禅信 2011年4月1日号より

与謝野町

慈徳院「もみじ祭」

 

第七部
慈徳院「もみじ祭」

  昨年、七部寺院が集まる加悦谷では山々の紅葉が大変美しく、住民の目をとても楽しませてくれました。

  そんな加悦谷の慈徳院様で十一月十四日、「もみじ祭」が開催されました。

写真:ナミねぇBANDの演奏風景

 「紅葉と共に檀家さんや色々な方々の交流、憩いの寺となる事」を願って、ご住職 松尾玄幸師が、檀家様の協力を得て五年の歳月をかけ実現した行事です。

 ご住職が入寺された当初よりあった約二百本のもみじに加えて、五年前から山の手入れともみじの植樹をつづけられた計約四百本のもみじが、ライトアップされてお参りの方を出迎え、あちらこちらで歓声があがっていました。

 檀家様、地元の方、ご住職夫妻のご友人方による、お抹茶やぜんざい、手打ち蕎麦のコーナー、また、FMたんごのDJなどで活躍されているマスク・ザ・ピーナッツさんによるエアプロレスのショーと司会、ボーカルが檀家様でもある、ナミねえBANDによる奉納ライブコンサートなども催され、集まった約四百人のお参りの方は本当に楽しそうに過ごされていました。

 この催しでとても感銘を受けたのが、奉納ライブをしてくださった、ナミねえこと竹中ナミさんです。竹中ナミさんは重症心身障害児の娘さんを授かったのを縁に独学で障害者福祉・障害児医療を学び、障害者の自立と社会参加のための社会福祉法人「プロップ・ステーション」を神戸に発足させ、パソコンを使った障害者の就労の道筋をつける運動を二十年間にわたって続けてこられた人です。

  この奉納ライブで竹中ナミさんに「チャレンジド」という言葉を教えてもらいました。

 「チャレンジド」というのは「障害を持つ人」を表す新しい米語です。「神から挑戦という使命や課題、あるいはチャンスを与えられた人々」という意味が込められているそうです。障害をマイナスとの
み捉えるのではなく、障害を持つゆえに体験する様々な事象を自分自身のために、あるいは社会のためにポジティブに生かして行こう、「チャレンジド」の就労と自己実現をささえることで、そのときに生
み出される知恵が、すべての人が誇りを持って生きていける日本を作っていくと、竹中ナミさんは語っていました。

 その前向きな生き方と、「娘の機嫌が悪くなると歌謡曲を唄ってあげていた。歌で気持ちが安らぐみたい。音楽って言葉以上にすごいパワーがある」と語る元気な歌声が、慈徳院様の彩るもみじのなか
でドキドキと胸に迫る奉納ライブでした。

(教化推進委員 中島晃昭)

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