毎日新聞 2006年11月10日より転載

ニュース:スペシャル

アクセシブル&クリエイティブなサイトを表彰

アックゼロヨン・アワード2006

地方自治体の受賞も多数

「アックゼロヨン・アワード2006」の表彰式が10月31日、国際フォーラムにおいて行われた。これは、アクセシブル&クリエイティビティを兼ね備えたウェブサイトを選出、表彰するイベントで、2005年に続く第2回となる。

デザインの優秀度も審査対象に

2004年のWebJISの公示に合わせて行われた2005年のアワードでは、どちらかというと福祉的要素が強かったが、今回はアクセシビリティに加えてクリエイティビティ、すなわちデザイン的にも優れていることが、審査対象の条件として加えられている。

審査はウェブサイト制作やアクセシビリティ策定、クリエイティビティなど各業界の第一人者である10人の審査員によって行われ、6つの大臣賞の他3つの特別賞、4つの最優秀部門賞、そしてグランプリおよび内閣総理大臣賞が選出され、表彰を受けた。

「人にやさしいサイト」を生み出した生徒達

ここで受賞したサイトのうちのいくつかをご紹介する。まずチャレンジド賞として横浜市立盲学校のウェブサイトが選出されている。これは盲学校の生徒と日本電子専門学校の学生による制作プロジェクトであり、いわゆる制作を営利目的としているサイトではない。しかし生徒達の障碍者からの生の声と学生達の熱意が、効果的に「人にやさしいサイト」を生み出したパワーに繋がったといえよう。「チャレンジド」とは、障碍者を指す新しい英語とのことだ。

個人のアフィリエイトサイトも受賞

経済産業大臣賞を受賞した「COLORs catalog(カラログ)」も印象的であった。今回入賞サイトとして選出されている賞はほとんどが企業・公的機関のものであったが、このウェブサイトを作成したのは個人であり、アフィリエイトサイトということだった。商品を色分けして分類したコンセプトがデザイン的にも優れているところが審査員の心を掴んだとのことだった。


グランプリを獲得したのはみずほ証券。
麻生外務大臣、冬柴国土交通大臣、柳澤厚生労働大臣が囲む。

最後にグランプリを獲得したみずほ証券。企業サイトとして情報分類の精度やシンプルなデザイン性もさることながら、アクセシブルなものとして評価が高かったものに文字のサイズ変更があげられた。文字のサイズ変更を行うと、ページごと拡大化されてレイアウトが保持されるという方法がアワードの主旨に見事にマッチしたものといえる。

全体的に東京や大阪などの大都市圏に特化せず地方自治体の受賞も多かったこと、デザイン的にもとてもクオリティの高いウェブサイトが集結したという印象を受けた。ウェブ制作の一つの指針となるこのアワードに今後も期待したい。

(パブリック・ジャーナリスト=中野利佳)

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