郵便不正公判 元係長「自分で決断」 村木元局長の指示否定

読売新聞大阪夕刊 2010年2月24日記事

 郵便不正事件に絡み、偽の障害者団体証明書を発行したとして虚偽有印公文書作成などの罪に問われた厚生労働省元局長・村木厚子被告(54)の公判が24日、大阪地裁であった。当時部下だった元係長・上村勉被告(40)が証人として出廷し、「企画課長だった村木被告の顔は知っているが、仕事で話をしたことはない」「村木被告には証明書を渡していない」などと証言し、「証明書発行は村木被告の指示だった」とする検察側の主張を否定した。

 公判では、村木被告に証明書発行を指示したとされる障害保健福祉部の塩田幸雄・元部長(58)も「(指示の)記憶がない」と証言しており、検察側が描く事件の構図が揺らぐ形となった。

 検察側によると、上村被告は2004年5月中旬、自称障害者団体「凛(りん)の会」元会員の河野克史被告(69)から証明書発行を催促され、発行手続きが進んでいるように見せかけるため偽の決裁書類を作成。6月上旬、村木被告に「決裁なんかいいんで、すぐに証明書を作ってください」と言われ、偽の証明書を作って村木被告に手渡したとされる。

 この日、上村被告は、偽の証明書を作成した理由について「予算のことで頭がいっぱいで一刻も早く雑事を片づけたかった。偽の決裁書類を出した時点で、将来的には証明書も偽造しないといけないと追い込まれ、6月1日に偽造を自分で最終決断した」と説明。自らの性格について「何でも抱え込むタイプで、上司と相談するのが苦手だった」と述べた。

 また、検察側が「村木被告が凛の会元会長・倉沢邦夫被告(74)に証明書を手渡した」とする点については、「6月1日の朝に証明書に公印を押して凛の会に連絡し、厚労省の隣の弁護士会館の地下にある喫茶店で河野被告に渡した」と証言した。一方、河野被告は別の日の公判に証人出廷し、「(証明書を)上村被告から受け取ったことは100%ない」と否定している。

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