神戸新聞 1997年3月22日より転載

願いは"車いすで遊々コーベ"

観光ガイド作成へ異人館街で初調査

身障者と健常者が学ぶパソコンセミナーを主催する非営利団体「プロップ・ステーション」(竹中ナミ代表)が、車いすの人に神戸を楽しんでもらい、震災復興にもつなげようと、独自の観光ガイド作成を始めた。いわば、車いすでの神戸の楽しみ方教えます特集。
気軽いに役立つガイドを目指すという。

プロップ・ステーション

「プロップ」は約五年前から大阪を拠点に活動してきたが、「被災地から共に生きる未来をつくりたい」と、今年二月からは神戸でも活動をスタートさせた。

車いす用の観光ガイドは、多くの身障者団体が作成している。竹中さんらが目指しているのは、「身障者が自宅にいながら手に入れられる情報」で、機関誌に調査結果を載せるほか、インターネットのホームページ上でも掲載。さらにガイドのビデオ化やテレビなどの紹介も検討している。

また、これまでの身障者用のガイドは、「街にどれだけ問題点があるのか、というとらえ方が多かった」(竹中さん)。そこで「プロップ」は「こんな行き方をすれば、この店で食事ができる、こんな楽しいコースがある」という気軽に役立つガイドを目指すという。

ポイントは…
自宅でアクセス
気軽なスタンス

このほど行われた一回目の現地調査は、異人館街が舞台。ガイドづくりのリーダーの坂上正司さん(32)と「プロップ」の機関誌編集長の桜井龍一郎さん(33)の二人の車いすに乗る身障者と、介助ボランティアら十人が三宮に集合。リフト付きのワゴン車で北野地区まで行った後、「風見鶏の館」の前をスタート地点に、取材と写真・ビデオ担当に分かれて調査を始めた。
ポイントは、店や異人館を車いすで気軽に利用できるかという点。坂上さんらは電動車いすで街を移動したが、坂道は自分で上り下りできないことをあらためて痛感していた。
坂上さんは「北野町は神戸のシンボルのような存在。私たちのガイドを参考して、身障者が気楽に遊びに行ける町になれば」と、トイレやスロープの設置場所を熱心に記録していた。

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