毎日新聞 11月9日より転載

社福法人と企業

障害者のパティシエ養成

神戸 開業支援プロジェクト発足

 スイーツの世界で活躍する障害者を育てよう−−。パティシエ(菓子職人)を目指す障害者などを支援する社会福祉法人や製菓関連企業の共同プロジェクト「神戸スイーツ・コンソーシアム」が8日、発足した。来年4月から講習会や開業支援などの事業を始める。

 障害者の自立や社会参加を目指す社会福祉法人「プロップ・ステーション」(神戸市、竹中ナミ理事長)の呼びかけに、製菓・製パン原材料卸会社「日東商会」(東大阪市)と製粉会社「日清製粉」(東京都)が協力し、神戸市が後援した。

 プロップ・ステーションでは、障害者を挑戦への使命やチャンスを与えられた人「チャレンジド」と表現し、就労を進める活動を91年から続けており、今回のプロジェクトはその一環。同法人が運営事務局を務める。

 竹中理事長は今までの活動から「技術を身につけるには、一流の人から習わなければならない」と痛感していた。しかし、障害者が一流の人から技術指導を受ける機会はほとんどないのが実情だった。「日本のスイーツの聖地とされる神戸ではそれができる」と呼びかけたという。

 プロジェクトでは定期講習会を開いたり、一流のパティシエがレシピを伝えるなど、意欲を持つ障害者に技術を提供する。また、障害者の雇用や開業もノウハウを提供して支援する。

 この日は、プロジェクトの発表とともに、フランス国家最高職人(MOF)のイブ・チュリエスさんの講演・講習会を開催。約20人の障害者や作業所リーダーらが、全国のパティシエに交じって受講した。

 竹中理事長は「チャレンジドの力を神戸の街を活性化につなげていきたい」と話した。問い合わせは同法人(078・845・2263)へ。

【山田泰蔵】

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