moe〜laki(モエラキ) 2002 Vol.18 8月20日号 より転載

【クローズアップ インタビュー】

竹中ナミさん

『Challenged(障害を持つ人々)を納税者にできる日本』をコンセプトに、ITを活用してチャレンジドの自立と社会参画、就労支援を行っている社会福祉法人プロップ・ステーション理事長竹中ナミさんにお話を伺いました。

Nami Takenaka
社会福祉法人 プロップステーション理事長

神戸市生まれ。長女が重症心身障害児だったことがきっかけで、福祉活動に目覚める。 1992年、チャレンジド(障害者)の自立と社会参画を支援するため、仲間と共に「プロップ・ステーション」を設立。その後チャレンジドと社会を結ぶ橋渡しに尽力。産・官・政・学・民を問わず、幅広い注目と支持を集める。98年社会福祉法人化。理事長となる。

技術を磨き、働く意欲のあるチャレンジドの存在を多くの方々に知っていただき、彼らの活躍の場が少しでも広がっていくことを願っています。

ボランティアも随時募集しています
社会福祉法人プロップ・ステーション
〒658-0032兵庫県神戸市東灘区向洋町中6-9
TEL 078-845-2263
http://www.prop.or.jp/

重症心身障害を持った娘さんの誕生をきっかけに、福祉の世界に入られたということですが。

竹中

私の娘は障害が重く、生まれたばかりの頃は、ミルクさえもうまく飲み込めない状態で、お医者さんから「長くは生きられない」と言われたきたのです。しかし、絶対そんなことはないと思って、娘が20歳になるまで、ずっとつきっきりで育ててきました。その頃の平均睡眠時間は2〜3時間。どこへ行くにも何をやるにも娘と一緒でしたね。

そんな風にして、少しずつ福祉について勉強するようになり、仲間を増やしていったんです。私って、楽天家なもので、人からいろいろ言われても、全然めげないんですね。周囲からは、「鉄の心臓を持つ女」と言われています。(笑)

現在、娘は29歳。より安定した環境が必要となったため、兵庫県内の国立療養所で生活しています。

プロップ・ステーションという名前の意味は? どのような活動をされているのですか?

竹中

プロップ・ステーションの「プロップ」とは、「支柱」「つっかえ棒」の意味です。IT(情報技術)の活用によって、これまで「支えられる側」として位置づけられてきたチャレンジドたちの可能性を引き出し、「支える側」になることを目指そう、という願いを込めてつくったのです。

ここでは、IT技術を学ぶためのセミナーを常時行っていまして、チャレンジドたちにパソコン技術を学んでいただいています。そして、技術習得できたチャレンジドには、就労もできるシステムをつくっています。現在全国で約70名の方が、在宅ワーカーとして活躍しています。

チャレンジドに限らず、誰しもが自分の力を発揮できる社会をつくれば、それだけ日本は豊かになります。そういった観点から、地域住民や高齢者の方などにも、セミナー参加していただいています。

チャレンジドたちの新しい生き方を提案していくために、すでに就労している方や企業・学識経験者など多数の方々が参加、活発な意見交換が行われる「チャレンジド・ジャパン・フォーラム」も今年で8回目を迎えるそうですね。

竹中

今年のCJFは、8月27日(火)・28日(水)岩手県の盛岡市で行います。かねてからプロップが提唱している活動について共感してくださる産・官・政・学・民、また、海外からのゲストにもお集まりいただき、ユニバーサル社会の形成についてのミッションを行います。

このフォーラムでは毎年、各ジャンルで活動されている方の意見を伺ったり、地元で就労しているチャレンジドたちの活動状況を紹介したりしていますが、今回特徴的なのは、各地の知事に参加していただき、「地域から日本を変える」テーマに語り合っていただくことです。自治体の政策に反映していただくことを願っています。

CJFは、障害者問題を考えるということを超えて、より多くの人々が自分の力を発揮していける世の中にしていくために、どのようなシステムをつくればいいか、ということを考えていくフォーラムですので、一人でも多くの方にご参加いただきたいと思っています。(フォーラムについては当日参加も可能ですが、宿泊施設については各自チェックをお願いします。フォーラムについての詳細は、プロップ・ステーションのHPをご覧下さい)

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