メール de ナミねぇ 【第312号】 by Prop Station

2020年3月3日

◇◆◇              (令和2年3月3日発行)◆◇◇
◇◆◇  メール de ナミねぇ 【第312号】     ◇◆◇
◆◆◆                          ◆◇◆
◇◆◇           プロップ・ステーション理事長 ◇◆◇
◇◆◇               竹中ナミ(ナミねぇ) ◆◇◆
◇◆◇                          ◇◆◇
◆◇◇           by Prop Station◇◇◆
           https://www.prop.or.jp/

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『メール de ナミねぇ』は、MSゴシックなどの等幅フォントで
ご覧下さいね!

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皆様意外とご存じないかもしれませんが、プロップ・ステーションは
お仕事のコーディネートもエキスパートです。
プロップで学んだ多くのチャレンジドが、皆さんからのお仕事を
心からお待ち致しております。
もし皆様の中で「お仕事を頼んでみよう」とか「こんな仕事できるかな?」
ということがございましたら、是非お気軽にご連絡下さい。
どうぞよろしくお願い致します。

データ入力や文書のデジタル化(PDF化やワード・エクセル化)
各種映像への字幕の付与もおこなっています。
こうした業務があれば是非お声がけ下さい。

<プロップ・ステーション事務局長 竹中宏晃>

prop2017@prop.or.jp

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■□◇◆ 第312号 目次 ◆◇□■

【1】ナミねぇの海外視察便り(財政制度等審議会委員として)
【2】3月19日のナミねぇライブ延期のお知らせ
【3】活動報告
【4】「中高生チャレンジドICTスキルアップ講習会」の
第15回目の修了式を開催しました!
【5】今後の講演など予定
コロナウイルスによる、様々な事業の延期・中止の
ご連絡をいただいていますので、3月のスケジュール
については、全て未定とさせていただきます
【6】最新メディア情報

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ブログ https://ameblo.jp/takenakanami/
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■□◇◆ナミねぇの海外視察便り
(財政制度等審議会委員として)◆◇□■

■ナミねぇの海外視察便り その1.

2月17日朝のナミねぇは、成田空港 第1ターミナル南ウイングに居ま
す。財政制度等審議会委員としての海外視察のため、EU、ドイツに向け
て出発するところです。

帰国は2月23日午後。

とはいうものの、実はナミねぇは飛行機が苦手です。苦手なものはピー
マンと飛行機。
できるだけ、新幹線での移動を旨としてるんやけど、さすがにEU、ドイ
ツは無理(当然じゃ!!)なので、ちょっとビビリながら、チェックイン
カウンターに向かっています。

しっかり勉強してきます!!

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/topics/2020/img/20200217_01.jpg

■ナミねぇの海外視察便り その2.

機内から、雲の上に顔を出す富士山を拝み、成田から13時間でベルギー
(ブリュッセル)に到着。

歴史を感じる街並みを眺めながら、簡素やけど、温かい雰囲気のビジネ
スホテルにチェックインしたあと、ワゴン車で「在欧州連合大使公邸」を
訪問。

日本人シェフが作られた、和食のテイストを盛り込んだディナーをご馳
走になり、兒玉大使や経済財政担当参事官と視察団とで「ベルギーと日
本の経済状況の話しや、イギリスが離脱したばかりのEUの話し、海外で
報道された東日本大震災の時の原発の危機」等々、貴重な意見交換をし
てホテルに戻る。

飛行機の中で映画を3本も観て(笑)、まったく寝てなかったので、バタ
ンキューとベッドに倒れ込んで朝まで熟睡!

ドコモの海外契約をしたので、スマホが難なく使えることを確認(何よ
り嬉しい!)しながら、今(朝の7:00)このコメントを書いてます(^_^)。

この後、8:30にはホテルを出発し、欧州委員会の経済・財政総局で、職
員の皆さんや事務局長から、こちらの経済状況を詳しく聞き取りをさせ
ていただいた後、ランチを食べ、ブリュッセル空港からドイツ(ミュン
ヘン)に移動です。

わっ、今日も結構タイトなスケジュール!!
ガムバロう〜\(^o^)/

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/topics/2020/img/20200217_02.jpg

■ナミねぇの海外視察便り その3.

ベルギー・ブリュッセルは「小便小僧 発祥の地」やそうで、先ずは敬
意を表して小僧像(笑)を訪問。

欧州連合本部で「欧州委員会経済財政総局の、クールでカッコいい事務
局長(視察団総意!)」と面談。

小さな国々が集まって経済圏を作っていることの意味や、イギリス離脱
へのクールな反応などをお聞きしながら、意見交換。

お昼は、超広くて満席の店内の天井から「真っ赤な!ハート」(なんで
や!?)のオブジェがぶら下がってるレストランでランチ。

ブルュッセル空港で定番お土産の「ベルギー・チョコ」を買って、ドイツ・
ミュンヘンに移動。夕闇が迫る中、落ちついた感じのビジネスホテルに
投宿です。

島国日本と違って、陸続きで国々を移動できることを実感。

「寿司」の提灯が飾られた居酒屋などを横目に見ながら、ドイツ・ビール
を堪能できるお店を探し当てて、晩ご飯兼反省会。

ドイツでの通訳は、在ドイツ日本国大使館の二等書記官である、若くて
溌剌とした女性が担当下さり、500mlとか容量を書いてあるロンググラス
に「ドイツ人気質」(なのか!?)を感じたりしながら、明日の「経済研
究所」や「ドイツ大使館」訪問の打合せ。

終了後、ホテルに戻ってバタンキュー!

二次会に行く元気の無い自分に、歳を感じたわ(笑)

ということで、これを書いてるのは海外視察3日目の朝7時(ドイツ時間)
です。

ちなみに、こちらのビジネスホテルには、日本ではどんな宿でも部屋に
常備してある、寝衣や歯ブラシセットなどが無いので、ご用心(笑)のほ
ど。

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/topics/2020/img/20200219_01.jpg

■ナミねぇの海外視察便り その4.

海外視察3日目の午後、ミュンヘン空港から、ベルリン・テーゲル空港
に、ルフトハンザ機で移動すること1時間10分。

旅にアクシデントはつきものやけど、初トラブル発生!!

テーゲル空港の荷物受取レーンでキャリーバッグを取り上げたら、なん
と4輪のうち一個が取れてしまってるぅ!!!

貨物を放り投げてカーゴに搬入するのはよく見かけるので、いささかの
傷は仕方ないけど、コマが取れてるのにはビックリ!!

「そういうのは、あっちで言って」と言われたので、通訳の女性と一緒に
指定された窓口に行ってみると、様々なクレーム対応で、すでに長蛇の
列。

やっと順番が来てみると、まつげを三重に付けた真っ赤な唇の妖艶な女
性が、実にクールに、書面の一カ所にマーカーで線を引いて、たった一
言「もう5時なので、明日ここに電話して」と、そんだけ!!!

3〜4回の出張にしか使ってないのに、お気に入りやったのに...(ヒョ
ウ柄ってとこは、スルーしてね(笑)とりあえず、明日どっかで新しいの
を購入して、荷物を入れ替えねば... それにしても、3輪になった重〜
いキャリーバッグの扱いにくいこと!!!

手を離すと、ドタンとこけるしぃ(>_<)
なんで私がキャリーバッグの杖にならなアカンねん!!!

ということで、ベルリンの宿で、なぜか目覚めてしまった午前4時に、
ベッドの上で「なにが無駄って、あの窓口のお姉さんの濃い化粧ほどの
無駄はないわ」と、ブータレながらこれ書いてる、ナミねぇです。

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/topics/2020/img/20200220_01.jpg

■ナミねぇの海外視察便り その5.

海外視察4日目。ドイツの連邦労働社会省(日本の厚労省にあたる)と
財務省を訪問。

連邦労働社会省では、おもに年金制度とその持続性についての意見交換
が中心やったけど、私から関心事である「チャレンジドの雇用政策」に
ついて訪ねました。

ドイツは、20人以上の従業員を抱える企業に、5%の「障害者雇用率」を
義務として課しており、「100人以上の企業の雇用率を、2021年3月末ま
でに2.3%に引き上げる」ことを決めた日本との違いは大きく「企業側の
反対や抵抗などは無いのですか?」と、思わず身を乗り出して聞いたと
ころ「そのような事は全くありません」との回答でした。

また、障害者作業所に仕事を委託した場合、委託業務代金の50%を納付金
から減額されることや、障害者作業所は公的機関から優先的に業務委託
をうけることができる、というルールも設けられていました。

全ての出産におけるチャレンジドの出生率は、5〜7%なので、ドイツの雇
用率は「障害を持って生まれた人のほぼ全員が、何らかの仕事に就いて
いる」ことを現すもので、そのような施策を実行しながらも、ドイツ経
済が上向きである現状を知り「心から敬意を表します」と、申し上げま
した。

というか、むしろ「全ての国民をtaxpayerにする」というミッションが、
経済を発展させているのかもしれないと、感じました。

ただし...と一人の方がニコッと笑いながら「政策を進めるには、財務省
の顔色を見ないといけませんからね」と言われたのは、私たちが「日本
の財政審からの視察団」であることを意識され、半分本音、半分ユーモ
アで言われたのだと感じました。

一方の財務省では「持続可能性(サステナビリティ)の危機」を、どの
ように国民に理解してもらうかに苦慮しており、財政問題に関心の薄い
国民に向けては、SNS等を使うなど、分かり易く伝える必要がありますね
...と、ドイツも日本も、同じ悩みを抱えていることが分かる意見交換
でした。

夜はドイツ大使館を訪問し、八木ドイツ大使から温かい接遇を受けまし
た。
大使館の、重厚な階段の踊り場に、素敵な「生け花」が二つ飾られてお
り、思わず駆け寄って「ドイツで、こんな素晴らしい生け花に出会える
なんて、嬉しいです!どなたが生けられたんですか?」とお聞きすると、
八木大使が少し頬を赤らめながら「家内です」
とおっしゃったので、ご夫妻で日本や日本文化をドイツに伝えるお仕事
をされてるんやなぁと、感動し、「奥さまに、くれぐれもよろしくお伝
え下さい!」と、固く握手を交わして大使館を後にしました。

ホテルに戻り、「生け花の写真を取り損ねた!こと」に気づき、残念な
気持を噛みしめつつ「明日で海外出張が終わる」ことに思い至りながら、
眠りに就いた一日でした。

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/topics/2020/img/20200221_01.jpg

■ナミねぇの海外視察便り その6.(最終回)

2月17日(月)お昼前に成田空港から出発したナミねぇの「財政制度
等審議会委員としての海外視察」、本日2月22日(土)夕刻、羽田空
港に到着し、全ての行程を終えました。

最終日は、ドイツ連邦安定化評議会諮問会議(DIW)を訪問した後、ベル
リンのテーゲル空港から、ルフトハンザ機でフランクフルト空港に飛び、
全日空機に乗り継いで機中泊し、羽田空港に戻る、という行程でした。

今回の海外視察では、財務省からの随行スタッフである、Dくん、Kく
んという二人の青年たちが、溌剌としたアテンドをして下さり、神戸・
東京間なら毎週のように往復してるけど、それ以外の長距離移動経験や
海外経験が殆どなく、しかも日本語と関西弁しか喋られへん(笑)という
ナミねぇを、温かくサポートして下さったことに、感謝でいっぱいです。

また現地で通訳をつとめて下さった、スーパーウーマンとも言うべき素
晴らしい通訳者の方や、財務省から出向されてる女性書記官の、お力添
えのおかげで、学ぶことだけでなく、潰れたキャリーバッグの補償交渉、
新品の購入など、思わぬトラブルにも対応していただくことが出来、本
当に心強かったです!! そして何より海外経験が豊富で、世界情勢や
経済問題のオーソリティであるT教授が、海外視察団を代表して、どの
訪問先の機関でも、的確な意見と質問を繰り出して下さったことで、視
察の意義が深まるとともに、貴重な勉強の機会をいただくことが出来ま
した。
心から、感謝を捧げたいと思います。m(_ _)m

ということで、羽田空港からバスで東京駅に、そして今は、新幹線に乗
り込んで神戸に戻るところですが、今回の視察で学んだことを、今後の
活動にしっかり生かして行かねば!!と、改めて心に誓うナミねぇです。

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/topics/2020/img/20200222_01.jpg

☆ by ナミねぇ ☆

◎この記事はプロップのホームページでもご覧いただけます
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■□◇◆3月19日のナミねぇライブ延期のお知らせ◆◇□■

すでに、お申し込みを下さった方、ご予定を立てて下さった方には、本
当に申し訳ありませんが、3月19日{メリケン波止場W]で開催を予
定していたナミねぇライブを、延期することといたしました。コロナが
終息しましたら(一日も早い終息を心から願っています)、改めて、楽し
く元気の出るライブを企画し、お知らせしますので、どうぞよろしくお
願いいたします。m(_ _)m

<by ナミねぇ>

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■□◇◆活動報告◆◇□■

○2月6日(木)
・財政審 海外視察打合せ / 場所:財務省
・「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」に出席 /
場所:文部科学省

○2月8日(土)
・三田ドローン研究会に参加 / 場所:三田市香下1279 中農園

○2月10日(月)
・会議 / 場所:神戸市役所

○2月12日(水)
・「ユニバーサル社会を創造する事務次官PJ(勉強会)」主宰 /
場所:厚生労働省事務次官室または省議室
・支援者との会合 / 場所:赤坂

○2月13日(木)
・吉本興業カンパニー 上野社長との打合せ /
場所:プロップ神戸オフィス

○2月16日(日)
・ワーキングアワード審査員 /
場所:神戸アイセンター 2階 ビジョンパーク
・2/16成田泊→2/17財政審海外視察→22日帰国予定 /
場所:ドイツ・EU

○2月17日(月)
・成田空港にて財務省スタッフと合流 /
場所:成田空港第1ターミナル南ウイング4F 全日空カウンター

○2月22日(土)
・財政審海外視察より帰国 / 場所:未定

○2月25日(火)
・公明党よりインタビューのため来訪 / 場所:プロップ東京オフィス
・中教審(中央教育審議会)に出席 / 場所:文部科学省
・ツムラの女性たちと懇親会 / 場所:赤阪マルヨシ

○2月26日(水)
・永井シェフに同行 / 場所:衆議院第2議員会館

○2月28日(金)
・自律移動委員会 / 場所:中央合同庁舎3号館4階 総合政策局会議室

その他のスケジュールはこちらをご参照ください。
https://www.prop.or.jp/webcal/webcal.cgi

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■□◇◆「中高生チャレンジドICTスキルアップ講習会」の
第15回目の修了式を開催しました!◆◇□■

2月26日は、プロップ神戸オフィスで開催する「中高生チャレンジド
ICTスキルアップ講習会」の第15回目の修了式でした。

神戸市の支援を受け、神戸市内の特別支援学校・学級に通われる中高生
を対象にした「プロ講師が指導するパソコンセミナー」で、技術を身につ
けて、就労の道を一緒に広げていこう!という目的で、年に数クールづ
つ開催しています。

今回の講習会は「イラストレータとCAD」を学びました。

毎回、若い皆さんが生き生きとパソコンに向かわれる姿に感銘を受けま
すが、今回も、感性と個性の溢れる作品を一人一人が生み出し、自分の
作品を作者である生徒がそれぞれに解説するというスタイルでの修了式
に、笑顔と自信が満ちていました。

複数回の受講を重ねている生徒もおり、この人気のコースで身につけた
技術を、これから人生に生かして行って下さることを、駆けつけて下さ
った、神戸市保健福祉局就労支援担当部長である樫原伴子さんらととも
に、心から願いました。

☆ by ナミねぇ ☆

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/topics/2020/img/20200227_01.jpg

◎この記事はプロップのホームページでもご覧いただけます
https://www.prop.or.jp/news/topics/2020/20200227_01.html

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■□◇◆今後の講演など予定◆◇□■

コロナウイルスによる、様々な事業の延期・中止のご連絡をいただいて
いますので、3月のスケジュールについては、全て未定とさせていただ
きます。

<by ナミねぇ>

その他のスケジュールはこちらをご参照ください。
https://www.prop.or.jp/webcal/webcal.cgi

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■□◇◆最新メディア情報◆◇□■

■ナミねぇの活動が日経新聞で紹介されました!
─ 障害者を「働く納税者」に 娘がくれた生き方で前へ ─

 日本経済新聞 令和2年2月7日より転載

 バリアフリーの先へ (4)

障害者を「働く納税者」に
娘がくれた生き方で前へ

紙面のPDF画像
https://www.prop.or.jp/news/clip/2020/pdf/20200207_01.pdf

<本文>

米国由来の「チャレンジド」という言葉がある。「神から挑戦する機会
を与えられた人々」という意味で「心身が不自由でも働き、納税者にな
れるように」との理念につながる。社会福祉法人プロップ・ステーショ
ン(神戸市)理事長、竹中ナミ(71)は重度の障害がある娘のためにも、
チャレンジドの就労支援に取り組んでいる。

竹中の娘の麻紀(47)は脳に重い障害があり、言葉が話せず、ほとんど
視力もない。生まれてすぐ保育器に入れられ、ミルクはスポイトで飲ま
せた。「10年は生きられないだろう」と医師。実家の父は孫の将来を悲
観し「この子を連れて俺が一緒に死ぬ」。竹中は違っていた。「どうし
て皆、ネガティブなことばかり考えるんやろう?」と不思議でならなか
った。

「自分が死んだ後も娘が無事に生きていける社会」を目指し、1991
年にプロップを設立。チャレンジドが納税者として健常者と同等に働け
る職場が必要と考えた。

通常の福祉工場のように、障害者を1カ所に集めるのではない。受注し
た仕事をギンターネットで全国に割り振る「在宅勤務」制度を創出した。
デジタル広告の入力、グラフィックデザイン、サイト制作── 。プロッ
プを介し常時50人が働く。

竹中は中学生のころ、近辺では名うての「ワル」だった。中学2年で何
回目かの家出をし、神戸・三宮で遊んでいたとき「子供がこんな夜遅く
いる場所じゃない」と声をかけてきたのが、三宮で一番の売れっ子ホス
テス「椿姉さん」だった。

当時、竹中の周りにいた大人たちは、水商売で働く人間を「まともな正
業に就けない人たち」と半ば軽んじていた。しかし椿姉さんの部屋に居
候させてもらい、そのイメ─ジが180度変わる。

「毎朝掃除して床はいつもピカピカ。朝食時には英字新聞で情報収集。
神戸の街を仕切る“怖い人たち”も、姉さんには一目置いていた」。大
人たちの言っていることが実は正しくないことを椿姉さんが証明してい
た。

「自分はレールを外れた生き方しかできなかった。社会のレールに乗れ
ない子を授かった親として、他人と違う生き方を」。竹中は腹をくくる。

働き方改革の流れはチャレンジドのような在宅ワーカーに「大きな追い
風」。だが竹中は「まだアカン。もっとチャレンジドが活躍できる社会
にせな」と前を見据える。

=敬称略

詳細な記事を電子版に▼ ストーリー → 「バリアフリーの先へ」

       ◇       ◇       ◇

<日経電子版>

障害者を「働く納税者」に 立ち上がったおかん
バリアフリーの先へ(4)

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/clip/2020/img/20200207_03.jpg
ストーリー4 チャレンジドの娘がくれた生き方

障害者の雇用は増えているが、法定雇用率の引き上げや補助金など「公
的支援」頼みの面は否めない。社会福祉法人プロップ・ステーション
(神戸市)理事長、竹中ナミ(71)は重度の障害を持つ娘のためにも、
障害者が「働く納税者」として自立できるよう、就労支援に取り組んで
いる。

■「どうして皆、ネガティブ?」

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/clip/2020/img/20200207_04.jpg
麻紀が22〜23歳のころ(左は竹中の亡母)

「麻紀、今年もおかんにパワーを頂戴ね」
2020年正月、竹中は娘の麻紀(47)に語りかけた。麻紀はふだんは病院
で療養し、年末年始や夏休みだけ家に戻る。麻紀はほとんど咀嚼(そし
ゃく)ができないので、竹中が小さく切ったおせちや雑煮の餅を、少し
ずつ飲み込んでいく。
麻紀は脳に重い障害があり、言葉が話せず、ほとんど視力もない。竹中
のおなかにいた時から発育が遅れ、生まれるとすぐ保育器に入れられた。
ミルクを吸う力もなく、スポイトで飲ませた。「10年は生きられないだ
ろう」。医師はそう予言した。
実家の父親は孫の将来を悲観し「この子を連れて俺が一緒に死ぬ」とま
で言う。しかし母親の竹中は違っていた。「どうして皆、ネガティブな
ことばかり考えるんやろう?」と不思議でならなかった。

■「チャレンジド」で一念発起

竹中は麻紀を育てるため、障害を持つ人を訪ね、日々の不自由をどう乗
り越えているか聞いて回った。3歳上の長男が小学校に上がって同級生
の両親が聴覚障害だと知ると、手話を習いにその家庭に通った。「障害
のある人たちは、私たちと同じ世界を私たちと違う手法や解決法を用い
て生きている」と学んだ。

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/clip/2020/img/20200207_05.jpg
家族と温泉旅行で(麻紀と長男と)
米国由来の「チャレンジド」という言葉を知ったのもそのころ。「神か
ら挑戦する機会を与えられた人々」という意味で「心身が不自由でも働
いて、タックスペイヤー(納税者)になれるようにする」という米国の
社会福祉の考え方に共鳴した。
「自分が死んだ後も娘が無事に生きていける社会」を目指し、一念発起
でプロップを設立したのが1991年。障害者支援組織の事務局長の椅子を
なげうってプロップにかけたのには、日本の「与える社会福祉」に対す
る異議申し立てもあった。

■「補助金ありき」に一石

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/clip/2020/img/20200207_06.jpg
障害があっても納税者になれる

当時の福祉団体について「『補助金ありき』で国や自治体の金をベース
に活動するケースがほとんど」と竹中は感じた。補助金だけに頼らず、
チャレンジドが納税者として健常者と同等に働ける職場が必要と考えた
のだ。
プロップがユニークなのは、通常の福祉工場のように、障害者を1カ所
に集めて働かせるのではなく、通信手段を駆使してチャレンジドを組織
化した点にある。企業などから受注した仕事を、神戸市内のプロップ本
部からインターネットを使って、全国のチャレンジドに割り振る。チャ
レンジドが在宅で働ける仕組みを創出した。
からだが不自由なチャレンジドは、電車などを使って施設に通うだけで
も一苦労。「それなのに1カ所に集めるというのは最初から大きなハー
ドルを課しているも同然」と竹中はみる。

■法定雇用率を超えて

医療用骨盤モデルの作成、デジタル広告の入力、グラフィックデザイン、
サイト制作──。チャレンジドはからだが不自由でも技術を身につけれ
ば健常者と変わらない仕事をこなせる場合が少なくない。現在も常時50
人ほどがプロップを介して仕事を続けているという。プロップ経由で仕
事を受けたチャレンジドはこの30年で延べ1万人を超える。16年からプ
ロップに仕事を発注する横浜ゴムからは「仕事は丁寧・正確で安心して
お願いできる」(CSR本部長代理の森智朗)との声が上がる。

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/clip/2020/img/20200207_07.jpg
「健常者と同等に障害者が就労する」という理念で活動する竹中

企業は法律で労働者の2%強に当たる障害者の雇用を義務付けられている。
19年に働き口のあった障害者は前年より4.8%増え約56万人。16年連続で
過去最高となったが、法定雇用率を達成している企業は半数に満たない。
横浜ゴムは法定雇用率を達成したうえで別枠でプロップに発注。健常者
と同等に障害者が就労するというプロップの理念に通じる。

■火の車に助け舟

補助金を当てにしない運営で、台所はいつも火の車。だが苦境には必ず
誰かが手を差し伸べてくれた。98年に社会福祉法人となったときはマイ
クロソフトが助け舟を出した。
役所から認可の条件として基金1億円を2週間以内に集めるよう求められ
た。そんな内部留保があるわけもない。窮状を知ったマイクロソフト日
本法人社長(当時)の成毛真が米本社にかけあってくれた。成毛は自身
の個人資産も寄付してくれた。
「成毛さんとビル・ゲイツさんにはとにかく感謝の言葉しかない」

■「椿姉さん」の教え

福祉のあり方を巡って官僚や政治家にも臆せずモノを言う度胸の秘訣は、
中学時代に出会った女性の存在が大きい。
竹中は中学生の頃にぐれて、近辺では名うての「ワル」だった。中学2
年で何回目かの家出をし、神戸・三宮で遊んでいたとき「子供がこんな
夜遅くいる場所じゃない」と声をかけてきたのが三宮で1番の売れっ子
ホステスだった「椿姉さん」だった。
当時、竹中の周りにいた大人たちは、水商売で働く人間を「まともな正
業に就けない人たち」と半ば軽んじていた。しかし椿姉さんの部屋に居
候させてもらい、そのイメージが百八十度変わる。
「毎朝掃除して床はいつもピカピカ。朝食時には英字新聞を読んで情報
を仕入れる。神戸の街を仕切る"怖い人たち"も、姉さんには一目置いて
いた」。大人たちの言っていることが実は正しくないことを椿姉さんが
証明していた。
その後、椿姉さんは竹中の両親に連絡し、竹中を実家に戻したが、そん
な強烈な体験があったから、普通の成長が難しい麻紀を産んでも竹中は
動じなかった。
「自分はもともとレールを外れた生き方しかできなかった人間やった。
社会のレールに乗れない子を授かった母親として、他人と違った生き方
をしてやる」。腹をくくった。

■「追い風」でも「まだアカン」

【写真】
https://www.prop.or.jp/news/clip/2020/img/20200207_08.jpg
在宅ワーク推進の流れは障害者の就労にとって「大きな追い風になる」
と期待する竹中

19年度の政府の成長戦略で、国がチャレンジドの在宅ワークを働き方改
革の一環として位置づけた。「大きな追い風になる」と竹中は期待をか
ける。
最後にひとつ聞いてみた。「麻紀さんを残して安心して死ねる社会に少
しはなりましたか」
「まだアカン。もっともっとチャレンジドが活躍できる社会にせな」
竹中の瞳がすごみをたたえて光った。
=敬称略、つづく
(木ノ内敏久)

◎この記事はプロップのホームページでもご覧いただけます
https://www.prop.or.jp/news/clip/2020/20200207_01.html

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☆メール de ナミねぇ 【第312号】
令和2年3月3日発行
☆発行元:社会福祉法人プロップ・ステーション
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神戸ファッションマート6E−13
社会福祉法人プロップ・ステーション広報
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