交遊抄 「でっかい太陽」 加藤照和(株式会社ツムラ社長)
日経新聞7月5日朝刊より

2018年7月5日

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交遊抄 「でっかい太陽」 加藤照和

日本経済新聞 2018年7月5日朝刊より転載

米アリゾナ州ペイソンで活躍するギタリストのビリー市田さんと、「障がい者からチャレンジドへ。」を掲げる社会福祉法人プロップ・ステーション理事長の竹中ナミさん姉弟には、会うたびに元気をもらう。

私が本社で米国子会社を担当していた30代の頃、ビリーは現地法人の社員。その後、海外子会社の清算に関わり、つらいこともあったが、いつも前向きで明るいビリーは私にとって太陽のような存在だった。

米国子会社の社長として赴任してからは家族ぐるみの付き合いとなった。アーティストを目指していたビリーは、その後退社し、夢を実現させた。そんなビリーに東京・品川の居酒屋で紹介してもらったのが彼の姉、ナミねえ。さらにでっかい太陽だ。

いまも年に一度ビリーの帰国に合わせて開かれるパーティーと翌日のプライベートライブには必ず参加している。私の家族や米国で苦労をともに乗り越えた会社の仲間も一緒だ。お気に入りはナミねえが歌うシャンソンの「ろくでなし」。パワフルな歌声に、ビリーのギターが加わり心地いい。

ビリーが住むペイソンの山の上の一軒家に家族で泊めてもらったのはいい思い出。周囲は国立公園で、道なき道を進む家路はアドベンチャーさながらたった。最近は日本で会うばかりだが、また遊びに行きたい。

(かとう・てるかず=ツムラ社長)

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