毎日新聞 2006年4月7日より転載
神戸をユニバーサルな街に
竹中 ナミ
はじめまして、ナミねぇです。周りで私ことを竹中さんと呼ぶ人はまずいないので、ここでもナミねぇで通させていただきます。
神戸っ子であることが自慢の私の願いは、神戸を「世界一ユニバーサルな街」にすることです。
15年前から、パソコンやインターネットなどのlTを駆使して、重い障害のある人が社会と繋がり、コミュ二ケーションをとり、自分の「できること」を「仕事」として発信する活動を続けて来ました。
それは「障害者が可哀想だから」ということではなく、「障害のある人が、自分の中にある可能性を発揮できる社会は、すべての人の可能性を引き出すことのできる社会に繋がる」と信じているからです。「すべての人が、待てる力を発揮し支え合う社会」のことを「ユニバーサル社会」と言うんやけど、神戸の街が、そのけん引力なってほしい!と願ってます。
「ユニバーサル社会」は、単にバリアフリーであるだけでなく、「そこであなたが活躍できる」「尊重される」「責任を持って何かをなすことができる」という社会です。障害があるから支えられる人、無いから支える人、という図式ではなく、どんな人も「身の丈にあった形で支え手になれる」ことが重要です。
私は団塊の世代で「日本の非行少女のハシリ」と表されるくらいのワルやったんですが、重症心身障害の娘を33年前に授かって「人間は一人ひとりこんなにも違う」「違って当たり前」と気付いたことがプロップ・ステーションの活動に繋がりました。
つまり娘が33年かけて私を育てたわけやね。だから娘のことを「私を支えてきた凄いヤツ!」と親バカのナミねぇは日々思っているのです。
(社会福祉法人プロップ・ステーション理事長)
- たけなか・なみ
- 1948年神戸生まれ。長女の療育を契機に、障害者の自立と社会参加を目指して91年に西宮市でプロップ・ステーションを設立。98年に社会福祉法人格を取得し、本部を神戸市に移す。ユニバーサル社会づくりひょうご推進会議委員。