産経新聞 1995年2月27日より転載

阪神大震災

ハイテク救援

パソコン通信網で生かすボランティア

神戸市約7200人、西宮市約5400人―。それぞれの自治体のボランティア登録数だ。しかし実働となると、西宮市の場合、累計で約3200人。ボランティア希望者の熱意を生かしきれているかは疑問だ。

「市民の熱意を無駄にしてはいけない。必要な時、必要な場所に、必要なボランティアを投入できるよう、システムを確立しなければ」

コンピューターを媒体にして障害者の就労を支援している市民団体「プロップ・ステーション」(大阪市、竹中ナミ代表)は、今回の震災でボランティア希望者を項目ごとに検索できるプログラムを作成。大阪ボランティア協会と大阪YMCAにボランティアの申し込みのあった約3000人について、従事可能な時間、持っている資格など30項目からコンピューターで検索できるようにした。

「救援活動は半年、1年と、まだまだ続く。息の長いボランティア活動をするために、こういったシステムは必要なんです」と、竹中代表。

ハイテクを生かした救援活動の効率化。震災後は、同団体独自のパソコン通信ネット「プロップ・ネット」も活躍した。被災した障害者の安否情報が早い時期からパソコン通信で流され、草の根の情報交換にも役立った。

「電話は1対1だけど、パソコン通信なら1つの情報をたくさんの人がいつでも得られる。パソコン通信の威力を実感しました」と竹中代表。超高齢化社会の到来を前に「福祉のネットワークにハイテクが活用されれば、障害者や高齢者がこうした危機の中で孤立化する、という事態を招かないですみはず」とも言う。

それにはハイテク機器や技術を持った企業、技術者の協力がなくてはならないだろう。ネットワークを持つ人とハイテクのノウハウを持つ人、双方の知恵が絡み合った時、高度先端技術の救援活動への還元が可能になる。

小山浩子

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