読売新聞 11月21日より転載

障害超えパティシエに 
一流の技、秘伝レシピ伝授

製粉大手など十数社協力

神戸で来春 講習会スタート

スイーツの街・神戸から障害者のパティシエ(菓子職人)を育てようと、神戸市の社会福祉法人「プロップ・ステーション」(竹中ナミ理事長)は、製菓業界の協力を受けて障害者らの就業を支援する共同企画「神戸スウィーツ・コンソーシアム」を、来年4月から始める。全国初の試みで、同法人は、パティシエが一流の技や秘伝のレシピを指導する講習会の開催や、開業支援などに取組む。

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クッキーを焼きながら、パティシエを目指す障害者ら(神戸光の村授産学園で)

プロップ・ステーションは1991年から、米国で浸透している障害者の呼称「チャレンジド(挑戦する機会を与えられた人)」を用い、「チャレンジドを納税者にできる日本に」を合言葉に活動している。国内洋菓子発祥の地といわれる神戸で、「神戸スイーツ」のブランドイメージを生かしながら、障害者の挑戦の機会を広げようと企画した。

製菓・製パン原材料卸売会社「日東商会」(大阪府東大阪市)と製粉大手「日清製粉」(東京都)が協力。ほかに、関連企業十数社や市内外で活躍する有名パティシエらからも内諾を得ているといい、プロップ・ステーションは同コンソーシアムの運営事務局として調整役を担う。

講習会では、有名パティシエが自慢のレシピを披露するほか、技術を身につけた障害者に経営ノウハウを教え、開業などを援助する。関連イベントも計画し、神戸のスイーツ業界や街の活性化も図っていく。

授産施設「神戸光の村授産学園」(神戸市北区)でクッキー作りなどにいそしみ、パティシエを目指す貴島英美子さん(22歳)は「子どものころから夢見ていたので、ぜひコンソーシアムに参加して、プロになりたい」と意気込んでいる。

竹中理事長は「チャリティーでなく、本当においしい商品を作り、消費者に購入してもらうことが障害者の自立につながる。チャレンジドが一流の技術を学ぶ貴重な機会になれば」と期待している。問い合わせはプロップ・ステーション(078・845・2263)

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