障害者郵便割引不正:証言転々、慌てる検察 「凜の会」代表が出廷

毎日新聞大阪朝刊 2010年6月25日記事

 郵便料金割引制度を悪用した郵便不正事件で、障害者団体の偽証明書を作成したなどとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元係長、上村勉被告(40)の第4回公判が23日、大阪地裁であった。偽証明書を悪用した「凜(りん)の会」(解散)代表の倉沢邦夫被告(74)が証人出廷。厚労省元局長の村木厚子被告(54)から偽証明書を受け取ったという証言内容が二転三転し、尋問は混乱した。

 倉沢被告は、この事件で起訴された他の被告や自分の公判では「村木被告から受け取った」と証言しており、検察にとっては無罪主張の村木被告を有罪に結び付ける数少ない証拠の一つだった。

 検察側の主張によると、倉沢被告は昨年4月、郵便法違反事件で逮捕された際の取り調べで「村木被告から偽証明書を受け取った」と供述したとされる。

 この日の証人尋問で上村被告の弁護人が「あなたは自発的に供述したのか」と聞くと、倉沢被告は「自発的ではない。検察官から『村木さんしかいないのでは』と言われた」と回答。慌てた検察側が同じ質問をすると、今度は「私から申し上げたと思う」と答えた。裁判官に対しては「他に思い当たる人がなく、消去法的に話したと思う」と証言を変えた。最後に横田信之裁判長が「元々記憶がはっきりしていないのでは」と言うと「それはあります」と述べた。【日野行介】

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