「厚子さん公判傍聴記 判決の日」 by ナミねぇ

2010年9月10日

(公判傍聴記速報はナミねぇのtwitter で!)

 

2010年9月10日(金)台風一過、秋晴れの大阪地裁。
傍聴券を求めて数百名の人が参集。
空には取材ヘリが飛び交い、地裁中庭には中継車両が10台も!
取材陣の中から「小室哲哉の判決でも、こんなに集まらなかったかも。芸能人の裁判以外で、こんなに集まったのは初めてちゃうか!?」との声が聞こえる。

抽選を待つ間に、TV取材を2つ受ける。
マイクを向けて記者が聞く。
「支援者として、今どのようなお気持ちですか?」
「厚子さんが無罪であり、冤罪事件であることは明らかやけど、検察が控訴するという噂を聞いている。そのような暴挙が行われないことを祈るとともに、厚子さんが一日も早く職場復帰できることを願っています。」とコメントさせてもらった。

籤運の悪い私は、プロップのチャレンジド仲間たち6名に「抽選要員」をお願いして同行してもらい、抽選に挑む。
あぁぁ・・・やっぱり私はハズレ!!(>_<)
でも仲間が下二桁「73(ナミ)」の番号を引当て、なんとそれが当たりクジ!!

厚子さんのご家族(ご主人のお父さんも、北海道から出てこられてた)も、仲間の応援でクジに当たり、ホッとしながら201号法廷に入る。

午後2時。開廷。
横田信之裁判長の「被告人、前へ」との声で、グレーのシックなスーツに身を包み、いつものように髪を後ろに束ねた清楚な趣の厚子さんが、法廷の中央に立つ。

「主文、無罪!」

横田裁判長の声が静かな法廷に響き渡る。
おぉぉ・・・という声が、さざ波のように傍聴席に広がる。
思わず私は、大きな拍手をしてしまった!!
報道記者たちが、一報を送るため、どっと法廷から走りだす。

その後なんと、4時間弱にわたり、横田裁判長が判決文を読み上げた。
あまりに論理的で詳細な判決文に、素人の私は頭がウニ状態やったけど、検察が挙げた一つ一つの「証拠や調書」を論破しているんや、ということだけはしっかり伝わって来る。
心のなかで「横田裁判長に、座布団10枚!!!」と叫ぶわたし。

厚子さんは弁護団と並んで座り、静かにメモを取り続けている。
検察側も、すでにこのような展開は想定していたようで、少し呆然とした表情ながらも、身じろぎせずに座っている。

午後6時前、閉廷。
大阪地裁司法記者クラブで、弁護団と厚子さんの記者会見が始まる。
厚子さんの表情は、いつも以上に穏やかで、愁眉が開いて温かい。

「無罪、の判決を聞いた時は、どのようなお気持ちでしたか?}と質問が飛ぶ。
「心臓が、一つ大きな鼓動を打ちました。」と、厚子さんが答える。
そして「無罪を信じてやってきました。支えてくれた友人・知人や家族に感謝しています」と笑顔で答える。

「検察に対して言いたいことは?」
「二度とこのようなことが起きないよう、そしてなぜこのようなことが起きたのか、検察はしっかり考え、正しい信頼できる組織に戻って欲しい。私は多くの貴重な時間が奪われたが、これ以上奪わないで欲しい」と、静かな、でも切実な声で厚子さんが訴える。

「マスコミに言いたいことは?」
「初期には、あまりに酷い報道がなされ、自宅や職場にも押しかけられた恐い思いをした。家族にも辛い目を合わせた。でもマスコミは大きな力を持っているので、これからは検察が正しい組織に戻るよう、報道の力を発揮して戴きたい。」と、きっぱり。

記者会見が終わり、記者クラブを出る厚子さんに思わず駆け寄ってハグしながら「おめでとう!」と声をかける。
「ありがとう」と答えながら、厚子さんはすぐに記者たちにもみくちゃにされ、会見場を後に。

「厚子さん、今夜はゆっくりご家族、弁護団の皆さんと祝杯を上げてね!!」と心のなかでつぶやきながら私も地裁を後にしようとしたけど、「竹中さん、支援者としてのコメントを!」「ナミさん、お話聞かせて下さい」という何社かの記者たちに声をかけられ、「検察が絶対控訴しないよう、厚子さんをこれ以上苦しめないよう、メディアの応援をよろしくお願いします。世論の高まりに力を貸して下さい。」と答えて帰路に着く。

自宅に戻って、母と弟を誘い3人で晩ご飯を食べながら、明日からまた始まる「控訴許すまじ」の闘いに向けて、でも今夜はやっぱり祝杯じゃ〜!!」と、乾杯する。
厚子さんのご主人からも「家族、弁護団で祝杯あげてます。」と、携帯メールが届く。

友人,知人、ツイッター仲間からも、続々「おめでとう!」「まだ道半ばやけど、がんばろ〜」のメールが。
嬉しい!!

アルコールに強い、高知の女、厚子さんが、心からの笑顔がとり戻せる日。
一緒に「ホンマモンの祝杯」があげられる日まで、明日からまた頑張ろうと決意しながら、長かった一日が終わる。

支援者の皆さん、ありがとう。
弘中弁護団の皆さん、最後までよろしくお願いします。
そして横田信之裁判長、あんたはエライ!!!
慣習を破るというのが、どんなに大変なことか、私は骨身にしみて知っている。
あなたの公平な感覚は、きっとこれからの裁判を変えて行く、起爆剤になることでしょう。

検察が控訴すれば、二週間後に高裁での裁判となります。
厚子さんの生活と貴重な時間を、これ以上奪ってはなりません。
二度とこのような冤罪事件を起こさないためにも、世論のうねりが起きますように。

台風一過、少し涼しい風の吹く神戸の片隅で、願いをこめるナミねぇでした。

<文責:ナミねぇ>

 

(公判傍聴記速報はナミねぇのtwitter で!)

 

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