読売新聞 2000年10月4日より転載

盲学校など38校に最先端ネット構築

大阪府教育委

障害を持つ児童生徒の社会参加と自立に役立てようと大阪府教委などは府内のすべての盲、聾(ろう)、養護学校など計38校を結ぶ最先端コンピューターネットワークを構築、今月から運用を始めた。ボランティア団体や企業の協力による都道府県レベルでは初めての試みで、文部省も「大変有意義で画期的な事業」としている。

このネットワークは「OPEN」(大阪府教育ネットワーク)で、各校にデータの高速処理が可能なコンピューター2台を設置。インターネットの常時接続で大阪市の社会福祉法人「プロップ・ステーション」(竹中ナミ理事長)が運営するネットワークサーバーを介して各学校を結んでいる。

各校に配備されるコンピューターには、日本IBMやマイクロソフトが提供した音声認識ソフトが取り込まれている。このため視覚障害者の場合、点字に頼らずに健常者と電子メールのやりとりができるほか、点訳を待たずにインターネットから最新情報を得ることができる。

また、各校がネットワークで結ばれたことから、学校間で相互に情報を共有しながら障害者に役立つ新しいソフトや教材の開発を促す予定。将来はプログラミングなどを専門的に学べる「情報処理科」を多くの養護学校に設置、自立を促進したいとしている。

このネットワークについて大阪府立生野高等聾学校の男子生徒は、「新しいネットワークで作業も早まるし、学生同士で就職情報も交換できるのでうれしい」と歓迎している。

文部省の寺脇研政策課長は「OPENは障害者が他人に頼らないで働きたいという夢を実現する第一歩になるのではないか。IT技術の活用は、健常者よりも障害者により重要であり、今回の試みは大変有意義で、モデル的な試みだと思う」と話している。

(ジェイク・アデルステイン)

ページの先頭へ戻る