厚労省元局長の指示を否定 郵便不正事件で元係長側

朝日新聞 2010年1月6日記事

厚労省元局長の指示を否定 郵便不正事件で元係長側 (2010年1月6日4時2分)

 厚生労働省から偽の証明書が障害者団体を自称する組織に発行され、郵便割引制度が悪用された事件で、虚偽有印公文書作成・同行使の罪で起訴された厚労省の担当係長だった上村(かみむら)勉被告(40)=現・主査=側が、「偽の証明書は独断で作った」という趣旨の主張をし、当時の上司で元雇用均等・児童家庭局長の村木厚子被告(54)=同罪の共犯で起訴、休職中=の指示を否定していることが5日、関係者の話でわかった。
 弁護側と検察側、裁判所の間で非公開で争点を話し合う上村元係長の公判前整理手続きの中で、そうした主張が明らかにされたという。
 大阪地検特捜部の調べでは、上村元係長は捜査段階で、村木元局長の指示で証明書を作ったことを認めたとされ、検察側は元局長の関与を示す重要な証拠と位置づけている。検察側は今後、ほかの厚労省関係者の証言も踏まえ、公判で元局長の共犯性を立証する方針だが、元係長側が指示を否定したことは、大きな争点になりそうだ。
 村木元局長の初公判は、27日に大阪地裁で開かれることが決まった。元局長側は全面無罪を主張する方針。
 検察側の構図では、上村元係長は障害保健福祉部企画課係長当時の2004年、企画課長だった村木元局長の指示で、自称障害者団体「凛(りん)の会」(現・白山会、東京)を郵便割引制度の適用団体と認める偽の証明書を作成。元局長は、凛の会元会長の倉沢邦夫被告(74)=同罪の共犯などで起訴=の依頼で国会議員が口添えの電話をした当時の部長(退職)から、発行を指示されたとされている。
 倉沢元会長の公判で明らかにされた元係長の捜査段階の供述調書や検察側の冒頭陳述によると、元係長は、元局長から「部長から下りてきた話でもあるから、すぐに証明書を作って下さい」と催促され、完成した際には「あとは私に任せて下さい」と言われた、とされている。

 一方、村木元局長は捜査段階から「不正を頼まれたことはなく、部下に偽造させたこともない」と関与を否認。倉沢元会長も「証明書が虚偽とは考えなかった」と無罪を主張しつつ、証明書は元局長から受け取ったと説明している。

 郵便不正事件では、実態のない障害者団体名義で企業のダイレクトメール広告が大量発送され、企業や団体関係者ら計20人が郵便法違反容疑などで逮捕・起訴されている。

 

 

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