ベーカーズタイムス 7月10日より転載

神戸スウィーツ・コンソーシアム パティシエ養成スクール開講

『チャレンジド・プログラム Vol.1』
第1回講習会を開催
講師はモロゾフ八木淳司氏

 社会福祉法人プロップ・ステーション(竹中ナミ理事長)は、(株)日東商事、日清製粉(株)ほか多数の企業、並びに兵庫県、神戸市、神戸商工会議所の協力で、神戸スウィーツ・コンソーシアムを発足した。同プログラムは、プロパティシエの技術を習得し、スウィーツの世界で活躍する「チャレンジド」の養成支援を目的としている。

 チャレンジドとは、挑戦する使命を与えられた人のことで、米国などでは、障害者に対する新しい呼称として用いられている。

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八木淳司氏の写真
講師の八木淳司氏

竹中ナミ氏の写真
竹中ナミ氏

 神戸スウィーツ・コンソーシアムは6月28日、日清製粉(株)東灘工場加工センターで、チャレンジドを対象としたパティシエ養成スクールの開講式を執り行い、「チャレンジド・プログラムVol.1」第1回講習会を開催した。

 講師は、オーストリア政府公認菓子マイスターでモロゾフ(株)テクニカル・ディレクターの八木淳司氏。当日は、フィナンシェの実技講習とハイデルベア シュテュルーデルのデモンストレーションを行った。

 同プログラムは、受講生8人で、12月6日まで計5回の講習が予定されている。

 開講式では、社会福祉法人プロップ・ステーション理事長で神戸スウィーツ・コンソーシアム代表の竹中ナミ氏が次のように発足の経緯と活動の目的を述べた。

 「プロップ・ステーションで、障害のある人達が、その人の持っている力を発揮し、社会で活躍してもらえるような活動を17年間行い、ようやく『神戸スウィーツ・コンソーシアム』というすばらしい企画を、たくさんの人の協力で実現することができました。

 私自身、重症心身障害者の子を持つ母です。障害を持っていることは、恥ずかしいことでも、悲しいことでもありません。障害を持つ人でも、新しい生き方ができることを、多くの人に伝えていきたいと考えています。

 活動を始めた頃は、異端扱いをされましたが、現在では、障害があっても『堂々と生きていこう、やれることをやろう、何でもやれる、きっとやれる』という空気が少しずつ広がり、それを応援してくれる人たちも増えてきています。このプログラムは、1回限りではなく、今後も多くの人がプロになれるように続けていきたいと思っています。

 講師の八木さんの御子息も知的ハンディを持たれていて、この講習は、ぜひ、私が講師をしたいと、申し出ていただきました」

 また、(株)日東商会代表取締役の川口淳太郎氏が「弊社が昨年、60周年記念行事を行った時『食の未来を考えよう』というプロジェクトの中で、障害者の作業所に対して当たり前のサービスとフォローをしたことが、神戸スウィーツ・コンソーシアム参画の原点です。スイーツの聖地神戸、製菓・製パンの街として、このような活動を積極的に行わなければいけないと思っています。私たち業界人は、こぞって参加し、協力させていただいているという気持ちで挑んでいます」と挨拶し、日清製粉(株)常務取締役の戎民幸氏も同プログラムへの参画の意義を次のように強調した。

 「日清製粉は、1年前の構想段階から参画してきました。メーカーと卸売業、行政という業種、業容を超えたメンバーがパートナーシップを組んだ全く新しい試みです。それぞれの道のプロが結集して、お互いの技術と知見を出し合うことで、神戸スウィーツ・コンソーシアムは必ず成功すると確信しています。このプログラムを通じて、ひとりでも多くのチャレンジドが、プロスウィーツの世界で羽ばたいてもらえるよう、皆様の夢の実現に向かって、全力で取り組みます」
  その後、兵庫県健康福祉部障害福祉局局長の山本嘉彦氏と神戸市保健福祉局局長の桜井誠一氏が祝辞を述べた。

 続いて行われた講習では、先ず、講師の八木淳司氏が講習内容と受講の心得を述べ、当時のサポーターである、コム・シノワ西川功晃シェフとベーカリーコンサルタントの藤石英之氏が紹介された。

 以下は、当日のレシピ。

◆フィナンシェ
【配合(g)】
卵白(キューピー冷凍卵白)・・・・・・・・・・・・・・・・・200
薄力粉(日清製粉バイオレット)・・・・・・・・・・・・・・・・80
粉糖(三井製糖)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・200
アーモンドパウダー(スペイン産)・・・・・・・・・・・・・・・80
無塩バター(タカナシ乳業)・・・・・・・・・・・・・・・・・120

【作り方】
(1) バターを湯煎で溶かす (2) 薄力粉、粉糖、アーモンドパウダーを篩いにかけて混ぜ合わせる (3) 卵白をボールに入れ、ポイッパーでコシを切る (4) 2に3を加え、よく混ぜ合わせる (5) 4に1を少しずつ加え混ぜ合わせる (6) 5を型に流して、上火200℃、下火200℃で15分焼成する


講師を囲み真剣に講習を受ける受講者たち


受講者が焼き上げたフィナンシェ

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