月刊ニューメディア 2012年2月号より転載

チャレンジド

神戸スウィーツ・コンソーシアム
4回目の修了式・成果発表会を開催


修了証書を手にした受講生たち


最も優れた成果発表した修了生に野田首相が揮毫した書が贈られた

プロのパティシエを目指すチャレンジド(障がい者)に対し、超一流のパティシエが自ら極めた技を伝える講習を実施してきた神戸スウィーツ・コンソーシアム(KSC)が、2011年12月に4回目となる修了式・成果発表会を神戸市内のホテルで開催した。

「チャレンジド・プログラム Vol.4」は、前年に取り組み始めた光ネットワークによる遠隔実技講習のスタイルを大きく前進させた。開催会場となった神戸、名古屋、岡山の3ヵ所を結んだ遠隔講義方式による実技講習は、チャレンジドたちの学習でも「確かな手応えと実習の成果を得られた」と主任講師の八木淳司氏は振り返る。

開催に協力する日清製粉は、これまで日本のスウィーツ市場で要望の強かった製品を、このKSCを通じて開発し、製品化したという。「近年、ヨーロッパで修行を積むパティシエが増えていることに伴い、焼き菓子やコンフィズリーなど洋菓子を日本でも販売するケースが増えています。求められる品質も、日本人の好みに合わせるだけでなく、本場の品質を取り入れたいというニーズが高まっていることから、フランス産小麦100%を使用し、ヨーロッパ品質の焼き菓子用に特化した小麦粉を新発売しました」と日清製粉は話す。商品名は「エクリチュール」。主催する社会福祉法人プロップ・ステーションの竹中ナミ理事長は、「KSCで指導するパティシエたちが日清製粉さんと意見交換してまとめ上げた製品の誕生はプロジェクトの一つの成果」と話し、喜ぶ。

来年度の計画について竹中理事長は、「東日本大震災で甚大な被害となった東北地方の復興へ向け、微力ながら支援の一助を担うべく、仙台市内に『チャレンジド・プログラム』の会場を置き、東北地方の作業所・施設でおかしやパン制作に携わるチャレンジドを対象に開催」という計画を発表した。

また、チャレンジド・プログラムを終了したチャレンジドの中で、商品作りに励む人を対象に、KSC講師が経営する店舗内に販売コーナーを設けて直販する試みに取り組むことも発表になった。来年度の成果に注目したい。

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