「“野獣”ナミねぇ、官邸で吠えさせていただきました!」 −第1回社会保障国民会議での発言。

2008年2月18日

先にお伝えしましたとおり、ナミねぇはこのたび福田総理大臣の要請により「社会保障国民会議委員」に就任しましたが、さる1月29日に開催された第1回会議の議事録が公開されましたので、ナミねぇの発言部分をご紹介しますね!

ナミねぇは社会保障の在り方は、その国の国家観の表れやと思っています。そして、「チャレンジド(障害のある人)を納税者にできる日本」という過激な(!?)スローガンを掲げ、いわば既存の福祉観からすると「異端児」というべきプロップ・ステーションのナミねぇが、日本の社会保障を官邸主導で考える会議に出席するということに、改めて時代の変化を感じます。
このことは日本が、未曾有の少子高齢社会に突入したことに対する危機感を、多くの人が持つに至った結果だと思います。世界各国を見回すと、先進諸国の殆どが同様の危機に向き合った時「弱者に与える福祉」から「弱者を弱者でなくして行く福祉」に制度転換を行っています。その転換には、国民一人一人の中に眠るパワーや能力を引き出す、真摯な取り組みが必要です。

プロップのめざす「年齢、性別、障害の有無などにかかわりなく、すべての人が持てる力を発揮し支え合う、共生・共助社会(ユニバーサル社会)」を実現することこそが、将来にわたって持続可能で皆が安心できる社会保障の制度をつくっていくことに結びついてゆくのだと、ナミねぇは確信しています。

by ナミねぇ

 

第1回社会保障国民会議におけるナミねぇの発言要旨

吉川座長(吉川 洋 東京大学大学院教授)
  竹中委員。
竹中委員
  今年還暦になるおばちゃんだけれども、「ナミねぇ」というニックネームがあり、ぜひ皆さんも「ナミねぇ」で覚えていただければと思う。
  プロップ・ステーションという活動は、17年前から、大変重い障害があって介護が必要だというような人たちも、コンピューターや情報通信を使って社会を支える一員になりたいと、そういうような気概を持った人たちが集まって生まれた小さな小さな草の根のグループである。おかげさまで、ICTの非常な発達によって、それが実現化されてきて、全く見えない方、しゃべれない方、聞こえない方、動けない方も、本当に下のお世話を家族から受けながら、あるいは施設のベッドの上にいながらも、学ばれてさまざまな力を発揮されて、今や社会を支える一員になられつつあるという時代が、私の周りでは轟々と渦巻いている。
  こういう活動を始めたきっかけは、実は娘が35歳になるのだけれども、35年前に重症心身障害ということで、大変重い脳の障害を持って授かり、35歳の現在も、まだ私のことは、おかんというふうには全くわかっていない。そういう娘を授かったときに、「日本の国はこういう状態の人も、私が死んでしまってもみんなで支えてくれる、そんな日本であり続けられるのかな?」と考えたときに、弱者に福祉を手当てするという考え方だけでは、未曾有の高齢化と少子化が同時に来るような日本において、これは難しいのではないかと気づいた。1人でもたくさんの人が、国民の側から、「自分も社会を支える一人になるよ」という気概を持っていただいて初めて、私は娘を残して安心して死ねるのではないかな、と考えた。「そういう思いの人、居てはりますか!」と声を上げたら、おられた。本当にたくさんの、重い障害のある方々が応えて下さって、プロップ・ステーションの活動が始まった。最先端の、ICTの業界の皆さんも全面支援を下さって、今ではいろいろな分野の企業の皆さんや自治体などから、お仕事をやらせていただいているというような現状に至っている。
  私は、社会保障というのは国家観のあらわれであろうと思っている。「弱者」を国家が規定して、その人たちに税で手当てをしてあげたり親切にしてあげようという考え方が、日本の福祉の根幹であったかと思うけれども、私は、これからは一人の人の中にある力を、全部眠らさずに引き出して、その人が支える誇りを持っていただけるような国にすること、皆がそうして支え合うことが社会保障の一歩ではないか、と考えている。日本の国が、そういう社会保障観というか福祉観に国家観を転換できるかどうかの、今、ぎりぎりの瀬戸際に来ているのかな、と思っている。
  そういう意味で、プロップ・ステーションの中で血の滲む努力をして、社会を支える一員になってきた人たち、こういう人たちを、私自身も現場でどんどん増やしていこうとは思っているけれども、そういう思いを一人一人の国民が持てるような社会福祉の考え方というものを、ぜひ日本の国が持っていただきたいと思っている。まだまだ殆どの方が「障害者はかわいそう」と思われているかもわからないけれども、「かわいそう」と言われた瞬間に、本当にかわいそうな人になるのだと私は思う。そうではない、「あなたたちにはできることがあるからやってね」「期待しているよ」と、堂々と言える、そのような会議の結論が出ることを期待して、私もここで発言させていただく。
  最後に1つお伝えしたいことは、「障害者」というふうに呼ばれておりますけれども、先進国では「チャレンジド」という新しい言葉が使われている。マイナスの部分だけに着目するのじゃなく、その人の中にある可能性に着目する、あるいは挑戦する使命やチャンスを与えられた人、というような哲学を表している言葉である。私たちプロップ・ステーションは「チャレンジドをタックスペイヤーにできる日本」という、無謀なというか、過激なキャッチフレーズで活動しているけれども、それを実現できる新しい「社会保障観」を日本が持てるように、そして、チャレンジドも女性も高齢者も、持てる力を発揮して、少子・高齢社会を元気に乗り切りたい!そういう立場で、この会議で発言させていただきたいと思っている。プロップ・ステーションの活動はホームページで詳しくご紹介しているので是非ご覧いただきたい。(http://www.prop.or.jp

社会保障国民会議 第1回会合 議事要旨より抜粋

 

社会保障国民会議 リンク

第1回社会保障国民会議 議事要旨全文

首相官邸社会保障国民会議ホームページ

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