女性ニュース(発行所:全国婦人新聞社) 1998年8月30日 より転載

チャレンジド・ジャパン・フォーラム国際会議

障害者にハイテク業務を スウェーデンの雇用を紹介

【神戸】8月8日と9日、チャレンジド・ジャパン・フォーラム国際会議が、神戸市内のホテルで開催され、内外から350名の参加者が、2日間にわたる論議を繰り広げた。この会議は「コンピューターとネットワークを活用した、チャレンジド(障害者)の、就労促進」を目的に、チャレンジドと行政関係者、民間企業、研究者が意見交換し、提言しようというものである。

米国では、仕事を持ち、積極的に社会に参加していこうという前向きな障害者を「チャレンジド」というが、日本でもチャレンジドがいい仕事をして、経済的に自立し、社会に貢献するために、さまざまな分野の人たちが協力し始めている。仕掛け人の竹中ナミさんが代表であるプロップ・ステーションでは、大阪府や厚生省などの自治体、アップルコンピューターやトヨタなどの民間企業、さまざまな分野の大学教授などの支援のもとに、チャレンジドが仕事を続けている。

会議のゲストとして招かれた、スウェーデンのサムハル株式会社代表取締役のゲハルド・ラーソン氏は、世界でもユニークな企業として、同社の状況を次のように語った。

サムハルの経営コンセプトは、ハンディのある人たちが、市場に受け入れられる商品を製造し、サービスを提供することにある。商品としては介護機器、スポーツ用品、特に家具は日本企業との取り引きに大きい成功を収めている。最近はガーデニング、給食サービスなどサービス部門が発展している。

ハンディをもつ従業員の性別は男女半々だ。経営の半分は政府の補助金でまかない、後の半分は売上金である。それでも障害者が働かず、病院で介護を受けるよりはるかに少ない費用だ。サムハルはIBM、ボルボなどの企業と取り引きしており、今やスウェーデンで、最大の下請け企業。同社では、テクノロジーがうまく使われていて、知的障害のある人たちをサポートしている。

ハンディのある人たちは可能性を持っており、自宅で生計をたてられることは、彼らの自尊心のためにも、社会的にも重要である。しかし、ハンディを持つ人たちは50%しか雇用されていないので、社会がもっと雇用する必要がある。

竹中ナミさんは、25歳になる長女が障害を持つ体験から、「チャレンジドを納税者に!」をスローガンに、この運動を推進してきたが、「日本ではチャレンジドの雇用はパーセンテージにも表れないぐらい少ない。チャレンジドが仕事人として、誇りを持って社会を支えていけるよう、国内における新しい社会システムの構築を目指したい」と語った。

なお、竹中さんの初めての単行本『プロップ・ステーションの挑戦−チャレンジドが社会を変える』(筑摩書房)が全国で発売中。

(高嶋紀子)

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