製菓製パン 2010年4月号より転載

「神戸スウィーツ・コンソーシアム(KSC)in 東京
〜チャレンジド・プログラム Vol.2〜」から

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野澤孝彦氏 (コンディトライ ノイエスシェフ/横浜市青葉区) の講習より

野澤氏の写真
▲「この取り組みがモデルケースになり全国に波及する事を望む」と語る野澤氏

野澤氏の写真

野澤孝彦氏の思い

 アメリカでは、障がい者が置かれている環境、立場など、全てを計算しつくしてその人のためのたった1台の車椅子が作られていると聞いた。それを使いこなして社会復帰を果たし、それぞれの立場で社会貢献をしてもらおうという考え方である。このように、日本でも身体の不自由さの度合いに合わせたそれぞれのお菓子作りが出来るかを考えさせられた機会となった。

 今回参加した受講者にとって、作業を進める上でも、まだまだ社会や施設にお世話になっているといった気持ちで精一杯の部分があった。しかし、終了後に講習製品について個別の問い合わせなどもあり、運営に対する本音を聞くこともでき、彼らは素直に我々と真正面から向き合っている事を痛感させられた。

 技術を教える側から見れば、障がいの程度によりクラス分けをした方がより役に立つ方向へ向かうと思う。しかし、そのレベルを誰が判定するかという問題も出てきてしまうので今後の課題かと思う。

 これをモデルケースにして仕組み作りを確立し、ビジネスとして認知させる事ができれば、障がい者を取り巻く社会全体の意識も変わっていくと思う。是非、彼らの運営するお菓子屋が、一般のお菓子屋と同じ土俵で同等な評価を得られるための手伝いが出来れば幸せである。

 

 

ヌスボイゲル
(実技商品)

【配合】生地8個分
薄力粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
無塩バター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40g
牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30g
グラニュー糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g
インスタント・ドライイースト
(サフ赤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.5g
冷凍卵黄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g
バニラパウダー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
レモンの皮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々

【作り方】
(1) 材料すべてをボウルに入れて、手で静かに合わせる。
(2) 生地がまとまってきたら、作業台に移して、艶がでるまで生地を練る。
(3) 練りあがった生地を、23gに分割する。
(4) 分割した生地を、丸めて上から押さえて平たくして、ラップを広げたトレーに移し、表面もラップして、冷蔵庫で休ませる。

【配合】フィリング19g×8個分
クルミパウダー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40g
牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30g
グラニュー糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25g
刻みローストクルミ・・・・・・・・・・・・・・・・・25g
ケーキクラム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15g
ラム酒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15g
シナモン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g

【作り方】
(1) 鍋に牛乳、グラニュー糖を入れて、沸かす。
(2) 沸いたところに、クルミパウダー、シナモン、ケーキクラムを加えて、炊き上げる。
(3) 鍋底から、プツプツ炊き上がるようになったら、ラム酒を加えてしっかり混ぜてバットに広げて、冷蔵庫で冷やす。

【成形・焼成・仕上げ】
(1) 休ませた生地を、約2oの楕円形にして伸ばす。
(2) 冷めたフィリングを生地の上にのせて包み込み、V字になるように成形し、合わせ目を下にして天板にのせる。
(3) 成形し終えて、天板にのせた生地の表面に卵黄を塗り、180℃で約20分焼成する。
(4) オープンから出したら、すぐに表面をティッシュを拭い、艶を出して仕上げる。

 

ケーゼゲバッケン
(実技製品)

野澤氏の写真
▲野澤氏は工程の一つひとつを理論的にていねいに説明する

【配量】10個分
●生地39g×10個分
薄力粉・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・200g
無塩バター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・80g
牛乳・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60g
グラニュー糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g
インスタント・ドライイースト
(サフ赤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3g
冷凍卵黄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g
バニラパウダー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4g
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々
レモンの皮・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・少々

●チーズフィリング
クリームチーズ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
粉糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30g
冷凍卵黄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40g
レモン汁・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5g
ホイップクリーム生(35%)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75g

●レーズン漬け
レーズン(1個あたり5粒)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約50粒
ラム酒・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・浸るくらい

●グース(蜂蜜のソース)
グラニュー糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5g
ハチミツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8g
生クリーム(35%)・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g
無塩バター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16g

【作り方】
●生地作り
  ヌスボイゲルと同様に仕込み、分割成型し休ませる。

●生地の空焼き
(1) 生地を2oくらいに伸ばして、タルト型に敷いて、型からはみ出た生地は払い落とす。
(2) 180℃で15分くらい空焼きにする。

●チーズのフィリング作り
(1) 常温に戻したクリームチーズ、粉糖、レモン、バニラをゴムへらでしっかり合わせる。
(2) 卵黄を加えて混ぜたら、ホイップクリーム生を加えて混ぜ合わせる。
(3) ラム酒に漬けて戻したレーズンを空焼きの済んだ生地に振り分ける。
(4) フィリングを全て型に流して、冷蔵庫で冷やし固める。
※この段階で冷凍保存し、販売する分だけグースを流し焼成する。

●蜂蜜のソース作り
(1) 全ての材料を合わせる。
(2) 冷やして固まったチーズのフィリングの上にソースを流す。

●焼成
(1) 蜂蜜のソースを流し終えたタルトを200℃で約20分焼成する。
(2) 焼き終えたら、型から外して冷ます。

 

ロッゲンフォルコーン
(実演商品)

野澤氏の写真
▲完成した受講生の製品を優しい眼差しで見る野澤氏(左)と八木氏

【配合】
サワー種(フォルサワー)・・・・・・・・・・・1500g
(※残り種、ライ麦、水=各500g)
ライ麦(アーレファイン/日清製粉)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1100g
塩・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g
水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・900g

【作り方】
(1) ※印をすべて合わせて3時間(38℃)発酵させて、フォルサワー(本種)にする。
(2) フォルサワーにライ麦、塩、水を加えて、生地の温度が26℃くらいで粘りが出るまでミキシングし、1時間(28℃)発酵させる。
(3) 生地を分割し、成形し、型にはめて、もう一度発酵させる。
(4) 生地の表面が、ひび割れして、型の8分目を越えてきたら240℃で蒸気でたっぷり入れて10分焼き、ダンパーを開けて、5分焼く。
(5) 温度を210℃に下げて、ダンパーを閉めて、30分焼く。
(6) その後は、様子をみながら調整する。

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