毎日新聞2016年3月23日 東京朝刊より転載

ひと

竹中ナミさん=財政審女性公聴会の旗振り役


竹中ナミさん=後藤由耶撮影


竹中(たけなか)ナミさん(67)

 「霞が関の姉御」とでも呼びたくなる。2001年から財務省の財政制度等審議会委員。他にも内閣府、厚生労働省、総務省、国土交通省、経済産業省……。主要省庁のあまたの審議会で活躍する。

  いわゆる学識経験者ではない。自称「不良少女」が中学3年で家出、16歳で結婚、24歳の時に重症心身障害の長女(現在43歳)を授かった。

 独学の末、障害者の可能性に着目したチャレンジドという言葉と遭遇、彼らの自立と就労促進を図る社会福祉法人「プロップ・ステーション」を発足、「チャレンジドを納税者にできる日本」を合言葉に、権限と予算を握る霞が関官僚たちと切り結んできた。

 その行動力、発信力の集積が、「姉御」のポジションを作り上げた。東大法学部出身の役人たちからは出てこないアイデアの指南役である。

 その姉御がまた一つ動き出した。1000兆円の財政赤字下、日本の優れた社会保障制度をどう持続可能にするのか。これを女性限定で本音の議論、女性の生活感覚、現場感覚から、男性中心の議論で見落としてきた視点、知恵をすくい上げようというものだ。

 財政審の同僚女性委員5人を聞き手に、400人の女性を対象にした公聴会「国の財政と未来を考える女性の集い」を開く(4月22日午後6時から東京・内幸町、イイノホールで)。霞が関最大の難題への一つのチャレンジである。<文・倉重篤郎 写真・後藤由耶>

 ■人物略歴

 神戸市出身。愛称は「ナミねぇ」。2009年に米国大使館から「勇気ある日本女性賞」受賞。超元気な関西人だ。

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