障害者雇用 −アメリカは大きな転機に立たされているのか?

〜トム・ハーキン上院議員(アイオワ州民主党上院議員)のレポート〜

2012年9月25日

10月9日(火)アメリカ大使館とプロップ・ステーションの共催による「米国障害者雇用・権利に関する講演・討論会」にたくさんのお申し込みありがとうございます。

「米国司法省で障害者権利に長年携わってきたジョン・ウォダッチ氏とともに、日米の障害者の雇用、権利について話しませんか」

学生の皆さんのご参加枠にまだ残席がありますので、ぜひ振るってお申し込み下さい。参加お申し込みは、下記アメリカンセンターのサイトからお願いします。

https://business.form-mailer.jp/fms/93c912e213249

講演・討論会の参考資料として、本年7月にトム・ハーキン上院議員(アイオワ州民主党上院議員)が発表した米国障害者雇用の現状と課題についての下記レポートをぜひお読み下さい。

ちなみに、本レポート内で「(米国における)生産年齢にある障害者の中で、就労している者の割合はわずか37パーセント」となっていますが、日本における「生産年齢にある障害者の中で、就労している者の割合は、18パーセント弱」(厚労省障害者雇用対策課の統計)であり、日本の大学におけるチャレンジド学生の比率は米国10分の一以下という状況です。

米国の、いわゆる「障害者運動」のミッションが、「私たちはタックスペイアーになる権利がある」というものであることが日米の就業率の違いになっていることは否めませんが、ADAを始めとする米国政府の制度や考え方について学ぶことで、日本におけるチャレンジドの就業率の向上へのヒントが得られるのではないかと期待します。

10月9日(火)の講演・討論会で熱い議論が交わされることを、心から願っています!!(^_^)/~

<by ナミねぇ>

 

障害者雇用 −アメリカは大きな転機に立たされているのか?―
〜トム・ハーキン上院議員(アイオワ州民主党上院議員)のレポート〜

訳文:池田尚子(プロップ・ステーション翻訳担当)

今月(7月)末にADA法22周年記念を迎え、法の擁護者の多くは、ADA法が可決されて以来、障害者雇用状況が改善されていないことを残念に思うことだろう。

近年、障害者の雇用状況は悪化するばかりである。(米国労働省)労働統計局によれば、景気後退のあいだ、健常者の(※)労働力人口の減少がおよそ2パーセントに対し、障害者の労働力人口がその5倍の10パーセントにまで減少した。

(※)労働力人口とは・・・15歳以上65歳未満で、就労している、あるいは働く意思があり就労可能な者。学生、主婦、あるいは長期にわたって就労していない者は非労働力人口とされている。

今月始めに労働統計局が公開したデータから、健常者の労働力人口は徐々に回復しているが、障害者のそれは遅れを取っていることが明らかになった。生産年齢(15歳から64歳)にある健常者の労働力人口数は、ここ1年で約300万人増加したが、障害者の労働力人口数は94,000人も減少している。景気後退以前、障害者雇用が最高水準に達した時でさえ、生産年齢にある障害者の中で、就労している者の割合は37パーセントだった。    

今日、上院保健・教育・労働・年金委員会の委員長としての任務において、国会、行政、業界、そして社会全体に、障害者雇用問題を国家的優先問題とするよう要請する報告書を発表する。いつでも誰もが障害者になりうる。全ての人が、均等雇用機会を特例とするよりも規定にする役割を担っている。

障害者雇用統計データが極めて深刻である。障害者を労働力人口の中に迎え入れることに本気になるなら、わが国は障害者雇用において大きく進展しつつあるだろう。

なぜ楽観主義なのだろうか?

まず始めに、労働力人口に加わる新世代の障害のある若者たちがいる。旧世代の障害者と違い、彼らは普通学級で学び、アクセシブルな地域社会のなかで成長し、一般雇用で働くことを求め、国からのわずかな支援で貧しく暮らしていくことを望んでいない。そういった新世代の障害のあるインターン生が我が職場にいることを嬉しく思う、また委員会でこの事実を証言したい。そのような若い世代の人たちの存在は、これからの障害者雇用に大きな希望を見いだせるだろう。

障害のある若い世代に加え、負傷し、障害者となってイラクやアフガニスタンから帰還し、働くことや家族を養うことに強い意志を持つ兵士がいる。職場内の変化を促すのにいい位置づけの、貴重な若者が大勢いることがお分かりだろう。

次に、障害者雇用における具体的な目標、その目標達成までの過程評価に対し一層真剣に取り組んでいる公的、民間企業を調査している。2010年のADA法20周年記念で、オバマ大統領は2015年までに10万人の障害者を雇用するよう、連邦政府に要請した。昨年、全米商業会議所は、民間企業に2015年までに障害者の労働力人口を100万人以上増やすよう求めた。また昨日、全国知事会(NGA)の会長で、デラウェア州知事のJack Markell氏は、障害者雇用促進はNGAの会長在任期間の独自の選挙戦テーマであると発表した。

その上、労働省は連邦政府と取引のある企業に対し、すべての役職において最低7%は障害のある職員がいるという目標に向けて取り組むよう要請した規定案を公表した。

Walgreens、Lowe's、Best Buyをはじめとする大手企業は労働省の公表を待たず、障害者雇用に対してすでに意欲的な目標を設定しており、才能ある要員の採用、雇用維持、昇格に重点的に取り組んだ結果手にしたメリット(生産性の向上、欠勤や離職者の減少、革新的思考など)を評価している。

3つ目に、国からの給付金の受給資格を取得させるために、国は障害者に無理強いして就労が困難であることを証明させるべきではないという認識がワシントンで高まっていることを私は知っている。社会保障法において1956年に定義された「障害」という言葉、そしてその定義に基づいて発展してきた政府の給付金制度を改訂する必要がある。そうすれば、障害者は均等機会、完全な社会参画 自立生活、経済的自立といったADA法の目的に合致することができる。

現役期間中に、女性、高齢者、マイノリティ、レズ、ゲイ、バイセクシュアルの者、性転換した者に雇用の道が開かれているのを目の当たりにしてきた。わが国の多種多様な人の能力を引き出す力は新しい考えや価値を促進させ、多くの分野においてアメリカを世界的なリーダーにさせてくれた。次は障害者に雇用の扉を開けるべく新たな一歩を踏み出す時だ。そうすることで多種多様な労働力人口が増加し、労働市場にとって貴重で才能があり、その能力が活かされていない人を引き出し、世界経済の中でアメリカがリーダーシップを維持していくための総力を集結できる。

トム・ハーキン上院議員(アイオワ州民主党上院議員)より

原文はこちら↓
http://www.huffingtonpost.com/sen-tom-harkin/disability-employment-are_b_1677380.html

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