用語と同じで、「過度の負担」とは「重大な困難もしくは費用」と定義されています。しかしながら、その場合でも、なぜ基準適合に過度の負担があるのかを説明する義務がありますし、障害者に対する必要な情報やデータへのアクセスを提供しなければなりません。

提案された基準

基準の及ぶ範囲 (総論-項目A)

ここでは、規定が及ぶ技術のタイプを定義し、アクセシビリティの最低基準を確立するための条件を提示します。アプリケーションの項では、基準の範囲を概説します。同時に、例外を説明し(1194.3)、規定が及ぶ項目を明示し(1194.4)、同等もしくは高度なアクセスのための代替装置について概説します(1194.5)。

規定が及ぶものとそうでないもの

第508条の規定は、連邦部門における通信、複写、コンピューティング、記憶装置、プレゼンテーション、制御、輸送や生産等に用いられる情報技術のすべてに及びます。また、コンピュータ、ソフトウェア、ネットワーク、周辺機器、その他の電子事務機器にも範囲が及びます。この規定での「電子情報技術」の定義には、「通常業務において、データや情報の入手、保存、操作、管理、移動、制御、表示、変更、交換、伝達、受入などのために使用されるすべての装置、あるいはその相互接続システムや補完システムのすべて」が含まれます。

第508条は、軍の命令、武器類、情報機関、暗号作成活動(他の防衛関係目的のため連邦機関や個人的に行なわれる通常業務と行政システムは除く)については適用を免除します。

連邦の契約

基準の規定は、連邦機関が民間機関との契約において入手する技術に及びます。但し、契約に直接関係する製品と提供物に限られます。つまり、契約に付帯した技術には適用されないとの例外規定によって、連邦機関との契約条項にない製品にはこの基準は適用されません。例えば、ある会社が契約の下で報告書を作成する際、たとえ契約のためだけに使用するとしても、そのためにアクセシブルなコンピュータやワープロソフトを入手する必要はありません。適用されるのは、それらの製品が契約上の提供物として、連邦機関の所有物になるべきものであったり、連邦機関がプロジェクトの一契約者としてその製品を購入する時に限られます。例えば、連邦機関が新しいウェブサイトを作成する契約を業者と結んだ場合、連邦のその新しいサイトには基準が適用されますが、業者の持つウェブサイトには適用されません。

アクセシビリティ基準 (項目B)

この提案では、さまざまな技術や必要な装置について、それぞれに応じた技術基準を提供します。そのことで、適用を受ける技術の機能的能力にも焦点が当たります。この二重のアプローチは、適用を容易にする固有の基準を明らかにするという必要性とも関連して、ダイナミックに絶えず進化する技術の性質を明らかにします。そして、障害者が情報とコミュニケーションの手段として一般に使う調整装置についても明らかにします。

一般的な条件(1194.21)

ここでは、適用製品のすべてに予め付帯すべき機能を述べます。
次のように規定しています。

  • 視覚障害者や色盲者のために、色分けを唯一の視覚識別手段としない
  • それ自体で独立している設備(例えば複写機)は、車椅子使用者を含む障害者にとって操作しやすい距離とスペースを確保しなければならない
  • 閃光的なグラフィクス・コンテンツは最大閃光率を2ヘルツ以下に抑え、光過敏性てんかんの人が発作を起さないようにする
  • 双方向メニューシステムでよく使われる一定時間内の応答には、必要に応じて時間の追加が許されること
  • ユーザーの識別または起動に用いられる生物認識法(例えば指紋または網膜走査)が行なわれるところでは、常に代替手段があること
  • タッチ操作が必要なところでは、直接人体の接触がなくても、人工装具や支援装置(例えば、ヘッドスティック)を用いる人がアクセスできるようにする
特定のものに必要な装備(1194.23)

この提案では、特定の装置や製品に必要な基準として次のことが述べられます。

  • 操作装置、キーボード及びキーパッド
  • 組換え可能なソフトウェア・アプリケーション及びOS
  • ウェブに基づく情報及びアプリケーション
  • 遠隔通信機能
  • ビデオなどマルチメディア製品
  • 情報キオスクと処理機械

操作装置、キーボード及びキーパッドの基準とは、視覚障害者や身体障害者や電動操作によるアクセスのための操作機能のことです。

ソフトウェアやウェブに基づく情報及びアプリケーション

組換え可能なソフトウェアとウェブ・アプリケーションの仕様基準は、そのほとんどが視覚障害者に関する記述になっています。例えば、マウスのようなポインティング・デバイスを使うのが困難な視覚障害者にとっては、その代わりとなるキーボード操作が大変重要なことです。また、障害者がコンピュータ情報にアクセスするのに使われる特定の装置から導かれた基準もあります。これらの装置の中にはスクリーンリーダーがあり、これはコンピュータ画面の文字を音声出力と更新式(リフレッシァブル)点字に変換してくれるものです。文字を含むタグ或いはグラフィックやフレーム構造を認識する装置は、これらを読むために一定の約束事が必要です。

ウェブ・サイト

この基準は、連邦政府のウェブサイトのみに適用され、民間のサイトには適用されません。(連邦機関との契約で提供されるサイトは除く−その場合でも契約条項が及ぶサイト部分だけに限られる)また、基準はウェブサイトでの画像やアニメーションの使用を禁止しません。但し、視覚障害者が読める代替フォーマットでの情報提示を求めます。これは一般的には、画像や特定のフォーマットのデザインを示すテキストやその記述を意味します。HTMLコードでは、画像についての文字記述を入れる「ALTタグ」が既にあります。アクセシブルなサイトは、単にアクセスできるということを超える重要な利点があります。テキストオンリーの選択肢があることによって、ウェブの情報をより早くダウンロードでき、携帯電話や個人のデータ端末への伝送を容易にします。

遠隔通信機能

この項の基準は、主に聾・難聴者のアクセスを確保するために作成されました。この中には、補聴具、人工耳、その他聴覚支援装置やTTYの互換性基準があります。TTYは難聴や言語障害のある人に電話での会話を可能にするものです。これらは大抵、送受話器用の音響カプラーと簡単なキーボードとメッセージの表示ディスプレーを持ちます。一つの条件は、TTY機能を有しながら声でも話せる遠隔通信装置のための標準的な非音響のTTY接続ポイントです。その他の仕様は、出力調整可能なボリュームコントロールや製品と聴覚技術の接続について言及します。

ビデオまたはマルチメディア製品

マルチメディア製品とは一つ以上のメディアを伴い、次のものに限定されませんが、ビデオプログラム、ナレーション入りのスライド、コンピュータによるプレゼンテーションなどを含みます。この項では、(13インチ以上のスクリーンを持つすべてのシステムを対象とした)字幕解読回路やテレビチューナーの副音声チャンネル(コンピュータのチューナカードを含む)について述べます。また、この基準は、連邦機関が製作または入手した特定のマルチメディア製品について、字幕やビデオ解説を付けることを求めます。この条件は、繰り返して観られるビデオ等や視覚及び聴覚に障害のある視聴者に対して調整を図るものです。例えば、視覚や聴覚障害者を含まない内部スタッフなど、限られた者への一回限り(複数上映されない)のものには適用されません。(しかし、内部スタッフに上記の障害のある者がいた場合は、たとえビデオに字幕を付ける必要がないとしても、リハビリテーション法501または504条の下での調整は必要です。)また、基準では、視聴者が字幕やキャプションのオン/オフを選択できるようにすることも述べています。

情報キオスクと処理機械

この項では、情報キオスク、ATM、その他の処理機械について述べます。基準の要求は次の通りです。

  • ユーザーが支援装置を用意しないで済むよう、アクセス機能をそのシステムに組み込むこと
  • 秘話機能(送受話器、標準的なヘッドホン端子)
  • 音声出力が提供される場合、ユーザー側でそれを中断できること
  • また、その場合、音声ボリュームの調節ができること

さらに提案では、現在アクセス委員会がアメリカ障害者法(ADA)と建築障壁法(ABA)の下で更新中の設備に対し、この指針に注意するよう促します。これらの指針は、2000年5月15日まで公開コメントを受け、視覚障害者にとってアクセスしやすいATMや料金自動支払機のための新たなより精密な基準を提供します。委員会は、その他の設備、例えばPOS端末や情報キオスクなどにもその指針の適用範囲を広げるかもしれません。その結果、最終版では、この項の技術基準の内容が変更されることもあります。

支援技術の互換性(1194.25)

この項での規定は、障害者が使用するスクリーンリーダー、点字ディスプレー、TTYなどの支援技術の互換性の確保を求めるものです。どんな製品もすべての障害者にアクセシブルであるとは限りませんので、支援技術への適応が必要になります。例えば、すべてのコンピュータは更新式(リフレッシャブル)点字ディスプレーの装着を想定していませんが、それらの装備との互換性は想定されています。ここでの規定は、すべての情報パス、外部の電子情報へのアクセスとリアルタイム操作に必要な制御、そして外部音声処理装置の接続スイッチについて述べます。

機能の性能基準(1194.27)

ここでの性能基準は、全体的な製品評価と、他の条文で規定のない技術や部品のために設けられたものです。これらの基準は、個々のアクセシブルな部品が1つのアクセシブルな製品を作るよう総合されることを求めるものです。ここでは、入力と制御機能を含む操作、機械装置の操作、そして、視覚、聴覚情報へのアクセスについて規定されます。これらの基準は、感覚や身体に障害のある人が、位置決めし、特定し、入力や制御、機械的機能を操作し、提供された情報(テキスト、静止画や動画、アイコン、ラベル、音や付帯的な操作キューなど)にアクセスできるように構成されています。例えば、1つの基準は、弱視者の多くが難聴を伴うという理由から、弱視者(視力が20/70から20/200の間)が音声入力に頼らずに操作できるような1つ以上の操作モードを持つように求めています。

情報、文書、サポート (項目 C)

基準は、すべての情報へのアクセス、文書、ラベリング、そして基準の及ぶ技術のエンドユーザー(連邦職員等)へのサポートについても述べます。これには、ユーザーガイド、エンドユーザーのインストール可能な装置のためのインストールガイド、そしてカスタマーサポートや技術サポート・コミュニケーションなどが含まれます。このような情報は追加料金なしで代替フォーマットが入手できなければなりません。代替的なフォーマットやコミュニケーション手段としては、点字、カセットテープ、拡大印刷、電子テキスト、インターネット掲示、TTYアクセス、ビデオの字幕と音声解説などが含まれます。

C. 概要チャート

以下の表2-1は、提案された基準の特定の必要条件を概説する。

テーブル2-1
提案基準 必要条件
一般  
情報伝達や、動きを示す唯一の手段であってはならない
独立型、非移動式、位置固定された製品の制御 領域基準の図1と2を参照しなさい。
ディスプレイ(例えばPCモニター) テキスト、オブジェクトや他の要素のちらつきは、2ヘルツ以下が望ましい。
時間の限られた応答機能 少なくとも1つのモードを提供して、ユーザーに一定時間内に応答することを要求しないようにするか、デフォルトのセッティングで少なくとも5回繰り返しできるなどの時間調整をできるようにする。
生物測定学的識別/起動システム ユーザーに特定の生物学的特徴を所有することを要求しない代替方式を提供しなければならない。
タッチスクリーン/タッチ制御 体の接触や人体の近接がなくとも動作するものでなければならない。
具体的な構成要素  
機械的操作、キーパッドまたはキーボード 操作キーは、触れることで識別できなければならない。ロックキーやトグルキーの状態は、視覚的に識別できなければならず、タッチか音でも識別できなければならない。
ソフトウェア・オペレーティングシステム
  1. ナビゲーション
    • インタフェース領域には論理的なキーストロークが保持されること。
  2. 互換性
    • 製品またはオペレーティングシステムは既存のアクセシビリティ機能を妨げてはならない。
  3. 視覚焦点インジケーター
    • 入力焦点移動のインタフェースのために、はっきり分かり、プログラムに添って現れる視覚焦点インジケーターをもつこと。
  4. インタフェース
    • 支援技術がインターフェースを認識し、操作し、その状態を理解する情報を提供すること。
  5. イメージ・インタフェース
    • 支援技術が意味あるテキストをイメージ表現やその要素の状態と結びつけるのを可能にする方法を提供する。
  6. イメージの使用
    • アプリケーションを通して一貫していること。
  7. 支援技術同士の相互作用
    • アプリケーション・プログラミング・インタフェースを通してテキストを提供するか、テキスト・ライティング・ツールを使用しなさい。少なくとも、テキスト内容、脱字箇所テキスト入力やテキスト属性を提供しなければならない。
  8. コントラスト調整
    • 少なくとも8つの前景と8つの背景が選択できるようにする。
  9. ディスプレイ属性
    • システム全体のセッティングを維持するために、個々のアプリケーションのディスプレイ属性を無視できるオプションを提供すること。
  10. 電子フォーム
    • 支援技術を使用して、指示、キューを含むフォーム記入及び送信に必要な情報、フィールド要素や機能にアクセスできるフォーマットを提供する。
  11. アニメーション/動く文字
    • 静止モードで表示可能な少なくとも1つのユーザー・オプションがなければならない。
ウェブ上の情報
  1. 等価テキスト
    • すべての非テキスト要素には、"alt"(代替テキスト属性)や、" longdesc "(長い記述タグ)を用いること。
  2. ウェブページ・デザイン
    • 色付きで伝達されるすべての情報は、色なしで利用できなければならない。
  3. 言語識別
    • 元の文書テキストと拡張等価テキストの変更は、明らかに確認されなければならない。
  4. オーガニゼーション
    • スタイルシートを必要とすることなく読めること
  5. ダイナミック・コンテンツ
    • ダイナミック・コンテンツが変わるときは、ウェブページはその等価物を更新する。
  6. サーバー側のイメージ・マップ
    • 余分なテキスト・リンクは、それぞれのアクティブな領域に対して用意されること。
  7. クライアント側のイメージ・マップ
    • サーバー側イメージ・マップの代わりにいつでも利用可能であること。
  8. テーブル
    • 列とコラム・ヘッダの情報があること。
  9. マルチ論理列またはコラム・ヘッダ
    • データ・セルやヘッダ・セルを結合するためにマークアップすること。
  10. フレーム
    • 識別やナビゲーションを容易にするテキストにタイトルをつける。
  11. ページの有効性
    • スクリプト、アプレットまたは他のプログラムの対象はオフにされるか、使用しないか、等価情報や代替ページを提供することが望ましい。
  12. 等価オプション
    • どんなマルチメディアのプレゼンテーションにでも同調しなければならない。
  13. 内容閲覧
    • 支援技術使用者にナビゲーション・リンクをスキップする適切なオプションを提供する。
遠隔通信機能
  1. TTYの機能
    • 音声通話可能な遠隔通信製品は、TTYのために非音声の標準接続ポイントを提供し、TTY使用者が音声併用可能なように、マイクロホンのオン/オフができること。
  2. TTY信号
    • 音声通話を含む遠隔通信製品は、全てのメーカーが所有権を保持しない標準信号の使用をサポートすること。
  3. 音声応答システムとTTYの互換性
    • ボイス・メール、自動応答、双方向音声応答システムが、TTYで有効であること。
  4. 調整可能な応答時間間隔
    • ボイス・メール、メール、自動応答、双方向音声応答システムでは、一定時間内での応答を要求しないか、応答のタイミングや繰り返しをデフォルトでは5回にするか、もしくは最低回数にまで調節可能にするような、一つのモードを提供すること。
  5. 発信者 ID
    • TTYや電気通信中継サービスを受けたり、ディスプレイを見ることができないユーザーのために発信者 IDを提供すること。
  6. ボリューム・コントロール
    • 遠隔通信製品は、音声信号を伝達する上で最低20dBまで調節可能で、増加には少なくとも12dBごとの中間ステップがあること。
  7. デフォルト・ボリュウムへのリセット
    • ユーザーが出力ボリュームを調節した場合、その使用後、電気通信製品は自動的にデフォルトのレベルにボリュームがリセットされること。
  8. オーディオ変換器
    • 遠隔通信製品の出力がオーディオ変換器を通して送られる場合、効果的な磁気無線連結のための手段を有すること。
  9. 電波干渉の減少
    • 遠隔通信製品の活用のため、電波干渉はできる限り最小に抑えられなければならない。
ビデオまたはマルチメディア
  1. テレビチューナー
    • 第二音声プログラム再生回路を備えていなければならない。
  2. キャプション(字幕)
    • スピーチや内容理解のための音声がついた製品は、それが聴覚障害を含む聴衆に繰り返し使われるときは、オープンかクローズドのキャプションがなければならない。クローズド・キャプションの製品は、字幕にアクセスするために別々のハードウェア、回路またはソフトウェアを要求してはならない。
  3. 視覚的内容
    • もっぱら内容理解のために視覚情報を使う製品には、それが視覚障害を含む聴衆に繰り返し見せられるときは、説明的なナレーションがつくこと。
  4. ユーザーの選択
    • ディスプレーや代替テキストの表示、もしくはナレーション説明は、常備でない限りユーザーの選択ができること。
情報キオスクとターミナル
  1. 利便性
    • 障害者が支援技術を用いなくとも利用できること。
  2. オーディオ出力
    • 秘話及びユーザー側での中断ができる機能のあること。
  3. 音声出力
    • 65dBまで出力を徐々に拡大できるボリュームコントロールを持つこと。周囲の雑音レベルが45dBを超えるときは、ユーザーが少なくとも20dBのボリューム拡大が可能なこと。
支援技術との互換性  
互換性の標準化
  1. 情報またはコミュニケーションの伝達または伝達手段の働きをする全ての製品は、アクセシブルなコミュニケーション情報を提供するためにメーカーによる差異がなく、所有権の保持されていない産業-標準コードや翻訳プロトコルなどのフォーマットないし情報を通じて伝達すべきものとする。符号化、信号圧縮、フォーマット変換または類似した技術を使用するものは、アクセスのために必要な情報を削除せず、配信後、復元されるものでなければならない。
  2. 製品は、所有権の保持されていない拡張スロット、ポート及びコネクタを使うものとする。
  3. OSは支援技術を用いても動作すること。
  4. オーディオ出力を提供している製品は、業界標準コネクタによる標準の聴覚信号を提供すること。
機能性基準  
視覚 視覚や支援技術のためのサポートによらず、操作や情報検索ができる最低一つのモードを提供すること。
視力 20/70を超える視力や支援技術のためのサポートよらず、操作や情報検索ができる最低一つのモードを提供すること。
聴覚 聴覚や支援技術のためのサポートによらず、操作や情報検索ができる最低一つのモードを提供すること。
音声情報 製品の使用にとって重要なとき、操作や情報検索のために、少なくとも一つの聴覚機能支援モードを提供すること。
スピーチ スピーチや支援技術のためのサポートによらず、操作や情報検索ができる最低一つのモードを提供すること。
運動技術/調整 優れた運動技術や同時操作によらず、また、限られた運動領域や強さでも操作や情報検索ができる最低一つのモードを提供すること。
情報、文書及びサポート  
情報、文書、ラベリング及びサポート
  1. フォーマット
    • 政府機関からエンドユーザーに提供されたいかなる製品サポート文書も、割増し料金なしで要請の代替フォーマットに交換できること。
  2. 製品仕様書
    • 政府機関から提供される製品のアクセシビリティと互換性機能の記述に対して、エンドユーザーから請求があれば、追加料金なしで代替フォーマットまたは代替モードでアクセスできること。
  3. サポート・サービス
    • 政府機関から提供される製品のためのサポート・サービスは、障害をもつエンドユーザーのコミュニケーション・ニーズに応じて調整されること。
  • 翻訳最終更新日:2000年5月15日

※ 詳しい内容につきましては、原文サイトでご確認・お問合せください。

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