毎日新聞 2011年2月17日より転載
時代を駆ける
菓子作りのプロも養成
竹中ナミ [7]
たけなか・なみ 社会福祉法人理事長。62歳(写真は米国大使館で「勇気ある日本女性賞」を受賞、臨時代理大使<右>が祝福=竹中さん<中央>提供)
旧労働省の委員として米国で国際会議を視察した99年、「チャレンジド(障害者)のテレワーク」という分科会の講師だったダイナー・コーエンさんと出会ったんです。国防総省コンピューター電子調整プログラム(CAP)の理事長。
なぜチャレンジド支援を国防総省が? 「全ての国民が誇りを持って生きられるようにすることが国防の第一歩でしょ」との彼女の言葉に共感できました。
《コーエンさんとは今も交流が続いている》
「チャレンジドを納税者にできる日本」を掲げるプロップ・ステーションとCAPは活動の根っこが同じ。だから、日本で開いた国際会議で彼女に何度も講演してもらいました。「日本のナミねぇはカウンターパート(対等の相手)」と、今も情報を提供してくれます。
《東京の米大使館から09年、初の「勇気ある日本女性賞」を贈られた》
私がアメリカの良心やと感じたCAPと組んでやってきたことを評価してくれた。改めて、プロップの考え方を日本中に広めたいと強く思ったんです。「自信持ってやりや」と背中を押してくれた賞でした。
《IT以外にも活動の幅が広がってきた》
チャレンジドの潜在的な力を引き出すものなら何でもやりたい。08年から、お菓子作りのプロを養成するプロジェクト「神戸スウィーツ・コンソーシアム」を始めました。講演先で日清製粉の社員の方が「何か一緒にやれないか」と声を掛けてくれたのがきっかけです。神戸はスイーツの聖地やし、それでいこうと。
《多くの人たちが協力してくれた》
統括講師は洋菓子店「モロゾフ」テクニカルディレクターの八木淳司さん。息子さんが養護学校に通われていて、自分ができる社会的活動はないかと思っていたそうです。「これは自分がすべきこと」とボランティアで引き受けてくれました。
神戸にある日清製粉の工場の調理場を無償で借り、社員総出で手伝ってくれています。バターやミルクなどのメーカーも無償で材料を提供してくれます。おかげでこれまでに30人以上が修了し、今後の活躍が楽しみです。
聞き手・近藤諭/火〜土曜日掲載です
2011・2・17