神戸新聞 2006年4月19日より転載

腐敗を問う 市議逮捕

本会議、28日に開会

市会運営委理事会が確認 要綱改正経緯を調査

神戸市会運営委員会の事前協議の場となる理事会が18日開かれ、各会派が28日に市会本会議を開会する方針を確認した。村岡功容疑者(68歳)の逮捕容疑となった要綱改正の経緯などを調査する特別委の名称は「神戸市会政治倫理確立委員会」と内定。20日の市会運営委で正式決定する。

村岡容疑者の逮捕後、初めての本会議で、矢田立郎市長があらためて事件の経緯などを述べ、各会派が当局に質問する。

本会議終了後、1回目の政治倫理確立委を開き、正副委員長を選出。同特別委の審議は、容疑となった要綱改正の経過と政治倫理の確立に絞るとされていたが、報道されている市資源リサイクルセンターをめぐる疑惑などについての陳情や請願も予想されるため、審議に含めることになった。5月2日の2回目から実質審議が始まる。

村岡容疑者の拘置期限は25日。代表者会議で、起訴までは辞職勧告決議案を提出しないと確認していたが、ある与党市議は「自ら辞職してくれれば態度を明確にしなくて済むとの思いもあった」と明かす。

決議案は、長年のボス議員と決別する「踏み絵」ともなるだけに、全員一致の採択となるか注目される。

語る
癒着の背景

政策提言会議メンバー 竹中 ナミさん(57歳)

村岡容疑者を選んだのは誰か

市民が与えた権限を特定利益のために使う人は議員の資格はない、とまずはっきり申し上げたい。市当局を「圧力に屈した」と責めるのは簡単だが、一番悪いのは逮捕された村岡功容疑者本人の政治姿勢であり、その人を選んだのは誰なのか、を忘れてはいけない。

日本の政治家と役人の関係は、国も地方も共通のシステムで成り立っている。与党か野党か、当選回数や役職に応じて、このクラスの政治家にはこう対応するという不文律があり、答弁の深さや資料の量も全部違う。村岡容疑者のように議長経験者で、与党会派の実力者に対しては、背景にそれだけ多くの支持者がいるんだから、他の議員の何倍も尊重しなければならない、という発想になってしまう。もちろん特定の議員の言動が尊重されるような旧来のシステムは改めなければならないが、選んだ人も深く反省し、新たな投票運動を起こしてもらいたい。

それができないから、どの自治体でも議会が聖域になり、同じことが繰り返される。大阪市の市政改革本部でも委員に市議の不正を暴く内部告発がたくさん届くが、その調査にストップをかける力が必ず働いて追及しきれない。市民はいろんなことを言うが、出直し市長選の投票率は低かった。

神戸の事件も氷山の一角にすぎないと思う。むしろ、表面化したことをチャンスに転じ、不正を起こさない新しい神戸になるために、それぞれの立場で努力しないといかんのです。

議員は何のために議員になったのかを自覚し、市民は私利私欲に走る議員を二度と選ばない。市役所はまず情報公開です。自分たちの仕事のやり方や疲弊したシステムを見直す意味でも、「口利き」を記録し、庁内の情報を共有して不正を阻止できる仕組みを持ってほしい。外部委員によるコンプライアンス委員会も第一歩。市長には、不当な働きかけに「それはおかしい」と毅然(きぜん)と言える姿勢を求めたい。

プロフィル
社会福祉法人プロップ・ステーション理事長。神戸市の政策提言会議メンバー、大阪市市政改革本部員などを務める。
【取材メモ】
選挙で選ばれた議員は、市民の代表として皆、同じ重みがある。しかし一度議会を傍聴すれば、議員によって市の答弁の質が明らかに違うと分かるだろう。逮捕された村岡功容疑者は20年近く本会議などの公の場で質問にも立っていない。何を基準に一票を託すか、その結果にどう責任を持つか。有権者の良識も問われる。 (直)

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