連邦政府行政組織・機関長官に対するメモランダム(覚書)

〜大統領令第13548条施行へ向けたリソ−ス〜

2012年2月24日

 

今年1月にオバマ大統領による大統領令第13548条のホワイトハウス発表を映像と文書でご紹介しましたが、その中では「この計画の目標達成のための多くのリソースがすぐ利用できるようになると考えます。」となっていました。

今回そのリソースについての情報が、労働省から全連邦政府組織・機関の長官への「覚書き」という形で発表されましたのでご紹介しましょう。プロップ・ステーションのカウンターパートであるCAP (Computer/Electronic Accommodations Program) からの情報です。

<by ナミねぇ>

連邦政府行政組織・機関長官に対するメモランダム(覚書)
〜大統領令第13548条施行へ向けたリソ−ス〜

訳文:池田尚子(プロップ神戸)

2010年7月、オバマ大統領はADA法20周年を記念し、大統領令第13548条に署名した。この条例は連邦政府行政組織・機関へ、求人、採用の増大、雇用維持の改善により障害者雇用を強化することを命じるものである。また、さらに10万人の障害者を、以後5年にわたって雇用するという目標が定められた。現在、連邦政府職員およそ250万人のうち、障害のある職員の割合は5%を上回る程度である。また、(※1)重度の身体障害者、知的・精神障害者の職員の割合は1%にも満たない。

(※1)補足:連邦政府機関の障害者雇用において、上記の「重度の身体障害者、知的・精神障害者」はtargeted disabilityとして区分けされ、聾、盲、上及び下肢切断、手足あるいは背骨の歪曲、身体の部分麻痺または全身麻痺、痙攣性疾患、知的障害、精神障害を持つ者に限られる。

連邦政府全機関には大統領令に規定されている目的を確実に達成するという重量な役割がある。 そのためには、包括支援の行きとどいた職場環境の促進、採用、能力開発、昇格決定の均等機会の提供において、連邦政府で就労する障害者の均等雇用のアクセスを確実に行うための努力を怠ってはならない。各機関でこの重要な責任を果たすために役立つリソ−スを下記に記載する。

 

eFedLink.org

労働省・障害者雇用政策局(ODEP)は、つい先日eFedLink.org というサイトを立ち上げた。これは連邦政府の障害者雇用を専門にする職員が、障害者雇用を促進するのに役立てる工夫がなされた実践オンラインコミュニティーだ。eFedLink.orgのユーザーは、政府他機関の人材専門職員、障害者雇用プログラムのマネジャー、全米の(※2)SPPCとの交流や協力に役立つオンラインツールを見つけ出せる。このプラットフォームで当該問題についてのリアルタイムでの話し合いや、連邦政府機関職員の障害者統合における政策、成功事例の共有ができるようになる。

(※2)Selective Placement Program Coordinator (SPPC) とは…
連邦政府での障害者雇用プロセスにおいて、障害者採用担当者あるいは求職者を支援するコーディネーター。 採用担当者へ合理的調整の情報提供、職場での建築的障壁確認、その改善等のアドバイスを行う。求職者に求人情報の提供も行っている。

双方向性がeFedLink.orgの重要な構成となっている。このサイトはスレッドディスカッション、資料のアップロードや共有、リソースリンク、共同計画やメディアホスティング(キャプション付ビデオを含む)の容量があり、アクセスフリーでパスワードが制御されている。www.eFedlink.org でサイトにアクセスし、「登録」をクリックすることで参加が可能である。
eFedLink.orgは共同契約のもとで、ODEPからの資金提供と障害者雇用国立技術支援センターの開発により立ち上げられた。詳細はこちらから。www.askEARN.org

 

人員採用プログラム(WRP)

WRPの参加を通して行われるインターン生の採用は、現在そして今後において障害者が連邦政府での就労に加わるパイプラインになっている。ODEPと国防総省が調整するこのインターンシップ・プログラムは、連邦政府機関の採用担当者、民間企業の雇用者と職務に適した、あるいは審査前の大学在学中の障害学生や大学卒業後間もない障害者を結びつけている。夏季インターンシップ、またフルタイムでの雇用の情報源として、20を超える政府機関が定期的にWRPを活用し、1995年以来、6,000人を超える障害学生がこのプログラムを通して就労している。  

2011年、WRPのデータベースには、全米200校以上の大学から2,200人を超す就労希望学生の全学歴を含むプロフィールが入っている。2012年度の大学内での求人活動が最近開始され、連邦政府の求人担当者が275校以上の大学を訪問している。政府の採用担当者は、12月初旬に就労希望学生のデータベースにアクセスできるようになる。

 

就労希望者共有リスト

The Chief Human Capital Officers CouncilはBender Consulting(アメリカの障害者就労支援サービス機関)と連携し、スケジュールAの採用面接を通して雇用される資格のある何百人もの就労希望者のリストを提供している。このサービスは連邦政府全機関に無料で提供されている。

この共有リストは現在、MAX Federal Communityのオンラインにて提供されている。簡単な検索、就労希望者のプロフィールのリアルタイムでの更新、オンライン上で就労希望者のレジュメの閲覧が可能といった充実した機能がついている。

障害者雇用の成功事例、障害者雇用に関する情報や質問の共有に、全連邦政府機関の人材採用担当者がMAX Federal Communityを利用できる。就労希望者の共有リストをすでに活用している採用担当職員には、MAX Federal Communityへアクセスのメールが届く。新規ユーザーは登録後に共有リストにアクセス可能である。

全米最大規模の障害者雇用機関として、連邦政府は「全市民への均等機会」というアメリカの理想を進める効果的な雇用政策、雇用実践の手本とならねばならない。eFedLink.org、WRP、そして 共有リストは政府各機関が大統領令の目的達成のために利用できる貴重なツールといえよう。

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