日刊工業新聞 1994年10月14日より転載

インターネットに参加

社会参加目指し世界へ情報発信

ビジネスはもとより、全方位で自ら社会参加を目指そうという新しい障害者と健常者の団体、プロップステーション(大阪市北区同心町1-5-27、代表竹中ナミ氏、TEL06-881-0041)は11月にも、世界的な情報ネットワーク「インターネット」に参加、仲間づくりや補聴器をはじめとする支援機器情報の交換など、世界との共生に向けた情報発信を始める。同ネットの組織(ドメイン)名「prop.or.jp」を所得、関西に拠点を置くWING(代表幹事中野秀男氏=大阪大学工学部助教授)ネットの下で世界と結ばれる。135カ国との電子メールの交換が可能な同ネットとは、日本でも首相官邸や各省庁以下、産学官の団体、企業の接続が相次いでいるが、障害者団体がアクセスするのは初めて。

障害者のための支援 機器情報などを交換

プロップステーションは93年4月に発足した全国に250人の会員を持つ団体。障害者の自立と社会参加を進めており、とくに雇用促進につながるコンピューターの操作訓練など実戦的な教育や社会的な啓もう活動に力を入れている。

すでにパソコン通信は実施しているが、次段階としてインターネットを通じて世界の障害者組織との協調を図り、健常者と障害者の地球規模での共生を目指すことにした。推進役はプロップの会員で、顧問でもある中野助教授。同助教授の尽力と日本電子計算(東京都江東区東陽2-4-24、社長村野兼雄氏)大阪支店の好意(接続に必要なUNIXマシンの寄付)で実現した。

インターネットに参加すると世界の3千万人と通信ができるようになる。中野助教授はソフトウエアの1つである「E-mail]を使って、視覚、聴覚障害者や肢体障害者のための支援機器情報などを世界レベルで交換することを考えている。

まず仲間づくり

一方、プロップでは同ネットの情報伝達力を利用、まず仲間づくりに取り組む。オンライン・リアルタイムのミーティングなども検討している。さらに障害者の雇用情報を流すことも計画、現在労働省へインターネット上での求人情報の提供を働きかけている。

こうしたプロップの動きに応答するかのように、ソフトウエア技術者協会(TEL03-3356-1077)は18日、東京都文京区の後楽園会館で、「障害者と計算機+ネットワーク」と題する有料フォーラムを開く。

中野助教授、竹中代表が労働省の関係者らとインターネット時代の障害者の社会参加問題について討論する。

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