Assistive technologies (支援技術※)の最新情報をご紹介します!

Screen Magnification Software (画面拡大ソフト)
Speech Recognition Software (音声認識・音声入力ソフト)
Digital Pens (デジタルペン)

2012年6月28日

プロップ・ステーションのカウンターパートである、米国防総省CAP (Computer/Electronic Accommodations Program:電子調整プログラム)から送られてきた最新情報をご紹介します。CAPで頻繁に利用されている Assistive technologies が You Tube の映像付きでご覧いただけます。

視覚障害がある人のための Screen Magnification Software や、マウスやキーボードを手で操作することが困難な人のための Speech Recognition Software など、日本ででも手に入るパソコン支援ソフトや、記憶障害のある人にも便利なデジタルペンが紹介されています。ぜひお読みくださいね!

<by ナミねぇ>

※Assistive technology(アシスティブ・テクノロジー)=支援技術:
障害を持つ人々を支援するための技術全般。米国では1998年にそのための法制化がなされている。

 

CAPからの Assistive technologies 最新情報

訳文:池田尚子(プロップ神戸)

 

Screen Magnification Software (画面拡大ソフト)

視力の衰えた人が日々のパソコン業務をこなすのには、画面拡大ソフトやスクリーンリーダーソフトが便利でしょう。

このソフトで表示画面の倍率を変える(拡大/縮小)ことができ、さらに使われているアプリやソフトにもよりますが、パソコンの画面に表示されているテキストの拡大範囲を調節することも可能です。

こちらはある資料の全画面表示で、通常の2倍に拡大したものです。
ユーザーにとって、様々な拡大鏡が選択可能なのは助かります。例えば、このレンズ表示です。このレンズを、拡大が必要な箇所どこにでも移動させることができますし、文章を追加入力すれば、拡大鏡が文字を挿入した箇所に自動的に移動します。手作業でやる必要もないのです。

オーバーレイ表示は、多くのユーザーに使われています。オーバーレイ表示では、拡大鏡がパソコンスクリーンの1ヶ所に固定された状態になります。拡大鏡を画面のどこにでもカスタマイズし、表示することができます。

ライン表示は、左から右へと目線を移動させるのが困難な視力障害のある人にとっては非常に優れものです。

画面の色、コントラスト、画質を調節することもできます。カラーコントラストの調節が可能なものは、画面の輝度が強いと目に痛みを感じる光恐怖症の人には便利です。黒い画面に白い文字表示のコントラストは画面の輝度を低くさせ、ユーザーにとって画面が見やすくなります。

視力障害のある人は、人によって配色の認識方法が違います。ですから、ユーザーひとりひとりが、自分に合った画面の背景色と文字表示色をカスタマイズすることができます。

弱視の人は、マウスポインタを目的の箇所に移動させる、あるいは置くことが困難な場合があります。マウスポインタの色やサイズを変更することもできますし、例えばこのようにマウスポインタを丸で囲むというように、何かキューを付け加えるといいでしょう。

中心暗転(視野の中心が見えない)人には、マウスポインタを画面の端から中心へ動かすことができるように、クロスヘア表示がいいでしょう。カラーコントラストと同様に、マウスポインタもカスタマイズすることができます。

カーソルがどこにあるのか分かりにくい場合は、カーソル拡大を使うと便利でしょう。例えば、このように青い三角形をカーソルの上下に表示するか、あるいはカーソルのまわりにフレームを表示する方がいいでしょう。

ユーザーひとりひとりが一番見えやすいように、フレームの色や幅の太さをカスタマイズすることができますが、それでも目が疲れてしまう人もいます。この画面拡大ソフトにはスクリーンリーダーソフトが入っていますので、画面に表示された情報を、見るだけでなく聴くこともできるのです。認知障害のある人には、「見る」「聴く」の両方で情報を取り続けられる方がいいでしょう。

スクリーンリーダーは音声読み上げのスピードを落とすこともできますし、拡大鏡の中のテキストの拡大表示レベルを拡大/縮小どちらにも調節できます。
外傷性脳損傷、その他認知障害のある人には非常に便利なツールでしょう。
                 
そして、ウェブブラウザを操作するのにもスクリーンリーダーが使われます。 アクセスできるほとんどのサイトから情報を解釈し、音声で読み上げます。画面拡大ソフトやスクリーンリーダーソフトは、ユーザーにとってパソコンでの業務をよりスムーズに、効率的に行うための強力な支援ツールといえいるでしょう。

ユーチューブサイトでご覧いただく場合はこちらでどうぞ。

http://www.youtube.com/watch?v=zGW6wetbyJU

Speech Recognition Software (音声認識・音声入力ソフト)

脳性マヒなど上肢の運動機能障害、ALSなどの進行性疾患や重度の反復性ストレス障害のある人、上肢に重傷を負った、あるいは切断した人が日々のパソコン業務をこなすのには、音声認識 ・音声入力ソフトが便利でしょう。このようにソフトに付属している、一般のオーバーヘッド式のマイク付きヘッドホンを使用する人もいれば、机上に置くタイプのマイクやブームタイプのマイクが必要な人もいます。

CAPでは、ニーズアセスメントを通して、どんなマイクが最も適しているかを見極めるためのサポートを行っています。これからご覧いただくように、音声認識 ・音声入力ソフトを使ってデータベースやスプレッドシート、ワード、Eメールやウェブブラウザを操作することが可能です。キーボードやマウスを使ってできる操作のほとんど全てが、ユーザーの声でできるのです。音声認識 ・音声入力ソフトを使って、資料作成をしてみましょう。

〜以下、音声認識 ・音声入力ソフトを使用したデモンストレーション〜

(男性がパソコンに向かって)
(スリープ状態から)起きて。 ドラゴンパッドを開いて。 フォントサイズを40に設定して。
「(文章を声で入力)“The computer slash electronic accommodations program provides free assistive technologies to federal employees with disabilities and to wounded service members”」

終止符。“computer” から “program”まで選択。頭文字を大文字にして。“service”を選択。
頭文字を大文字にして。“federal”から“disabilities”まで選択。下線引いて。        

音声認識 ・音声入力ソフトでEメールを作成、送信することも可能です。

(男性がパソコンに向かって)
マイクロソフト・アウトルックを開けて。新規メール。“Bob Smith” Enterキー。Tab キー。 Tabキー。“Our meeting ” Tabキー。

「(本文を入力) “Hi Bob” カンマ。“looking forward to seeing you again next Tuesday at 3:00PM” 感嘆符。」
送信。            

ウェブブラウザの操作にも使われます。
アクセシブルを考慮して立ち上げられたサイトの操作にはうってつけです。

(男性がパソコンに向かって)
インターネット・エクスプローラー。お気に入り。“Computer/Electronic Accommodation Program” クリック。 “ Accommodation Solutions” スクロ−ルダウン。スピード上げて。 スクロ−ルやめて。ページの先頭へ。ホームへ戻る。

ソフトの使い始めはかんたんです。ソフトをインストールしたら、ユーザー自身の声の登録が必要です。ソフトがサンプルテキストを表示し、ユーザーの声や話し方(文章の読み方)の特徴を捉えます。時間がたつと、ソフトは音声を正確に読み取るため、ユーザーの声のプロファイルを更新していきます。また、効率を上げるために、略語やショートカットなどのカスタムコマンドを作成するオプションも付いています。

音声認識 ・音声入力ソフトは、ユーザーにとってパソコンでの業務をよりスムーズに、効率的に行うための強力な支援ツールといえいるでしょう。

http://www.youtube.com/watch?v=uG484XapyYg

ユーチューブサイトでご覧いただく場合はこちらでどうぞ。

(補足)
アメリカでは音声認識 ・音声入力ソフトは「ドラゴンパッド」という名称で販売されていますが、同様に日本国内でも、「ドラゴンスピーチ2005」として販売されています。
http://www.dragonspeech.jp/faqr.html

Digital Pens (デジタルペン)

デジタルペンは、本来は大学生がノートを取るのに開発されたものですが、今日では障害を負い兵役を退いた退役軍人が、会議やプレゼンテーションに使用することがあります。

記憶障害のある人にとって、デジタルペンは情報を保持するための強力な手段です。デジタルペンは、ユーザーが聞き取っている音声情報を録音し、その情報とユーザーがメモしている情報とをつなぎ合わせます。メモした情報を録画する小さなカメラと、音声情報を録音するマイクが内蔵されています。 

ユーザーがメモをした内容と、録音された内容をマッチさせるマイクロドットの付いている特殊用紙を使ってメモを取ります。メモを取っていない間にも音声は録音されています。メモを取っている時でも録音された内容を聞きなおし、確認することができます。サウンド機能を使って、録音された音声の再生、加速、巻き戻し、低速が可能です。

書き留めたメモは、パソコンにアップロードし保存できます。メモは検索可能で、保管や共有もできます。特殊ノートの内カバーには電卓やペンで操作する他の機能もついています。

デジタルペンを使うことで、会議、研修、講義、パネルプレゼンテーションでカバーされた情報に簡単にアクセスでき、情報内容を記憶することができます。この技術は、音声とメモした内容をつなげるツールを使うことで、記憶障害の人が職務をこなすことができるように自身と力を与えています。 

ユーチューブサイトでご覧いただく場合はこちらでどうぞ。

http://www.youtube.com/watch?v=axZGWnoo6-E

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