毎日新聞 12月25日より転載

地域と大学交流促進

眠る力呼び覚ませ

ICTが切り拓く障害者(チャレンジド)の未来

竹中ナミ 社会福祉法人プロップ・ステーション理事長

 高校時代にラグビーで首を骨折し全身がほとんど動かなくなった男性が、大学院まで進み、経営者としても成功した。彼を支えたのは、家族や友人の愛情、そして、ICT(情報コミュニケーション技術)だった。コンピューターを使うことにより、障害者が才能を開花させ、納税者にもなるという道を示した。プロップ・ステーションのプロップは、男性のラグビーのポジション。支え合うという意味もある。

 ICTによる障害者の自立を模索してきた。活動を始めた91年当時、パソコンは極めて高価だったが、コンピューター関連会社と交渉し支援を取り付けた。いま、障害者の可能性がICTによって大きく花開きつつある。わずかに動く指先、まばたきする目の動きが、素晴らしい絵本を生み、採算のとれるビジネスソフトを完成させ健常者と変わらない仕事を実現している。

 私たちは障害者を「チャレンジド」(挑戦する人)と呼ぶ。パソコンをチャレンジドに学んでもらい、チャレンジドの中に眠る力を呼び覚ましていきたい。

 


パソコンを使った障害者の自立支援について話す竹中ナミさん=甲南大学で8日、岩嶋悟撮影

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