メール de ナミねぇ 【第104号】 by Prop Station

2010年4月19日

◇◆◇            (平成22年4月19日発行)◆◇◇
◇◆◇  メール de ナミねぇ 【第104号】     ◇◆◇
◆◆◆                          ◆◇◆
◇◆◇           プロップ・ステーション理事長 ◇◆◇
◇◆◇               竹中ナミ(ナミねぇ) ◆◇◆
◇◆◇                          ◇◆◇
◆◇◇           by Prop Station◇◇◆
           http://www.prop.or.jp/

■□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇

『メール de ナミねぇ!』はMSゴシックなどの等幅フォントでご覧下
さいね!

■□◇◆ 第104号 目次 ◆◇□■

【1】プロップ東京「平成22年度ICTセミナー」
             受講生募集開始! のお知らせ
   ─募集期間が4月23日(金)までと短いですのでご注意下さい─
【2】村木厚子さんの完全な名誉回復を願う
   第17、18回公判 平成22年4月14、15日 速報!!
      〜厚子さんに見る公務員の挟持と、それを失った検察官たち〜
   「厚子さん、第17回公判傍聴記」 by ナミねぇ
   「厚子さん、第18回公判傍聴記」 by ナミねぇ
【3】厚子さん公判に関する最新報道一覧
【4】活動報告
【5】今後の講演など予定

☆速報はツイッター( http://twitter.com/nami_takenaka )で!
 詳報はメルマガで!

================================

■□◇◆プロップ東京「平成22年度ICTセミナー」
              受講生募集開始! のお知らせ◆◇□■

─募集期間が4月23日(金)までと短いですのでご注意下さい─

プロップ・ステーション東京オフィスでは、昨年度に引き続きチャレン
ジドに向けた各種ICTのスキル習得セミナーを随時開講して参ります。

プロップ・ステーションが、長年にわたりこれまで多くのセミナー事業
を開催してきましたノウハウを活かして、チャレンジドの個々の特性に
合わせたスキル習得セミナーを東京オフィスでも開講し、受講生の得意
とする分野を伸ばすことにより就労に繋がることを期待するものです。

平成22年度チャレンジド就労支援ICTセミナーの第1弾は、日本ウ
ェブ協会理事長の森川眞行氏を講師として招き、「Fireworks徹底講座!」
と題し、5月13日より開催することになりました。

森川氏は、Fireworksの第一人者であり、ウェブ業界の第一線で活躍中
です。本セミナーは、全15回からなり、下記の要項にて開催しますの
で、受講を希望される方は、要項をご覧の上、4月23日(金)までに、
「受講お申込みページ」リンクより、お申込み下さい。但し、応募者多
数の場合は、抽選とさせて頂きますので、あらかじめご了承下さい。

■平成22年度 チャレンジド就労支援ICTセミナー
 「Fireworks 徹底講座!」 
 募集要項はプロップ東京のサイトでご覧ください
 http://www.prop.or.jp/challenged/seminar/tokyo-seminar.html

================================

■□◇◆村木厚子さんの完全な名誉回復を願う◆◇□■

第17回公判 平成22年4月14日 速報!!
〜厚子さんに見る公務員の挟持と、それを失った検察官たち。 その1〜

■「厚子さん、第17回公判傍聴記」 by ナミねぇ

4月14日(水)寒の戻り、というにはあまりに寒い朝。地方によって
は「寒波襲来」とか。
つい先日、真夏日さえあったのに、今年の天候はホンマに異常やっ!と
呟きながら大阪地裁に到着。

厚子さん第17回公判。今日の午後はいよいよ厚子さん自身が証言台に
立たれることもあり、厚子さんのお嬢さん2人や、厚子さんを尊敬する
厚労省時代の後輩たち数名も傍聴に来られている。今日の厚子さんは、
くっきりした縦ストライプのブラウスにダブルのスーツ姿。襟元に着け
たオレンジ色のスカーフが濃いグレーのスーツに生えて、表情が明るく
見える。
とても落ち着いた雰囲気で入廷して来られたので、傍聴席に穏やかな雰
囲気が広がった。

10時開廷。午前中は検察側証人として、取調べを担当した高橋副検事
と牧野副検事が出廷したが、二人とも、検事側からの尋問に対しては終
始前を見つめて淡々と答える。
結論から言えば、二人の取調官は、常に前田主任検事の指示を仰ぎなが
ら取調べを行った、というか前田主任検事が想定した結論に沿って取調
べを進めたことがよく分かる証言だった。

印象的やったのは、高橋副検事が信岡弁護士に「前田主任検事からの指
示は・・」と聞かれた時にチラッと検事側席の方を向いたので、すかさ
ず信岡弁護士から「主任検事が居るとプレッシャーを感じますか?」と
突っ込まれ「い、いえ・・・」と俯いたこと。
そして二人目の証言者である牧野副検事は、検事側尋問では一度も検事
席を見ることなく証言し、反対に弁護側尋問になると身体を弁護側に向
けて、身振り手振りを交えて答えるその様子から、証言者交代の僅かな
時間にも上司からの指示が飛んでいたことが伺われた。

高橋検事は、取調べに対して「記憶がない」と一貫して否認し続ける田
村元補佐と(厚労省職員)K氏の否認調書を一通も作成して居ないのだ
が、このことについて弁護側から問われると「本当は記憶に残っている
のに(わざと)隠しているのだから、思い出すまで調書を作成する必要
は無い」「否認調書を作成すると、嘘をついても良いのだと思わせるこ
とになる」と答える。「証言の変遷を記録することを必要とは思わない
のか」と河津弁護士が聞くと「思わない。前田主任に報告したら、不要
だ、思い出した部分だけ調書にしといてくれ、と言われた」と答え、取
調べ検察官たちは前田主任検事の方針に粛々と従って取調べを行ったこ
とが、傍聴席にストレート伝わった。

「6月7−8日に作成された調書で、多くの証人から一斉に『自立支援
法を成立させるため』という文言が出てくるが、これも主任の指示か?」
と弘中弁護士が聞くと「指示はなかった。証人が自発的に喋った。」と
言いながら「主任の指示で調書にした」と答える高橋検事。

公判終了後の記者会見で弘中弁護士が明らかにしたのだが、田村補佐、
北村補佐が6月7日、塩田元部長、江波戸室長、村松係長、N氏が8日
に、「自立支援法を通すために」という調書を、まさに一斉にとられて
いるのだ。

「主任の指示というのは会議などで出されるのか、一対一か?」と弘中
弁護士が聞く。
「一対一です。」と答える高橋検事。 「指示はどのように受けるのか?」
「取調べが終わってからだけでなく、休憩時間などにも受ける。自分は
東京、主任は大阪地検に居るので電話で指示を受ける。」と、忠実に職
務に励んでいることを強調する高橋検事。

う〜む、検察という組織は、取調べ内容などを組織全体で共有し、確認
や評価、批判をしあいながら捜査を進めるのかと思ってたけど、違うん
やな!! 主任検事がストーリを創ったら 部下たちは疑うこと無く
(疑うことを許されず!?)ストーリに沿って捜査を進めるんや、とい
うことを痛感した。

また取調べでは、すでに取られた別の被疑者の供述調書(否認供述は一
切書かれていない)を手元に置いて「誰それはこう言ってるぞ」と迫る
のだが、その理由を高橋検事は「他の取調官以上の調書を取るよう、主
任から指示されてのこと」と証言。取調官どうしを競わせる手法が使わ
れていると分かる。

「田村補佐の取調べ前に見た資料は何か?」と弘中弁護士が聞く。「そ
れまでの供述調書や捜査報告書などだが、それが資料の全てかどうか分
からない。しかし・・・主任から回って来たものは全て見る」と応える
高橋検事。
高橋検事が、証人席でただ一度だけ前田主任検事のほうをチラ見したの
は、プレッシャーからなのか、忠誠心を認めてもらいたいためなのか・
・・いずれにしても「主任検事の判断が、絶対遵守すべき捜査基準なん
や!」と、強烈に伝わってくる。

裁判官から「取調べメモ」の破棄について糺された時は、高橋検事も
(今日の二人目の証人である)牧野検事も、すでに出廷した取調べ検察
官たちと同じく「不要だから」と言い切った。高橋検事は「調書は、ど
の部分を書き込むか主任からの指示を受けたものだが、メモは自分の走
り書きなので役立たない」と”補足”までしてみせる。そして「誰それ
から、こういう供述を得ているよ、というのは圧力ではないのか?」と
裁判官に聞かれると「ちょっと・・・意味が分かりません。」と、本当
に戸惑った様子を見せるのだった。

牧野検事は、記者会見で弘中弁護士から「便利屋」と評されたほど、主
任検事の指示によって日替わりで何人もの取調べに当たってるのだが、
弁護側の尋問に対しても、裁判官からの尋問にも答えが常にしどろもど
ろで、時には検察官席に目で助けを求める様子を見せ、裁判官から注意
を受ける一幕も。その検察官側には、前田主任検事が奥まった席からガ
ンを飛ばしているというシチュエーション。

二人の副検事の尋問終了後、検察側により河野、倉沢、塩田、木村の4
氏の調書が証拠請求された。4氏については、検察官調書と食い違う証
言をした重要証人だからという理由だが、「自分に都合の良いところだ
けを調書にしておきながら、今になって覆した証人の調書を証拠請求す
るのはおかしい!」と弘中弁護士が激しく抗議して攻防の結果、「証拠
物」として採用された。調書がえぇかげんで一方的なものやということ
は、すでに明確になっているけど、裁判が長引くのが心配やな。

               ◇

昼休み終了後、なぜかいきなり法廷入り口でボディチェックが始まった。
理由の説明は無し。江川紹子さんはじめ傍聴者がすべてチェックを受け
たそうやけど、チェックに気付かないで「うっす!」などと言いながら、
キャリーバックを引っ張って傍聴席に走り込んだ私は、なぜかチェック
を受けずじまい。江川さんに呆れられてしまった。

そしていよいよ、厚子さんが証言台へ。
弘中弁護士から「公務員としての思い」を問われ、「大学の時の恩師か
ら、公務員は国民の願いを法律や制度にして行く翻訳者だ、と言われた
言葉を最も大切にしている。」と、少し緊張が感じられるものの、いつ
もの穏やかな表情を浮かべ、明瞭な声で尋問に応える厚子さん。

「女性、高齢者など、日本において遅れている分野の仕事にはやりがい
がある。この分野は民間の人も大変努力されているので、信頼に応えた
いと思いながら仕事を続けて来た。平成9年に旧労働省で障害者雇用対
策課長として、初めて障害問題に取り組んだ。『働くこと』は、障害の
有無にかかわりなく人間の尊厳にとって、とても大切な問題であり、障
害があっても働けることが当たり前の社会にしなければならないと思っ
た。女性も障害者も、能力が高くても社会的偏見などで働けない場合が
多く、よく似た問題だと思っていた。労働省で障害者に関わる課は一つ
しかないので、ここだけか・・・と思っていたら、厚労省になって改め
て福祉分野で(障害者問題に)携わることができた。」
厚子さんの声が静かに法廷内に広がる。

そう・・・プロップ・ステーションは、厚子さんが障害者雇用対策課長
に就任された年に、草の根のボランティアグループから厚生大臣認可の
社会福祉法人となり、それからずっと「障害者(チャレンジド)が、当
たり前に働ける日本」を目指して、厚子さんと私は二人三脚で歩んで来
たのだ。拙著「プロップ・ステーションの挑戦〜チャレンジドが社会を
変える〜(筑摩書房)」を厚子さんに手渡し「これ読んでくれへん」と
言うと、一日で読み終え「ナミねぇ、これで私は上司と闘えるわ」とニ
ッコリ微笑みながら言われたのを、昨日のことのように思い出す。「女
問題も、障害者が働きにくいのも根っこはおんなじ、日本システムの課
題だからね。それを変えなくっちゃ!」と、朗らかに言った厚子さんに
「わぁ、官僚にもこんな人が居てはるんや。私ら同志になれるかも!」
と強く感じた、あの日。

その厚子さんが、検察の創作ストーリという罠にはまって5ヶ月間も勾
留され、公務員の仕事を奪われ、今、裁判を戦っている。こんな理不尽
なことが有ってえぇもんか!!
いやいや、怒ってる場合ちゃう。厚子さんが冷静に証言してはるのに、
私が血ぃのぼってどないすんねん。どぅどぅどぅ・・・と傍聴席で自分
を諌める。

「それが、今回の福祉企画課長ですね。」弘中弁護士の問い掛けが続く。
「はい、もう一度やれる!と嬉しかったです。」と厚子さん。
「でも、支援費で予算が不足し、障害者団体が厚労省を取り巻く状況の
中で、自分にやれるかな、やらねばならない、という思いでいっぱいで
した。」

支援費制度の導入で、行政が障害者の施設やサービスを規定する制度か
ら、障害者自身がきちんと契約してサービスを得る制度に転換したもの
の、財政面が脆弱で「補助金の枠」を超えると地方自治体が持ち出すか、
サービスを止めるかという状況に陥ってしまい、年度当初は予算を無理
に圧縮したり(高齢施策などから)流用したりしたが限界が来たことか
ら、制度の見直しが必要になった・・・という経緯を厚子さんが簡潔に
説明する。

そこで、高齢者の介護保険制度の年齢制限をなくし、保険料を支払うこ
とで若い人も障害を負ったら使えるという方向で行けないかということ
を介護保険の審議会にかけたが、なかなか進展せず、16年8月ごろか
ら新たな制度設計をしようということになり、10月にグランドデザイ
ンをまとめた。
サービスの選択、大型(収容型)施設ではなく街の中で暮らす、働くこ
とを当たり前にして行く、国民全体で支える、など支援費の良いところ
も取り入れ、11月頃に「介護保険を使わずにやる」ということで財務
省も説得できた時、自立支援法の骨格が固まった。そして17年1月に
始まる国会に法案提出する、という経過をたどりました。

厚子さんの説明を聞いて弘中弁護士が「すると自立支援法は、16年の
夏から暮れにまとまった訳ですね」と質問する。「そうです」と厚子さ
ん。
「(この事件は、自立支援法を通すため、石井議員からの要請を断り切
れなくて起きたというのが検察のストーリーだが)それなら16年6月
に、自立支援法が理由でということは・・・」「あり得ません」厚子さ
んがキッパリ答える。
「インターネットなどで審議会関連を調べると、経緯がすべて確認でき
ます。」

その後、同僚から「メモ魔」と言われる厚子さんの手帳や、日々細かく
綴ったノートの(手書きの)内容をパソコンに移した資料などを元に、
弘中弁護士が16年6月1日から10日間の、厚子さんのスケジュール
を法廷内のディスプレイに映し出して確認する。
まさに分刻みで会議、打合せ、委員会、与野党議員への説明、関係団体
回り、などなどなどがビッシリ続いており、「アポなしで倉澤氏が訪れ
て、厚子さんから手渡しで偽造証明書を受け取ること」など「やれるも
んならやってみなはれ状態」やったことが明らかにされた。

また厚子さんが上村係長に直接指示したという点については「直属の上
司の頭越しに、私が係長に指示するような失礼なことは、あり得ない。
また交付や通達は通常郵送される。石井議員についてはお名前とお顔は
存じ上げていたが、話をしたことは一度も無かったし、石井議員と厚労
省との関わり自体も無かった。」と述べた。

逮捕の状況については「遠藤検事から大阪地検に前日出頭要請があった。
倉澤氏からの依頼や、上司から指示を受けて部下に自分が指示しただろ
うと、何度も何度も聞かれたが、記憶にも無いし、覚えてもいないので
話が噛み合わなかった。」弘中弁護士が「逮捕は遠藤弁護士から告げら
れたのか?」と聞く。「知らないことを、知りませんと言って逮捕され
るなんて、なんか非常事態のような気持ちで・・・手続き説明では、
10日間の勾留が1回更新されて20日間。それから起訴するかどうか
決まるが、あなたは起訴されます、と言われました。決まってるなら
20日間は何なんだ、と思いました。」と、初めて厚子さんの声が悔し
そうに震える。

「真相解明が検察の役割のはずなのに、検察がそんな方針ならどうすれ
ば良いんだろうと、思いました。」

「調書を拒否したことは?」「ありました。長い調書を持ってこられた
けど、塩田氏や上村氏への悪口などがいっぱい書かれていて、これは自
分の人格と違う!と拒否しました。」
「その調書は面前口授ではなく(遠藤検事が)出来上がったもの持ち込
んで来たんですか?」と弘中弁護士。「はい。立派な否認調書ですよ、
どこが気に入らないのか言いなさい、と言われて、全く別人格の内容な
ので一部だけ直せるものではない、と答えました。すると検事が『これ
は検事の作文です。書きなおします』と言って、作り直されました。で
も納得できない部分があったので、明日弁護士に相談させて下さい、と
言うと、自分は今日だけで、明日は検事が変わる、と言われたので、徹
底的に直してもらって(否認調書に)サインしました。」と、厚子さん
が話す。

遠藤検事の直した調書にサインしたことについて「明日は人が代わると
言われたことと、逮捕前に女性事務官たちの雑談から、失礼な言い方だ
けど、割とましな人と思ったので・・・」と厚子さんが言うと、傍聴席
からクスクス笑いが起きる。「でも、二人でかなりやり取りして調書を
書き直し(私が)サインします、というと『決済を取る』と言って出て
いかれたので、もし上司がダメと言ったらどうするの・・・と、すごく
失望しました。」

「罰則などについては何か聞きましたか」と弘中弁護士。
「執行猶予がつくだろう、たいした罪ではない、と言われ、非常に腹が
立ちました。私にとっては・・・・」厚子さんの声に涙がまじり、嗚咽
となる。
「公務員としてやってきた30年間の信頼を、全て失うのです・・・・」
厚子さんの小柄で細い背中が震え続ける。隣の席で傍聴している二人の
お嬢さんも目を真っ赤にしている。
「今日はこれで。」裁判長が、閉廷を告げた。

厚子さんの証言は、明日も続く。

<文責:ナミねぇ>

■本文はプロップ・ステーションのサイトでもお読みいただけます。
 http://www.prop.or.jp/news/topics/2010/20100415_01.html

■江川紹子さんの、厚子さん第17回公判傍聴記
 http://www.prop.or.jp/news/topics/2010/20100415_02.html

■「村木厚子さんの完全な名誉回復を願うサイト」では厚子さんの公判
に関するニュースを随時ご報告していますので是非ご覧ください!
 http://www.prop.or.jp/news/topics/2009/20090727_01.html

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第18回公判 平成22年4月15日 速報!!

■「厚子さん、第18回公判傍聴記」 by ナミねぇ
〜厚子さんに見る公務員の挟持と、それを失った検察官たち。 その2〜

4月15日(水)厚子さん第18回公判。
小雨の中、予定通り10時開廷。
昨日に続き、厚子さんが証言台に。

弘中弁護士が、昨日の尋問の続きを開始する。
「遠藤検事が、明日から取調官が代わると言って、実際に代わったのか?」
「はい、國井検事に代わりました。國井検事から事件の詳細な説明を受
けました。倉沢氏→石井議員→塩田部長→私→北村係長→上村係長・・
・といったストーリを克明に語られました。」と、厚子さんが答える。

「質問ではなく、ストーリーを語った?」
「はい、よく覚えてないんですが・・・物語風に説明されました。そし
て國井検事は、色々な人の話を聞いてるようで、あなたの話と他の人で
温度差があるね、と」
「その日、調書は?」と弘中弁護士が聞く。
「とってません。翌日は(他の人を調べた)調書を持ち込み、指さしな
がらまた詳細に話しました。遠藤検事とは対照的に、私が何を言っても
全くメモを取らずに話を続け、口述筆記しながらパソコンに入力するよ
う事務官に指示しました。そして(打ち終わった調書に)サインします
かと聞かれました。」と、厚子さん。

「内容は?」
「私は上村さんに大変申し訳なく思っている。私の指示がきっかけでこ
のような事になってしまった。上村さんは真面目な人で、一人でこのよ
うなことはしない。私は責任を感じているという内容でした。」
「サインしたのですか?」と弘中弁護士。
「していません」キッパリ答える厚子さん。
「私は、どのようにでも読み取れる、このような、いやらしさを感じる
文章にはサインできません。」
「あなたが言ってないことを調書にしたということですか?」と弘中弁
護士。
「はい。」

「そのやりとりで國井検事を、どう思いましたか?」
「信頼関係が結べないと思いました。思い込みが非常に激しく、私は罠
にはめられると感じました。」
「國井検事の言葉で、記憶に強く残っていることがありますか?」と弘
中弁護士。
「あなたが嘘をついてるか、他の全ての人がついてるかだ、と。」

「私は國井検事がいう『石井議員の案件なので全員が私の指示に従って
不正をした』という状況が起こりうる場面を考えてみました。3つの可
能性があると思いました。

*部下が全員、議員案件は、何が何でもやるものと思い込んでいる場合 
*気づかない間に私が恨みをかっていて、皆が(私を)罪に陥れようと
 している場合
*私が重篤な二重人格という疾患で、悪い人格で行った時の記憶が無い
 場合

の三つです。
しかし冷静に考えてみると、どれもあり得ないと思いました。
まさか検察官が嘘を言っているとは思わず、このようなことを言う理由
は何なのだろうと考えたのです。」

「國井検事は、キャリアとノンキャリについても『ノンキャリは汚い仕
事ばかりさせられ、仕事がイヤで嫌でたまらない』とも言いました。全
く違う、それはノンキャリに対する侮辱であり、大変失礼だと感じまし
た。でも私がどのように説明しても『いや違う!こうだ』 と、考えを
押し付けるので、この人は、なぜこんな思い違いをしてるのかと思いま
した。

それから國井検事は、ほぼ毎日来るようになり、なぜかと聞くと、あな
たのことが心配だから来る。このままだと重大なことになる、それが心
配だ、というような話ばかりされました。」
そして『今回の件はたいした罪ではないんだよ』などと言うので私が
『それではたいした罪とはどんなものですか』と聞くと『殺人や傷害で
す』と応えたので、「私は(公務員として)このような罪に問われるく
らいなら、殺人犯と言われるほうがましです、と答えました。」

「上村さんのことは、他に何か言いましたか?」と、弘中弁護士。
「はい。上村さんは私が逮捕された時泣いたそうで、ああいう人が嘘を
言うはずがない。彼は孤独でゴキブリが出ないのさえ寂しいと言う、そ
んな人だ。あなたには責任があると。私は自分の職場で起きた事件には、
自分にも責任があると思っているけれど、上村さんについては、なぜそ
んなことをしたのかと叱りつけたい気持ちですと、応えました。」

「あなたは弁護士である私に、手紙をくれたことがありましたね。」と
弘中弁護士が問いかける。
「はい。『記憶がないがありえる』ということと『絶対やっていない』
ということをいくら頼んでも書き分けてくれないので、不安になって手
紙を書きました。

*倉沢さんに会ったかどうかについては、毎日たくさんの人が来られた
 り、会ったりするので、記憶に無いがありえること
*上司からの指示を受け、自分が部下に指示をする、という状況はよく
 有るが、虚偽と知りつつ行うことは絶対にないこと
*倉沢氏に、証明書を手渡していないこと

このよう『記憶がないがありえる』ということと『絶対やっていない』
ことを、キチンと区別して調書にして欲しいと言いましたが、聞いても
らえませんでした。

その時の遠藤検事の説明は『調書はあなたから見た真実。客観的事実と
は違う』ということでした。つまり、『あるかもしれない=ない』と書
けばいいんだと言われサインしてしまったのですが、だんだん不安が募
りました。
これは私を『うそつき』という罠にはめようとしてるのじゃないかと恐
ろしくなり、お手紙を書いたのです。」

大阪地検に出頭し、いきなり逮捕された時の衝撃と、自分の言葉を全く
聞き届けてもらえない理不尽さを思い出しながら、それでも落ち着いた
声で話し続ける厚子さん。

尋問が、弘中弁護士から白井検事に代わる。
「取調べにおいて、暴行、脅迫などはありましたか?」と、白井検事。
「(私が)知らないと言った時『知らないはずはない!』と、大声で言
われました。また國井検事は、このままでは重い罪になると言い続けま
したが、これは脅迫だと思います。」と、厚子さん。

その後、白井検事は、昨日の尋問で「時期的な整合性が無いことが明ら
かになった、障害者自立支援法との関連」についての質問などを、再び
繰り返した後「あなたは保釈された日に、ご主人同席で記者会見を開き
ましたね。保釈の条件に事件関係者との接触禁止が有ったのではないで
すか? テレビカメラは、まずいと思いませんでしたか?」と、唐突に
聞く。

「逮捕、拘留中に、全く事実と違う報道をされ続け、身の危険さえ感じ
ていました。(私が家に帰ることで)マスコミが家に押しかけたり、心
ない人がルールを無視した行動をとって、子どもたちが恐い思いをする
ことなどが無いよう、また真相解明に繋がって欲しいとも考え、弁護士
に相談したところ『問題なし』とのことでしたので、会見を行いました。」
と厚子さんが答える。

弘中弁護士からは「記者会見は、こちらから呼びかけたものではありま
せん。一度保釈が取り消されたこともあり、マスコミから記者会見の要
望が非常に強かったので、それに応えたものです。」との説明がなされ
た。

最後に、裁判官たちから、厚子さんの多忙なスケジュールや配席図の確
認などがあり、裁判長からは「凜の会の倉沢氏に、厚子さんが公的証明
書を手渡した」という検察ストーリーについての質問が投げかけられた
が、「絶対にありません。もしあったとすれば非常にイレギュラーなこ
となので記憶に残っています!」と、厚子さんがきっぱり否定し、今日
の公判が終了した。

私は厚子さんの公務員としての挟持、理不尽な出来事に屈しない強さ、
母親としての温かさを噛みしめながら、残る公判で検察側がどのような
反撃を企てたとしても、きっときっと厚子さんの名誉を回復しなければ
ならないと、改めて心に誓って大阪地裁を後にした。

寒の戻りの小雨の中を、肩を寄せ合って歩く厚子さんと二人のお嬢さん
の、後ろ姿を見送りながら・・・

PS.
4月の公判はこれで終了し、証拠整理、論告、弁論などを経て、9月1
日に判決が言い渡される予定となった。検察に控訴されない(出来ない)
無罪判決が出て、厚子さんの無罪が確定することを、切に願うナミねぇ
です。

<文責:ナミねぇ>

■本文はプロップ・ステーションのサイトでもお読みいただけます。
 http://www.prop.or.jp/news/topics/2010/20100416_01.html

================================

■□◇◆厚子さん公判に関する最新報道一覧◆◇□■

村木元局長“脅迫と感じた”  NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100415/t10013867721000.html

郵便不正公判:大阪地検が窮地 供述内容覆り  毎日新聞
http://mainichi.jp/select/today/news/20100416k0000m040081000c.html?link_id=RTH04

「作文調書に署名要求」、村木被告改めて無罪主張…郵便不正公判
読売新聞
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20100415-OYO1T00230.htm?from=main1

厚労省文書偽造 元局長、検察の構図否定  東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010041502000059.html

【郵便不正公判】村木被告「わなにはめられた」
実質審理終了、9月にも判決  産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100415/trl1004152012008-n1.htm

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

郵便不正公判:「自立支援法」供述 副検事が誘導認める  毎日新聞
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100414k0000e040073000c.html

郵便不正関与、涙の否定 厚労省元局長・村木被告の公判  朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0414/OSK201004140087.html

郵便不正、元局長「作文調書」署名求められた  読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100414-OYT1T01165.htm

【郵便不正公判】第17回詳報
村木被告「(検事に)腹が立った」と涙  産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100414/trl1004142108008-n1.htm

村木被告、検察側の構図全面否定 郵便制度文書偽造事件
共同ニュース
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010041401000655.html

================================

■□◇◆4月前半の活動報告◆◇□■

○4月2日(金)
・原口一博総務大臣と面談。(CM字幕、政見放送字幕付与など)
 / 場所:総務省原口大臣室(月刊ニューメディア企画)
・消防庁予防課長:濱田さんと「聴覚障害者向け火災報知器」打合せ
 / 場所:総務省消防庁予防課
・CM字幕等、打合せ(ニューメディア編集長:吉井さんと) /

○4月3日(土)
・お花見!(米焼酎:鳥飼、持参)
 / 場所:和歌山城で、15年ぶりに・・・

○4月6日(火)
・Save as Daisy記者発表 /場所:ミッドタウン・タワー4F
 東京ミッドタウン カンファレンス#1
 マイクロソフト社&デイジィコンソーシアムの皆さんと
・日本総研の皆さんと、在宅ワーク打合せ /
 場所:プロップ東京オフィス
・総務省より来訪 / 場所:プロップ東京オフィス
・取材 / 場所:プロップ東京オフィス

○4月7日(水)
・母 病院診察に同行 / 場所:東神戸病院
・ビリー市田 関空到着(米国より)

○4月8日(木)
・ビリー市田 シティライツ・ライブ / 場所:神戸岡本シティライツ

○4月10日(土)
・婦人公論「時代を創った女たち」取材のため、来訪
 / 場所:プロップ神戸オフィス → 夜の大阪ライブも取材あり
・ビリー市田ジョイント・ライブ
 / 場所:ライブバーD3(大阪西中島)
 http://www.dcpro.jp/d3_top.html

○4月11日(日)
・婦人公論「時代を創った女たち」取材
・父、13回忌法要&ライブ

○4月12日(月)
・「約束の日 カントリー・ゴールド」主宰チャーリー永谷さんと
 ジョイント /場所:チャーリーさんのお店(熊本市)で

○4月14日(水)
・厚子さん第17回公判(被告人質問はじまる)
 / 場所:大阪地裁201号法廷

○4月15日(木)
・厚子さん第18回公判傍聴 / 場所:大阪地裁201号法廷

○4月16日(金)
・ビリー市田 米国に帰国 / 16:50関空発

その他のスケジュールはこちらをご参照ください。
http://www.prop.or.jp/webcal/webcal.cgi

================================

■□◇◆4月後半の講演など予定◆◇□■

○4月19日(月)
・内閣府政策統括官:山崎さんたち、来訪 /
 場所:プロップ東京オフィス
・「雇用戦略対話WG」に出席 / 場所:内閣府

○4月20日(火)
・立正佼成会より、来訪(ご相談) / 場所:プロップ神戸オフィス
・キリンビール時國部長、講演打合せのため来訪 /
 場所:プロップ神戸オフィス
・神戸市立医療センター中央市民病院:倫理委員会に出席 /
 場所:神戸市立医療センター中央市民病院

○4月22日(木)
・婦人公論取材、続く / 場所:プロップ東京オフィス
・「総務省情報通信審議会 地デジ委員会」に、出席 /
 場所:総務省8F 第1特別会議室
・CM字幕関連打合せ / 場所:都内

○4月26日(月)
・会議/ 場所:総理官邸

○4月29日(木)
・兵庫LD親の会(たつの子)20周年講演会
 「社会的自立をめざして」
 / 場所:神戸市男女参画センター(あすてっぷ神戸)

○5月1日(土)
・川崎・しんゆり芸術祭に出演 映画「チャレンジド」上映とトーク /
 場所:川崎アートセンター(小田急線 新百合ヶ丘)

○5月2日(日)
・長男ヒロアキ&トラセン・エリさん、結婚式のため家族でタイ国へ /
 場所:エリさんの実家(チェンマイ郊外)にて →帰国 5/7(金)

その他のスケジュールはこちらをご参照ください。
http://www.prop.or.jp/webcal/webcal.cgi

================================

☆メール de ナミねぇ!【第104号】
                    平成22年4月19日発行
☆発行元:社会福祉法人プロップ・ステーション
                 URL http://www.prop.or.jp/
☆お問合せ先:  〒658-0032 兵庫県神戸市東灘区向洋町中6−9
                神戸ファッションマート6E−13
             社会福祉法人プロップ・ステーション広報
                メールアドレス:kouho@prop.or.jp
☆発行:原則として毎月1日と15日頃(それ以外は随時発行)
☆メール de ナミねぇ!は『まぐまぐ!』
 http://www.mag2.com/ を利用して発行しています。
☆ご意見・ご感想をお待ちしております。
 kouho@prop.or.jp こちらまで。
☆バックナンバーはこちらでご覧いただけます。
 http://archive.mag2.com/0000216194/index.html
☆配信中止をご希望になる場合はこちらでお手続きください。
 http://www.mag2.com/m/0000216194.html

☆『メール de ナミねぇ!』は株式会社まぐまぐのメール配信サービス
 を利用して発行しています。読者登録をされますと「まぐまぐ」のオ
 フィシャルメールマガジンも届くことになりますので、ご不要の場合
 はお手数ですがそれぞれのメルマガの配信停止ページからお手続きい
 ただきますよう、お願いいたします。

■□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇

ページの先頭へ戻る