日経産業新聞 1995年12月7日より転載

障害者が安く作成代行

通勤困難でも働く機会

ボランティア団体 プロップ

障害者に対する民間ボランティア団体プロップステーション(大阪市、竹中ナミ代表、06・881・0041)はインターネットのホームページ作成を代行する業務を来年初めから始める。通勤が難しい重度の障害者に就労の機会を与えるのが狙いで、仕事の打ち合わせや完成したホームページの伝達などもすべて回線経由でする。すでに会員の障害者に対する研修を始めている。インターネットの可能性を広げる試みとして注目されそうだ。

同団体の実務・営業部門であるプロップ・ウィング(同、鈴木重昭所長06・881・3866)が企業、官公庁などからの受注を取りまとめ、求められるホームページの性格、仕様に合わせて在宅勤務の障害者に割り振る。労働意欲が高く、パソコンの操作に習熱した7人の会員を対象に、ホームページ作成用プログラム言語、HTMLの特訓を続けており、専門業者とそん色ない作品を作ることができるという。順次対象者を広げていく。

企画、打ち合わせ料を含む基本料金で10万円弱を予定している。A4判のホームページ1ページ当たりの料金は1万2千円から。スキャナーによる画像取り込みや特殊なデザイン作成を伴う場合はオプション料金が必要。同団体は営利組織でなく、在宅勤務のためオフィスの維持費などの固定費が不要で、料金は専門業者の3分の1程度にできるという。すでに大手企業3社から引き合いがあるという。

プロップ・ステーションは91年の設立で、当初からコンピューターを使った障害者の自立支援を目的としている。会員は約250人で3分の1は肢体、視聴覚などに障害を持つ。中には企業の在庫管理システム用ソフトなどを開発、納入したプロもいる。ホームページは定期的に更新されるケースがほとんどで、継続して仕事を得られる機会が多いことに着目、団体をあげて取り組むことにした。

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