読売新聞 2010年6月27日より転載

郵便不正事件公判

「村木元局長の無罪確信」 大平光代さんエール

郵便不正に絡んだ厚生労働省の偽証明書発行事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長・村木厚子被告(54)の最終弁論が29日、大阪地裁で開かれる。同彼告の逮捕直後から、無実を信じる著名人らがインターネットなどを通じて支援を呼びかけており、大阪市元助役で弁護士の大平光代さん(44)もその一人。大平さんは読売新聞の取材に、「私は無罪を確信している」と話した。

「頑張って」励まされた助役時代

村木被告の無実を訴える大平さん(自宅で)

大平光代さん
1994年、司法試験に合格。00年に出版した自伝「だから、あなたも生きぬいて」がベストセラーに。03年12月、大阪市初の女性助役。05年10月の辞職後に結婚、現在は、ダウン症と心臓疾患を抱える長女(3)の子育てに専念している。

大平さんが村木被告と知り合ったのは、助役就任後の2004年。当時、村木被告は厚労省企画課長で、行政経験がなかった大平さんは上京のたび、アドバイスを受けるようになった。同年秋、ヤミ年金などが発覚した職員厚遇問題。改革を推進する大平さんは、外からも、改革を嫌がる内部からも批判にさらされた。

「つらいでしょうけど、(改革を)今頑張ることが、将来の子どもたちの笑顔につながる」。村木被告はそう言って、大平さんを励ましたという。

昨年6月の逮捕では、「課長が直接、係長とやり取りするなんて考えられない」「自分の権限で出せる証明書を、なぜ偽造しなければならないの?」と、助役経験者、そして弁護士として違和感を覚えた。

大平さんは、いじめを受けた中学時代、同級生への無言電話の犯人に仕立て上げられ、割腹自殺を図った経験を持つ。

「身に覚えのないことで疑われ、信じてもらえないことがどんなにつらいか」。大平さんは昨年7月、社会福祉法人理事長の竹中ナミさん(61)と支援のホームページを開設、拘置中の村木被告に500通を超える激励の手紙を送るなどした。

「公判中だが、検察は素直に捜査の矛盾を認め、厚子さんの名誉を回復してほしい」。大平さんは語った。

村木被告を巡っては、浅野史郎・元宮城県知事、堂本暁子・前千葉県知事らが無実を訴える声明を発表するなど、親交のある人たちが支援の輪を広げている。

※偽証明書発行事件
実体のない障害者団体に偽の証明書を04年6月に発行したとして、大阪地検特捜部が、村木被告と部下だった元係長ら3人を逮捕。
先月、地裁は捜査段階で村木被告の指示を認めた元係長らの供述調書を証拠採用せず、村木被告の無罪の公算が大きくなっている。検察側は今月、村木被告に懲役1年6月を求刑した。

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