神戸新聞 1997年7月24日より転載

先生は小学5年生

ハンデ乗り越える姿にあこがれて・・・

障害者運営のパソコン教室


チャレンジドの講師とパソコンの操作を楽しむ星羅ちゃん
(神戸市中央区、神戸情報通信研究開発支援センター)

脳性まひなどの障害を持つ男性3人が、子供たちにパソコンを教えている市民団体「プロップ・ステーション」(本部・大阪市、竹中ナミ代表)の神戸教室で、26日、小学5年生の女子講師が誕生する。2月スタートした同教室の1期生で、障害を乗り越え活躍する講師の姿にあこがれ、修了後も活動に協力していくことになった。同団体は「これをきっかけに、子供たちと障害者の交流がさらに広がれば」と期待を寄せている。

同教室は週1回で1コース10回。神戸・ポートアイランドの神戸情報通信研究開発支援センターで、小中学生らを対象に毎週土曜日に開かれている。チャレンジド(障害者を表わす新しい米語)の自立を目指し、大阪で障害者対象のコンピューターセミナーを続けている同団体が、企業のデータベース整理などを請け負うセミナー修了者らの働く場を広げようと、開設した。

講師陣は、動かない腕の代わりに足でマウスを操る岡本敏己さん(49)や、脳性まひの全身性障害を持ちながら、企業のイメージイラスト作りなどに取り組む吉田幾俊さん(40)ら。そこに、26日スタートの3期目から加わるのは、神戸市西区桜が丘中町5の永吉星羅ちゃん(10)=市立桜が丘小。

星羅ちゃんは、デザイン会社を経営する父一郎さん(35)が自宅で操作するパソコンに興味を持ち、「私も」と母の利枝さん(36)と教室に参加。パソコンの楽しさに加え、学校では接することのできない人たちと交流が新鮮で、毎週欠かさず通った。

言語障害のある講師の話が聞き取れない時は「先生もう1度」と分かるまで聞き直した。子供ならではの素直さと意欲で、動画や音の出るホームページ作りにめきめき腕を上げた。2期も通い続けるうち、「講師に」と"スカウト"の声がかかった。

教わったこと新しい人にも

星羅ちゃんは「いろんなことが勉強できて楽しい。今まで教えてもらったことを、新しい人たちにやさしく説明したい」と張り切り、講師たちも「絵がうまいし熱心。いい先生になる」と太鼓判を押す。

竹中代表は「教室では、星羅ちゃんをはじめ子供たちはチャレンジドを先生として尊敬のまなざしで見つめている。これからは学校のパソコン授業にもチャレンジドの講師を派遣できるよう、神戸市などに働きかけたい」と話している。

同教室は、親子で参加可能。費用は1回につき資料代1,000円。

問い合わせは:同ステーションTEL06-881-0041

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