日本教育新聞(首都圏版) 1997年7月26日より転載

保護から就労支援へ

障害者支える新メディア

東大で第三回フォーラム


「使いにくいソフトを改良して欲しい」−細田さん(右)と成毛氏(左)

障害者を保護の対象と見るのではなく、自立した職業人として就労支援を行うための課題を探ろうと、関西を拠点に活動しているプロップ・ステーション(竹中ナミ代表)が八日、東京大学の山上会館で第三回チャレンジド・ジャパン・フォーラムを開催した。

これは、東京大学社会情報研究所、(株)ニューメディアとの共催によるもので、(株)NTTの協力で東大と慶応大湘南キャンパス、大阪をテレビ会議システムでつなぎ、障害者、企業関係者、通産、郵政、自治省など関係者や研究者が、障害者の就労支援のあり方を話し合った。

フォーラムでは、成毛真(株)マイクロソフト社長と全盲の学生プログラマー、細田一也さんが特別対談。細田さんが「ウインドウズなど現在主流のパソコンソフトは視覚障害者から見ると使いづらい。利用者の立場から、ソフト会社に対して改良すべき展をこれからも指摘していきたい」と発言。これを受けて成毛氏も「福祉の観点でなく、ビジネスの観点から、意見を採り入れて製品を改良していきたい。障害者煮やし強いソフトは一般利用者にとっても使いやすい物になるはず」と応えた。

このほか、インターネットを活用して仕事の受注、制作、納品を行っている障害者から報告があり、欧米に比べて在宅就労を支援するインフラ整備の遅れが目立つ日本の現状を指摘する意見もあった。

インターネットの普及で、養護学校など生徒が作品を社会に発表する試みも始まっているが、今回のようなフォーラムの積み重ねで、企業、行政側の支援体制が今後整備されてくると、特殊教育書学校を卒業後の就労問題の解決にも明るい見通しがもてそうだ。

問い合わせ=プロップ・ステーション事務局、電話06.881.0041

ページの先頭へ戻る