日経パソコン 1999年5月17日号(1999年5月17日発行)より転載

パソコンを「チャレンジド」の道具として活用する

神戸で障害者・高齢者のパソコン利用を考えるシンポジウム開催


Windows 2000と視覚障害者の関係について触れたマイクロソフトの成毛真社長(右)。左はプロップ・ステーション代表の竹中ナミ氏

4月17日から18日にかけ、神戸で障害者と高齢者の社会参加を考えるシンポジウムが開催された。主催は社会福祉法人のプロップ・ステーション。主にパソコン技術の習得を通じて、障害者の就労を支援する団体だ。米国では障害を持つ人を「天から困難を与えられた者」という意味を込めて『チャレンジド』と呼ぶ。シンポジウムでは、「チャレンジド」と産官学の代表者が意見を交わした。

産業界の代表としてマイクロソフトの成毛真社長は、同社の日本法人が視覚障害者向けにWindows 2000のアドオン機能を開発していることを披露した。日本で開発されたアドオン機能を、世界に向けて出荷する可能性もあるという。開発にあたる研究開発本部パーソナル&ビジネスシステム開発統括部ウィンドウズOS部一課の細田和也氏自身、生まれつき全盲の「チャレンジド」だ。

一方、官庁の代表は最近の政策を発表した。厚生省大臣官房障害保険福祉部福祉課の仁木壮課長は、障害者がパソコンを学ぶ施設を増やす事業を発表。労働省職業安定局障害者雇用対策課の村木厚子課長は、障害者がパソコンを使って在宅就労をすることを支援する実験的な事業を始めたと報告した。また、通商産業省機械情報産業局電子政策課の安延申課長は、RWCと呼ばれるプロジェクトで障害者に役立つパソコンのインターフェース技術を開発していると述べた。

各省が進める、パソコンを介した障害者支援の動き

厚生省

http:www.mhw.go.jp/

「市町村障害者生活支援事業」(予算10億円)において、障害者がパソコンの利用を学べる施設を、現在の全国100カ所程度から、2002年度には690カ所にする。1施設あたり、市町村から1500万円程度の補助

通商産業省

http:www.miti.go.jp/

次世代情報処理基盤技術開発事業「Real World Computing(RWC)」(予算60億円)で、手話をパソコンのCCDカメラで認識して意味を解析するソフトなどを開発中

労働省

http:www.mol.go.jp/

雇用活性化総合プラン内の「障害者に対する在宅就労支援事業」(予算5億円)において、全国9つの障害者支援団体を通じ、障害者にパソコン計500台の貸与を実施

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