日本経済新聞 1998年6月23日より転載

春秋

SOHOの人気が高い。スモールオフィス・ホームオフィスの略で、パソコンを使い自宅や小さな事務所で仕事をすること。在宅のまま働けると、主婦や脱サラ組を中心に広がっている。企業がコスト削減に利用するなど問題もあるが、在宅勤務に生きる希望を託す人もいる。

大阪の非営利団体、プロップ・ステーション(竹中ナミ代表)は、6年前からSOHOに取り組んでいる。約350人の会員の3分の1は障害者。パソコンなら、手に障害があっても自由に線や絵を描ける。会員は全国に分散しているが、インターネットで新潟、浜松、山口、鹿児島の障害者が協力して、データベース開発の注文をこなす。

技術向上のため、通信網を利用したセミナーを開き、翻訳養成コースも設けている。企業や大学と協力して、障害者の在宅勤務の問題点を探る実験も行っている。問題は通信回線の利用料が高いこと、企業、障害者双方を結ぶ支援体制が不備なことなど。解決をめざして、8月には中央省庁、自治体、企業関係者も招いて国際会議を開く。

竹中さんらは障害者を挑戦すべき使命を与えられた人、「チャレンジド」と呼ぶ。「チャレンジドを納税者にできる日本――こんな日本にするためには納税できるほど稼がないとあきません。コンピューターに関しては、今なら日本人全体がチャレンジド状態。今がチャンスでっせ」。公的資金頼りの金融機関にはない積極的な発想だ。

ページの先頭へ戻る