週刊東洋経済 2月9日号より転載
日本の働く女性ファイル
「このままではあかんのとちゃいますか」
女性の政治経済参画度で世界54位と評されるニッポン。しかし、地方政治、学術、文化など幅広い分野で多くの女性リーダーが活躍しているのも事実だ。華麗に壁を乗り越えてきた7人の横顔。
「このままではあかんのとちゃいますか」
プロップステーション理事長
竹中ナミ
「チャレンジド(障害を持つ人)を納税者に」−−これが神戸市に本拠を置く社会福祉法人プロップステーションのキャッチフレーズ。パソコンやネットを活用することで、多くの障害者に就労の機会を作ってきた。「福祉政策と称して弱者を社会から隔離してしまうのがこれまでの政治。でも、少子高齢化が進んでいく中でそんなことでええんですか。多くの人の力を引き出せる国にしないと日本はあかんのとちゃいますか。こんな思いで、ずっとやってきてプロップも17年になります」
1月29日に初会合を開いた首相直轄の「社会保障国民会議」のメンバーにも選ばれた。「すべての人が持てる力を発揮できるようにする『ユニバーサル基本法』を形にできるかどうか、今年が正念場だと思っています」。最後に、重い障害を持つ娘のことを語ってくれた。「彼女は私のことを誰だかわからない。一生赤ちゃんです。でも彼女が今の私を育ててくれた」−−。59歳とは思えない若々しさで、今の日本を変える仕事に取り組んでいる。