郵便不正公判 「口利き記憶ない」
村木被告元上司が供述一転

産経新聞夕刊1面 2010年2月8日記事

 障害者団体向け割引郵便制度をめぐり偽の障害者団体証明書を発行したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長、村木厚子被告(54)の第5回公判が8日、大阪地裁(横田信之裁判長)で開かれた。当時上司だった元障害保健福祉部長が証人として出廷し、民主党の石井一参院議員からの口利き電話について、「今の私の記憶にない」と事実上否定した。事件の構図を揺るがしかねない証言で、検察側にとって厳しい情勢となった。

 元部長は捜査段階で石井議員から口利きを受けたと供述。検察側は、共犯とされる「凛の会」元会長、倉沢邦夫被告(74)=公判中=とこの供述などをもとに、倉沢被告が石井議員に証明書発行の口利きを頼み、元部長を介して村木被告に発行を指示した―と主張している。元部長は検察側の尋問に対し、口利き電話の存在を事実上否定したうえで、村木被告から「証明書を渡しました」と報告を受けた後に石井議員に連絡したという内容の供述調書についても「電話の交信記録があると検事に言われたので、そこから論理的に判断すれば、そういうことだろうが、書かれてあることは事実でない」と証言した。

 捜査段階で供述した理由は「政治家からの電話を受けることは日常茶飯事にあったことなので、検事に言われて、そういうこともあったかと思い込んだ」と説明。さらに供述調書全般について「検事と2人だけの会話だけで作られた。違う視点があればまったく違うものになっていたはず」と述べた。

(PDF 963KB)

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