公明新聞 2002年5月29日 より転載

【ヤング ホームページ】ユニバーサルな社会めざして

だれもが快適に暮らせる街へ

NPOプロップ・ステーションと神戸市のフォーラムから

IT(情報技術)を活用して、世界一ユニバーサルな街を目指そうと、神戸市とNPOのプロップ・ステーションが5月12日、神戸市内で、「Let's ユニバーサル・シティ KOBEフォーラム 2002」を開催しました。これには、公明党の浜四津敏子代表代行も出席し、日本版ADA制定への意欲などを語りました。各地の今後の取り組みに役立てるため、フォーラム出席者の発言要旨を紹介します。


NPOプロップ・ステーションと神戸市のフォーラム(12日 神戸市内)

すべての人には発揮すべき素晴らしい力が備わっている

プロップ・ステーション理事長・竹中ナミ

「ユニバーサル」とは、すべての人が、自らの持てる力を発揮して、支え合うという意味です。だれかがだれかを一方的に支えるのではなく、すべての人の中に素晴らしい力があるのですから、皆がそれぞれの力を発揮して、支え合っていく。神戸を世界一のそういう街にしようというのが、今回のフォーラムのコンセプトです。

また、「チャレンジド」とは、障害を持つ人のことです。“神から挑戦という使命やチャンスを与えられた人”という意味の米国の言葉で、すべての人の中に、課題に向き合う力が備わっていて、その課題が大きい人には、それだけの力が与えられているという非常にポジティブな言葉です。

プロップ・ステーションでは、多くのメンバーが「障害者ではなく、チャレンジドであろう」と、コンピューターを学びながら、社会につながり、仕事をしているのです。

あらゆる差別のない社会へ日本版ADAの制定めざす

公明党代表代行・浜四津敏子

1990年、ADAという障害者差別禁止法が米国で発効した時、これが日本で実現するのは、はるか先のことだろうと思いました。

しかし、一昨年、竹中さんにお会いした時、
「日本でもできる。そういう時がきているのかもしれない」と胸の底に沈んでいたものが急速に浮かび上がる思いがしました。

憲法第14条には、すべて国民は法の下に平等であって、信条、社会的身分によって差別されないとあります。そこには障害という言葉はありませんが、差別のない、一人ひとりが誇りを持って生きられる社会を目指しているはずです。

しかし、いろいろなことで、それがつまずいています。それを開く突破口になるのではという思いで、日本版ADAをつくろうと、今年2月、自民党の野田聖子衆院議員らと共に、与党の女性国会議員によるユニバーサル社会形成促進プロジェクトチームを立ち上げました。今、一生懸命、法案づくりに取り組んでいます。

各地の自治体ではユニバーサル・デザイン室が設置され、国では交通バリアフリー法などが成立しています。今、ユニバーサル社会へと転換する最大のチャンスです。そのために基本法をきちんとつくることが必要です。

心のバリアフリーを進めてくれるITは、“私の宝”

衆院議員・野田聖子

私とパソコンの出会いを仲介してくれたのは、地元の重度の障害を持つ若者のグループでした。県会議員だった当時、一緒に政策提言をしようと、そのリーダーと会いました。障害がある人たちとも意見交換ができますよと、パソコン購入を勧められ、それがITに取り組むスタートになりました。健常者と障害を持つ人との心のバリアフリーが言われていますが、そうした壁を乗り越えさせてくれたITは、私にとって宝です。

現在、2人の障害を持つ男性を秘書として雇用しています。1人は、在宅勤務で後援会名簿をパソコンで整理してもらっています。もう1人は、重度の筋ジストロフィー症の方です。指しか動かせませんが、UCLA(米カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で福祉を学び、政策秘書として、福祉に関する専門的なデータや資料を作成してもらっています。

パソコン使えれば就労のチャンスが

東京都労働局長・坂本由紀子

世の中には障害を持っている人、お年をめした方、女性など、それぞれが違うけれども、違うことが素晴らしい。そういう人たちが、自分の選択を実現できる社会をつくることが大切です。また、障害を持っていても、それが体の障害でも知的な障害でも、それぞれにできることがあります。そこに目を向け、仕事に就けるように、すべての人たちにチャンスが与えられるべきです。

厳しい雇用状況の中で、事務職に限らず、パソコンを使えることは必須の要件になっています。逆に、パソコンが使えれば、障害がある人もいろいろな仕事に就けます。そういうチャンスを与えられるという武器になってきています。

「小よく大を制する」がITの醍醐味

フューチャーシステムコンサルティング株式会社取締役社長・金丸恭文

技術というものは「小よく大を制する」時に使われて、初めてインパクトがあり、それを提供する者としても最もうれしいものです。そういう意味で、チャレンジドの皆さんをはじめ、社会的に小さい人が大きい人を逆転するために、ITを武器として活用してほしい。

昨年、重度の障害を持つ人を採用しました。立命館大学理工学部を卒業した女性で現在、研究開発の第一線で、フリーソフトウェアというジャンルなどで頑張っていただいています。彼女が手書きする字はとても読めませんが、ワープロを使えば読める字になります。われわれの仕事は、プログラムをつくることであり、彼女はそのための技術を持っているので採用したのです。社内第1号で成功体験になりましたので、今年も障害を持った方を採用していきたいと考えています。

ITで議会や行政に意見を反映

東京大学大学院情報学環教授・須藤修

スウェーデンでは、都市計画に市民の意見がかなり反映されます。例えば、老朽化した立体交差点を改修する事業などで、建設計画を公表して、市民から意見を取り寄せ、議会でも意見を言ってもらいます。

神戸にも、市民の意見を集約できるNPOがあります。プロップ・ステーションのその一つです。そういうところで意見を集約し、議会に意見を言い、行政とも意見交換し、新たな施策をつくっていく形がいい。

その道具として、インターネットがある。チャレンジドの皆さんも、そういう道具を使って提案できる。また、建設コンサルティング会社などに発注する分をチャレンジドに発注してもらいたい。そうした参加型の民主主義をつくっていく時代になっています。

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