朝日新聞 2012年5月10日より転載

[ロゴ]支援通信

プロ直伝 洋菓子教室

仙台 無償で障害者に

モロゾフなど人気店、来月から

 被災他の障害者に、人気洋菓子店の職人が手ほどき。そんな講習会が6月から仙台市で始まる。プロのレシピを伝え、厳しい状況に置かれている障害者の仕事をサポートする。

 プロジェクト名は「神戸スウィーツ・コンソーシアム・ in 仙台」。障害者の就労を支援している社会福祉法人「プロップ・ステーション」(神戸市)と、日清製粉(東京)が主催し、6月から11月まで月に1回開く。

[写真]くるみの木でお菓子を作る渡辺亮太さん。講習会に期待を寄せている=仙台市青葉区

 全国に約1干店を展開する洋菓子店「モロゾフ」(神戸市)や、フランス菓子「ノリエット」(東京都世田谷区)など人気店の職人が無償で講師を務める。材料や調理器具は日清製粉のほか約10社が提供する。

 知的、精神障害の人が対象で、お菓子づくりをしている宮城県内の6事業所から計13人が参加する。2008年以降、東京や神戸でも講習を開き、タルトやスコーン、フィナンシェなどのレシピを伝授してきた。

 知的障害者の事業所「まどか荒浜」(仙台市太白区)は、和菓子や蒸しパンを作る工場が津波で全壊。工場を新設して再出発を図っており、2人が参加する。施設長の中村正利さん(78)は「高付加価値の商品づくりを目指す。一流の職人に教えてもらえるまたとない機会」と期待する。

 約100種のパンを作る知的障害者の事業所「くるみの木」(仙台市青葉区)は大きな被害を免れたが、月の賃金は最高でも1人2万円に満たない。パンの原材料を量る仕事などを任されている渡辺亮太さん(22)は「ケーキ作りにチャレンジしたい」とやる気満々だ。

 プロップ・ステーションの竹中ナミ理事長は「誇りを持って働ける環境づくりをしたい」と話す。

(高橋健次郎)

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