パンニュース 令和6年8月25日より転載

チャレンジド・プログラム vol.17

コロナ前の規模で開催へ

今年度は東京・神戸・金沢が会場に

■神戸スウィーツ・コンソーシアム


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【本文】

チャレンジド・プログラム vol.17
コロナ前の規模で開催へ
今年度は東京・神戸・金沢が会場に
■神戸スウィーツ・コンソーシアム

社会福祉法人プロップ・ステーション(竹中ナミ理事長)と日清製粉(山田貴 夫社長)が主催する神戸スウィーツ・コンソーシアム(KSC)のチャレンジド・プログラムvol.17が今年もスタートし、開講式と第1回講習が7月4日に東京・日本橋小網町の日清製粉で開催された。コロナ禍の環境下では、感染防止を徹底するなか、小規模でプログラムを実施してきた。講師が作業所を訪れて指導し、その様子をオンラインで配信するなどして活動を継続しつないできた。「今年度は3年のブランクを経て、複数の作業所が参加しコロナ禍以前の規模に戻して開催。閧講式も行うことができ、喜びと希望に満ちた幕開けとなった。

KSCは、プロップ・ステーションと日清製粉が主催し、多数の企業と行政の協力のもと、「スウィーツの世界で活躍するチャレンジド(障がいのある人)を生みだそう!」というミッションを掲げ、2008年6月に発足した。一流のパティシエやブーランジェを講師に迎え、各地の作業所や施設で菓子作りに従事する精神・知的障がいのチャレンジドを対象として、プ ロの技術やレシピを教授する講習会「チャレンジド・プログラム」を実施している。


     永井紀之シェフ         伊勢英一郎常務        竹中ナミ理事長

17回目となる今年度は、永井紀之シェフ(パティス リーノリエット)を講師に第1回を東京会場で行った後、第2回を西川功晃シェフ(サ・マーシユ)が講師 を務め9月に神戸会場(日清製粉東灘工場加工技術センター)で実施。そして第3回を令和6年能登半島地震で被災した石川県の金沢会場(能崎物産金沢本社)で10月に行い、講師を永井シェフが担当する。

7月4日の開講式では、最初に主催者を代表し、親しみを込めて“ナミねえ”と呼ばれる竹中理事長があいさつ。「いろいろな人たちの支援をもらい、全国各地の作業所の皆さんが熱心に学んでくれて、17年目を迎えることができた。それぞれの回、それぞれの年度で美味しいスイーツが生まれ、参加した作業所でお客さんに届けて来た。私違にとって心が豊かになり喜び溢れるプロジェクト。3年ほどブランクがあったが、再開できたことは嬉しい。今日は最後まで素敵なとときを過ごして欲しい」と述べ、感謝と喜びを語った。

続いて、日清製粉常務取締役営業本部長の伊勢英一郎氏が、「2008年にプログラムがスタートして以来、たくさんの卒業生が巣立っていった。食べ物の世界は、お客様が食べて喜ぶ顔を見ることができ本当に良い世界だ。コロナ禍の間は少人数で行ってきたが、久しぶりに大人数で開催できる。

今年は東京で第1回、第2回は神戸で開催し、3回目を金沢で実施する。そしてプログラムの最後には閉校式を予定している。その時に皆さんの作ったお菓子を美味しく食べさせてもらう。しっかり学んでその時を迎えて欲しい」とあいさつしエールを送った。

会場には、来賓として農林水産省の横山紳事務次官、厚生労働省の大島一博事務次官、総務省の海老原諭大臣官房統括審議官も駆けつけた。

横山事務次官は、「美味しいものを食べて嫌な顔を する人はいない。プログラムを通じて甘く美味しいものを食べて皆が幸せになれる、作る人も楽しめるのならば本当に素晴らしい取り組みだ。これからも農林水産省として、関係各省と手を携えて、応援していきたい。今年は東京、神戸、金沢でも開催すると聞いた。こうしたつながりが全国に広がることを深く期待している」と取り組みに共感し、省として応援していくと述べた。

東京会場の講師を務める永井シェフは、「この取り 組みには最初の頃から参加している。私達も先輩達からたくさん教えてもらい、教わったことを下の代に教えてきた。学んだことを後進の人たちに教えることは重要だ。伝えていくことが食文化の継承にもつながる。私達の時代は厳しく教えられたので自分達も厳しく教えがちだが、今日は優しくするので安心して欲しい。少しでもアイデアや技術を学んで自分のところで生かしてもらいたい。一つの取り組みが17年続くのは大変なこと。20年、30年と 続いて欲しい」と冗談めかして受講生の緊張をほぐしながら思いを語った。

講習に移り受講生たちは。サブレ生地にキャラメルでコーティングしたナッツをのせた焼菓子「フロランタン」と、パン・ド・ジェンヌにフリュイコンフィを合わせた「プロバンサル」の2種類を学んだ。


プロバンサル(左)とフロランタン

永井シェフは、作業内容を実演して見せた後、一生懸命に作業する受講生達の間を巡り、一人ひとりの進み具合を確認しながら、丁寧に教えて廻った。

東京会場では、あすなろ学苑(神奈川県横須賀市)、多摩川あゆ工房(神奈川県川崎市)、ワークセンターれすと(東京都多摩市)の3つの作業所からサポーターを含め9人が参加した。

支援企業及び協賛企業は次の通り。

石川▽ヴァローナジャポン▽オリエンタル酵母工業▽正栄食品工業▽タカナシ販売▽月島食品工業▽ドーバー洋酒貿易▽バニラハウス▽フクシマガリレイ▽丸紅▽DM三井製糖


講師ら交え参加者一同で記念撮影

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