ユニバーサル・デザインの専門家であり、自身も聴覚障害のチャレンジドである、松森果林さんによる、万博開会日に訪れた貴重なリポートです(^_^)。
長文やけど、ぜひ読んでね!!
2025年4月19日
ユニバーサル・デザインの専門家であり、自身も聴覚障害のチャレンジドである、松森果林さんによる、万博開会日に訪れた貴重なリポートです(^_^)。
長文やけど、ぜひ読んでね!!
<by ナミねぇ>
大阪・関西万博初日に行けるという貴重な機会に預かりました!
松森果林さんのfacebookより引用させていただきました。
大阪・関西万博初日に行けるという貴重な機会に預かりました!
「ミャクミャク」にハマってしまった私。キャラクターとか興味ないのに、カバンにミャクミャクのキーホルダーをつけるほど。
万博でミャクミャク堪能してビール飲みたい!
ところが、当日はやはりというか、想定内の大雨強風という悪天候。
一緒に行ったメンバー、私も含めて最強の雨女がいたので
想定内なのですw
ネガティブな意見は多くありますが
個人的にはアレもコレもネタになり、
めっちゃ楽しかった万博初日でした。
さて、私たちが入れたのは事前に予約がとれたオーストラリアパビリオンと
当日運よく予約が取れたウーマンズパビリオンのみ。
当日の予約は入場10分後に1つだけ予約できて
1つのパビリオンに入場しないと、次の予約はできない仕組みです。
場内の音声アナウンスは、QRコードをとると
リアルタイムでテキスト化されるとか。
充電の減りがハンパなく早いのでモバイルバッテリー必携。
万博内では、デジタルマップを頼りに歩きスマホ必至ですが
それも雨が降ったらスマホを出せず、戦場か。
でも各パビリオンの外観は、それぞれの国の文化や技術、
素材もふくめて独創的で、建築物そのものが展示作品みたい。
夜のライトアップも美しく、丸一日堪能しました。
ユニバーサルデザインやアクセシビリティを専門としている
わたし達が気になるのはやはりそこ。
聴覚障害の視点からのバリアは
@ 音声情報を受け取ること
Aコミュニケーションにおいて
音声以外での方法で受け取ることと、伝えること
このバリアはどのように解決できるのかとても興味がありました。
なのでこのレポートも主に聴覚障害の視点からがメインになります。
「万博会場はすべてがバリアフリー」だと公式WEBの
ユニバーサル情報には書かれています。
https://www.expo2025.or.jp/universalinfo/
ただ、イベントでも事業でも何でもそうですが
ソフト面ハード面ともに、最初から完璧な運営は難しいものです。
実際に始めてから分かることも多く、
フィードバックを共有して改善につなげ、
アップデートを繰り返していくことが重要だと思っています。
そんなこんなのレポートを前編と後編に分けて発信します。
さてさて、そんなわたし達は開場の9時ごろ到着し、
まずはアクセシビリティセンターへ。
【アクセシビリティセンター】
車いすや歩行補助器具のほか、高齢者用イヤホンの無料貸出しや
筆談や手話による対応など様々な配慮を必要とする方への総合サービス拠点で
西ゲートと東ゲートの二カ所にあります。
「聴覚障害者に対してどんなサービスがあるのか、予約したパビリオンには
手話や字幕があるかどうか」を尋ねたかったのです。
ここでまず、聞こえないことを伝えると
『少々お待ちください』と待たされ
「しゃべり描きアプリ」を出してくれました。
スタッフが声で話し、タブレットをなぞると
なぞった後から文字がふわっと表示されるものです。
スタッフ『どんなご用件ですか?』(ふわっ)
わたし達は声を出さず、筆談で冒頭の質問。
スタッフ『少々お待ちください』(ふわっ)と
カウンターにある透明ディスプレイに案内していただき
ここでも音声認識した言葉が表示されます。
透明なので相手の表情と文字が一緒に見えるのが良いのですが
聴覚障害者側から伝えたいときは、
キーボードに文字を打ち込む方法です。高齢者は使えるかな。
その後、「遠隔手話通訳」があるとのことで
『少々お待ちください』(ふわっ)と用意してもらいました。
『こちらをご利用ください』(ふわっ)とタブレットを渡されたのですが
持ったまま手話での会話はできず、
すみっこにあったテーブルを見つけ、壁に立てかけて使用開始。
これでやっと双方向でリアルタイムで会話ができる、と
思いきや、なかなかつながらず。
『申し訳ございません』(ふわっ)とスタッフも困惑。
初日の混雑で通信障害が発生したのですね。
つながったり止まったりを繰り返し
最後には切れてしまいました。
音声認識の状態もよくなかったりで
そのたびにスタッフがタブレットに向かって話しかけ
指で曲線を描くと、ふわ〜っと曲線から
浮かび上がるのは『大変申し訳ございません』という言葉。
スタッフはとても真剣なだけに
曲線からふわふわと文字が出てくるのを待つ時間、お互いにとってほぼ地獄…。
人によってはイライラしちゃうかもしれません。
最終的には、メモ用紙に手書きというアナログな方法でのやりとりに落ち着きました。
デジタル万博からアナログ万博へ。
このようなコミュニケーションのツールは
目的や環境に合わせて適切に活用したほうが良いと思いました。
アクセシビリティセンターのように
案内が中心で「早く」「正確に」が求められる場では
一般的な音声認識アプリを使い、
「しゃべり描きアプリ」はおしゃべりや、エンタメ要素のあるパビリオン等で
楽しくコミュニケーションを取るために活用したほうが良いと思います。
「遠隔手話通訳」も設置すれば良いものではありません。
安心して手話で意思疎通するためのスタンドや、テーブル、椅子、
安定した通信環境を用意する必要があります。
サービスを提供する事業者側も、そこまで踏み込んで設置してほしいな。
このアクセシビリティセンターでは何度となく
「少々お待ちください」を繰り返され、
思うようにアクセスできない状態で40分ほど費やしたでしょうか。
対応してくれたスタッフは、
どの方もとても一生懸命で真摯に向き合ってくれました。
スタッフも気持ちよくストレスなくお仕事をしたいはず。
2日目以降から、Wi-Fiの設置など対応されたようなので、
少しずつ慣れていってもらって
今後もっと改善されることを期待したいですね!
【大屋根リング!ここも大行列でしたが眺めは壮観】
並ばない万博、入場時はもちろんのこと、
万博の象徴ともいえる「大屋根リング」
ここにあがるためのエスカレーターが
ディズニーランド並みの大行列でした。
エスカレーターは全部で5か所、エレベーターは6か所程度。
でもリングに上がって見る光景は壮観です!
各国のパビリオンの特色ある建築群を上から見ることができるし
一周約2キロ、天気が良い時や夕方などは絶対美しい。
ただ、真夏の炎天下は想像するだけで恐ろしい。
リングの下からの光景は圧巻。
世界最大の木造建築物というだけあって
構造や骨組みが美しく、神社の鳥居などでも見る
日本の伝統的な「貫工法」が使われていました。
リングの下には、座れるベンチが沢山あり
雨や風がなければ良い感じ。
この日はスタッフさんが濡れたベンチを丁寧に拭いてくれていました。
自動販売機と、ウオーターサーバーも沢山あります。
柱には番号が振ってあり、公式マップの番号とリンクしています。
行きたいパビリオンは何番の近くにあるか調べれば分かりやすいですし
待ち合わせや、迷子の時なども良さそう。
夜のライトアップは映えます。
【予約なしで入れるコモンズは穴場】
雨風をしのぐために何度もお世話になった「コモンズ」は
多様な文化や価値観をもった約80の国や地域が
共同で出展する海外パビリオン。
音声ガイドサービスがあり、各国の外国人スタッフは翻訳アプリを使いこなしています。
A館、B館、C館、D館、F館に分かれ
小さなブースが沢山並ぶのですが、初めて見る名前の国も沢山。
各国の特産品の販売、カシミアを値切ったりするのも楽し
スリランカでは紅茶の試飲、美味しかった!
各国にスタンプがあり、スタンプ押してるおじさんに聞いたら
スタンプラリー用のスタンプパスポートもあるそうな。
でも販売場所はゲート近くのショップ。
今回はデジタルスタンプを集めましたが、
次回はスタンプパスポート買うぞ!
印象的だったのは、私たちが手話で話していると
アテンダントの方々が手話で「こんにちは」「ありがとう」と
声をかけてくれるのです。
この日だけで一体何人から手話で話しかけられたのかしら、嬉しい。
「雨風をしのげる休憩所はあるかどうか」尋ねると
若いアテンダントの2人は、サクサクとタブレットで
検索し、あれこれ色んな提案を出してくれました。
ありがたいことです。
同行者のご縁であれよあれよという間に某国の特別室に案内され
某国の元副大臣と挨拶し、ピンバッジをもらったり。
想定外のこともあって面白い。
ここは予約なしで入れるため、雨風をしのぐために多くのゲストで
ごった返しておりました。
座り込んでいる人も多く
むんむん蒸し風呂状態、女子トイレは長蛇の列。
外は寒いからトイレも近くなるんですよね。
でもほんと、唯一の温かな逃げ場でした。
ひとまずここまで<前編>です。
<後編>はレストランやパビリオンなどについてです。