江川紹子さんの、厚子さん第16回公判傍聴記

ジャーナリスト江川紹子さんの、厚子さん第16回公判傍聴記です。前回に引き続き江川さんの了解を戴き、ツイッターを時系列にまとめました。

2010年3月31日

 

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厚労省元局長村木厚子被告の公判:公的証明書を偽造した上村係長を取り調べた國井検事が前回に引き続き出廷。上村係長は弁護人から差し入れられた「被疑者ノート」に國井検事から言われた言葉や、自分の言うことを調書に書いてもらえない、供述と違うことが書かれていると書いていた。 公判廷で取り調べ状況についての上村係長と國井検事の証言は、まっこうから食い違う。検察側から「上村さんが実際の取り調べと違うことをノートに書いている理由をどう考えるか」と聞かれた國井検事は、次のように答えた。

「当時から、彼は事実を供述するかどうか非常に迷っていた。(村木被告の関与を)供述した後も、単独犯にできないかと言われた。心が揺れ動いていた。(被疑者ノートには)私の話をうまく取り込んで書いている。狡猾だなと思う」と上村被告を非難。起訴前日には、村木ともども起訴することを伝えたうえで「今までのことは忘れてもらって結構なので、一から話をして欲しい」と語りかけたところ、上村は「スラスラと今までの供述を繰り返した」と取り調べの正当性を強調。上村から署名拒否されたことはないと主張した。

 國井検事に対し、弁護人が反対尋問。弘仲主任弁護人は、昨年5月26日に上村係長を任意同行・逮捕してから、連日取り調べを行ったのに、5月30日まで事件についての調書を1通しか作っていないことに着目。各日の取り調べ内容を確認したうえで、「なぜ調書にしなかったのか」と追及。國井検事は「内容が裏付けがとれなかったから」などと弁明。弘仲弁護士は「あなたは供述の裏が確認できなければ調書にしないのか」と問うと國井検事は「そうです」と認める。さらに、國井検事がその後村木被告の取り調べをした際、1通も調書を作成していないことを弘仲弁護士が指摘

「被疑者が否認したら、否認調書を作るのは当然。あなたは被疑者が否認しても否認調書を作らないのか」と迫った。國井検事は「ケースバイケース」と。弁護人は「違う検事の年調べに対して、同じように否認しているのであれば、意味がある」と追及。 國井検事は、「従来の供述内容と変わらなかったから」と繰り返すだけだった。その後、河津弁護士が立つ。河津弁護士から驚きの事実が……

法廷に戻らなければなりません。この続きは夕方

國井検事は、逮捕された上村係長と合わせて、「凜の会」設立者の一人木村氏の任意での取り調べも担当。検察側の筋書きでは、木村氏は倉沢会長と共に石井議員の事務所に口添えを頼みに行ったとされる人物。しかし木村氏も、公判での証言でそうした調書は「検事の作文」と証言している

さらに、國井検事から怒鳴られたり机を叩かれたりして恫喝された、否認しても認められず「いいんだ、サインしろ」と迫れられたなどと証言している。國井検事は、検察側主尋問の中で怒鳴ったことと机を2、3回叩いたことは認めながら、次のように説明していた。「木村さんは足を組んで体を斜めにしていて、とても真摯に話しているとは思えなかった。それで『私も真摯に調べているのだから、あなたも真摯に応じて欲しい』と言った。すると木村さんは姿勢を正して『他人事と考えていた、すみません』と言い、態度が変わった」と。

その後、木村氏は「スラスラではない」ものの、「事実」を認めるようになった、と國井検事。机を叩くなどの恫喝的な取り調べはやめるよう、木村氏の弁護人検察庁に申し入れている。それについて木村氏に確認したところ、「私が出してくれと言ったわけじゃない」と言った、と國井証言。さらに、木村氏の方から「弁護士を解任したい」というので紙を渡して、最初に解任届と書いて、あとは自由に書いてもらった、と。ここまでが検察側の主尋問で出た話。反対尋問に立った河津弁護士は、まずはこの國井検事の言い分を確認。その後、1通の書面を示した 

示したのは、「取り調べ関係申し入れ等対応票」と題する書面。木村氏の弁護人からの申し入れの後、佐賀元明特捜部副部長が國井検事に事情を聞いた時の状況が書かれている。佐賀副部長に対し、國井検事は木村氏の供述態度などについて次のように述べていた。<木村は真摯に供述しており、机を叩く必要はなく、そのような事実はない>。この説明で、大阪地検は國井検事が机を叩くなどの恫喝的取り調べはしていないと判断したもよう。國井検事は上司に対し、机を叩いてないと、嘘を言っていたのか。河津弁護士が証言と書面の矛盾を突くと…

國井検事は「私は恫喝したり恐喝したりするために机を叩いたんじゃない」「机を叩いた後は真摯になった」など述べた後、「私と副部長の間のやりとりに不十分なところがあった。恐喝恫喝したことがあるのかと聞かれたが、そういうことはしていない」などと弁明した

國井検事の発言は、上司の事情聴取で述べたことと、公判での証言とどちらが事実なのだろうか……

裁判官たちも國井証言には疑問を持ったよう。たとえば上村係長が当初単独犯を主張していた(國井によれば真実を隠していた)理由について、國井証言は「上村はノンキャリの同僚を庇っていた。厚労省は国民からの批判浴びることが多く。また組織的不正が明らかになったら…同僚が悲しい思いをする」と。左陪席裁判官は「ノンキャリの上村の単独犯でも、他のノンキャリに迷惑がかかるのは一緒ではないか」と率直な疑問。國井は「1ノンキャリがやるのと組織的では、国民の批判の目は違う」と説明。裁判官「上村がそう説明したのか」國井「それは私の想像」

裁判官は重ねて「なぜ、本人に聞かないんですか」。國井「聞いたが、細かいところまで答えてくれませんでした」。裁判官「聞いたんですか」國井「……」

ノンキャリの同僚を守るために、キャリア官僚の村木被告の関与を言えなかったというわかりにくい説明には、右陪席も「矛盾を感じませんか」と至極もっともな疑問を投げかけていた。そして、最後に裁判長も質問。「上村が公判で証言をひっくり返すかもしれないと、捜査段階で思っていたのか」國井「はい」裁判長「取り調べ状況について主張が食い違う可能性があるのだから、裏付けを残しておこうとは思わなかったのか」。裁判長、検事のメモ廃棄について、かなり疑問を感じている様子

國井検事は上村が泣き出した後に供述を始めたと述べているが、そうした状況はメモもせず、記録にも残していない。裁判長はその点について「いつ泣き出したのか分からなくならないか」と問う。國井検事は「調書を見れば思い出す」と。けれど、客観的にその事実を示す記録は何もない

木村氏、上村係長と次々に村木被告の関与を認めるストーリーの通りに「自白」させた國井検事は、最後に、否認を貫いていた村木被告の取り調べを担当。大阪地検特捜部は、國井検事の”捜査手法”を知ったうえで、この配置を決めたのか……

次に出廷した遠藤検事は、当初村木被告を取り調べ、その後國井検事と入れ替わり、上村係長の取り調べをした。事実関係については、ほとんど詳しい調べはせず、心境などと聞き、最後に反省文を書かせた、と。その反省文について、上村は遠藤検事に書き直しをさせられたと述べている。書き直しの理由について、「訂正箇所が多かったので、『清書してください』と言った」と。さらに事件による被害について言及したものを想定していたのに、短いものだったので「短いね」と述べた、と。裁判官は、反省文を書き直しをさせる経緯などを確認。

また、遠藤検事も上村係長が公判では証言を翻すのではないかと感じていたと述べたことについて、裁判長は「取り調べ検事の最良で録音録画することは認められないのか」と問うた。「申請したことない。(取り調べを行った)拘置所には器具はないし」と遠藤検事。それに対し… 「ICレコーダーとかがあるでしょう」と裁判長はソフトな口調で鋭い突っ込み。ちゃんと取り調べ状況を記録に残す「可視化」が必要であることを、一連の検察官証人が示す結果となった

『メモを捨てたというが、メモは個人のものであっても、そこに書かれた情報は税金を使って得た国民の財産だ。メモ紙に価値はなくとも、情報は高額の価値がある。公務員が税金を使って得た情報を勝手に捨てるのは許されない。@amneris84

今日のポイントは@被疑者が検察の筋書き通りに供述しないと國井検事は調書をとらないのではないか、との疑問が提起されたA國井検事は被疑者を恫喝していたという訴えに対し、國井検事が上司に嘘を言ったか、大阪地検ぐるみで「その事実はない」と隠蔽した疑いが持ち上がっていること

B検事の取り調べに裁判所が疑問を抱き、鋭い質問が相次いだ挙げ句、裁判長がICレコーダーによる録音を採ることもできると、可視化の必要性に言及する質問を行った??という3点だと思います。それを書いた上ならトランプ話でもなんでもどうぞ、という感じ

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