読売新聞 2000年1月17日より転載

NPOの重要性訴え

神戸の竹中さん高知で講演


NPOの新たな可能性について講演する竹中さん(高知市内で)

阪神大震災を契機に、行政、企業に属さない新たな社会組織として大きく注目されているNPO(非営利狙織)について、コンピューターを活用した障害者の自立、就労活動に従事する神戸市東灘区、「社会福祉法人プロップステーション」理事長竹中ナミさん(51)が16日、高知市内で講演し、「NPO活動は今後ますます重要になる」など、その新たな可能性について訴えた。

一昨年6月に法人化した市民組織「NPO高知市民会議」と同年4月に「高知市民活動サポートセンター」を開いた高知市が、NPO活動を市民に広く知ってもらおうと主催。フォーラムなどで竹中さんらと面識のある同市民会議のメンバーらが講演に招いた。

自身の娘が重度の障害を持っていたことなどから障害者の社会参加のあり方を20年以上前から模索してきた竹中さんは、1992年4月、障害者の自立と就労を支援する「プロップステーション」を設立し、98年9月に社会福祉法人格を取得。コンピューター技術者を養成し、企業や行政からソフト関連の仕事を請け負うなどの活動を続けてきた。

神戸市東灘区の自宅を震災で全焼した竹中さんは、5年目を迎えた震災復興について「箱もの(建物)は随分良くなったが、生活レベルではまだまだ不十分」と振り返った。また震災後も大きな課題として残っている高齢者や障害者に対する福祉政策については「何もできない人に対して行政が何かをしてあげる、という姿勢がまだ強いけど、今後は彼らに何ができるか、という視点に立つことが必要です」と指摘。アメリカでは障害者のことを「チャレンジド」(神から挑戦すべき課題を与えられた人々)と呼んでいる話などを紹介し、一人一人の意識改革を求めた。さらに「NPOは基本的に『何でもあり』なので、行政や企業にできないことをやっていける。社会的重要性はますます増してくる」と指摘した。

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