産経新聞 1994年6月18日より転載
奉仕活動/冒険/スポーツ
元気パパ はばたく
「仕事一筋」「休みはゴロ寝」返上 多彩な顔持ち輝いてます!
ボランティア活動に精を出すエンジニア、海にロマンを求める冒険パパ…。お父さんといえば仕事一筋、休みは家でゴロ寝といわれたのは、ひと昔前。共働きの増加や週休二日制の広がりで、その役割は微妙に変化しつつあり、仕事以外に多彩な顔をもつ元気なお父さんが増えている。あす19日は「父の日」、お宅のお父さんは?
よき市民
社団法人・大阪ボランティア協会(大阪・北区)に事務局を置く「プロップ・ステーション」(代表、竹中ナミさん)は、コンピューターを利用して障害者の自立を支援する市民グループ。障害者運動を進めてきた竹中さんが、これからの障害者にコンピューター技能は欠かせない、と3年前から始めた。
週1回のセミナーやパソコン通信などの活動を支えるのは、50人を超すボランティア・スタッフ。ほとんどが、現役のサラリーマンだ。
「コンピューターは日進月歩。それだけに実務にたずさわっている人の生きた知識がほしい。忙しいエンジニアたちが時間を割いてくれるか不安もありましたが、さすが日本株式会社のお父さんたち、度量は広かった」と竹中さん。
クボタ素形材事業部情報化推進プロジェクト課長補佐の柳原秀基さん(38)も、度量を買われた一人。1年ほど前、パソコン通信仲間だった竹中さんからメーン・コンピューターの修理を相談されたのをきっかけに活動に参加した。
パソコン通信で送られてくる質問に答えるのが役目で、緊急を要することもあるので毎日のチェックは欠かせない。「飲んで帰ったときなどは、ちょっとしんどい。でも、組織に縛られない自分の世界をもつ楽しさを覚え、この4月からは地域の子ども会の会長も引き受けてしまった」
こんなお父さんは確実に増えている。大阪ボランティア協会に寄せられる「私も参加したいが…」といったサラリーマン層からの相談は、ここ10年で4倍に。企業によるボランティア研修への指導員派遣も昨年度は138回と、前年の2.7倍にのぼった。同協会事務局長の早瀬昇さんは「よき企業人、よき家庭人であると同時に、よき市民であろうとい
うのがいまのサラリーマンのトレンド」と話す。