NEW MEDIA 2009年2月号より転載

スウィーツの聖地・神戸で始まった

お菓子作りを通した
チャレンジドの
就労支援プロジェクト

修了式と成果発表会を開催

社会福祉法人プロップ・ステーション(本部・神戸市)が、IT講習を中心にしてきたチャレンジド就労支援のプログラムに、お菓子作りのパティシエ養成を加える「神戸スウィーツ・コンソーシアム」チャレンジド・プログラムVol.1が12月7日に修了式を迎えた。成果発表会と併せ、神戸の老舗ベーカリーである「フロインドリーブ」カフェで行った。


受講者一人ひとりへのメッセージをケーキにデコレートした八木講師オリジナルの修了書を前に関係者一同で「やったね!」

社会福祉法人プロップ・ステーション(本部・神戸市)が、IT講習を中心にしてきたチャレンジド就労支援のプログラムに、お菓子作りのパティシエ養成を加える「神戸スウィーツ・コンソーシアム」チャレンジド・プログラムVol.1が12月7日に修了式を迎えた。成果発表会と併せ、神戸の老舗ベーカリーである「フロインドリーブ」カフェで行った。

 神戸にはメリケン波止場と呼ぶ埠頭がある(現在は阪神・淡路大震災の被災を伝えるメリケンパークとなっている)。関西では小麦粉のことを「メリケン粉」と呼ぶが、同じ「メリケン」だ。これは「America」の聞き取りから付いたもので、波止場のすぐ傍にアメリカ領事館があったことからだという。メリケン波止場から上陸したメリケン粉を使ったお菓子が、神戸の街を一層異国情緒が包んだのは確かなこと。

 スウィーツの聖地・神戸で、パティシエを目指すチャレンジド8名が6月28日から4回にわたって講習を受け、修了と成果をみんなで味わう会が12月7日に開催された。

 講師を務めたモロゾフ(株)の八木淳司テクニカルディレクターは、外国人初のオーストリア政府公認「製菓マイスター」の称号を持つ著名パティシエ。助手には、今年パリで開催されるパンのW杯代表のコム・シノワのシェフ西川功晃氏と、業界で高い信頼のあるベーカリーコンサルタントの藤石英之氏という錚々たる講師陣。そこには「超一流な方こそチャレンジドの学習には大事」というプロップ・ステーションの竹中ナミ理事長の考えがある。


八木講師から一人ずつの修了書が手渡された。「がんばったね」

 講師の八木氏は「チャレンジドの方に教えるのは初めてのことで、私自身も一年生でした。受講生の熱意と真剣さが支えとなりました」と述べ、「これからも皆さんの良き相談相手となり、私自身の新しいスタートにしたい」と、受講生や関係者に話しかけた。受講生代表からは「正直つらいこともあったが、やって良かったと思っています」と率直な心情のあいさつがあったが、互いのチャレンジが修了を迎えさせたのである。

 主催したプロップ・ステーションの竹中ナミ理事長は、「障害があるからと、その人の能力を眠らせるのはもったいない。社会へ引き出し、役立たせること、これが本当の福祉やと思う」という考えを述べ、「全国へプロジェクトを展開したい。その一歩として、2009年に東京で開催すべく準備に入った」と、次の計画を披露した。

 修了式を終え、参加者全員で受講生たちの丹精込めたスウィーツを味わった。「厳しく楽しい学びから、こんなに甘くておいしいスウィーツが生まれた」。
(レポート:吉井 勇・本誌編集長)


受講生の成果を味わう


「志を持って社会に広めてください」と受講生を握手で激励する矢田達郎神戸市長

ページの先頭へ戻る